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九百九十六話 勝手に膨らむ妄想
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「よし、これぐらいにしておくか」
「そうだな」
二人は先程までギルドの訓練場で模擬戦を行っていた。
勿論、ミレアナが結界を張っていたため、周囲の冒険者たちに被害が及ぶことはない。
ただ……余波で同業者が吹っ飛ぶことはなかったが、地面はかなり抉れてしまっていた。
「こんなところかな」
しかしそこは五大属性の魔法をそれなりに扱えるソウスケ。
土の魔力で直ぐに元通りにしてしまう。
「ソウスケさん、それぐらい私が行いますよ」
「いいっていいって、別に大変な作業じゃないし」
地面を鋼鉄に作り替える……という作業であっても、手札と魔力が多いソウスケにとっては疲れが気になるほど溜まりはしない。
「なぁ、さっきの戦い観てたか?」
「観てたのに決まってんだろ……いや、ぶっちゃけ何がどうなってんのか全部は解らなかったけど」
「それな。てか、やっぱりあの人が噂のソウスケさんなんだな」
二人の模擬戦を離れた場所から見ていたルーキーたちはその激闘に釘付け状態であり、自分たちの訓練を完全に中止して観ていたが……そもそも二人の動きを完全に追うことが難しいということもあって、どういった戦闘内容だったのか完全には把握できていなかった。
ただ……とにかく、凄過ぎるということだけは理解出来た。
「俺たちと……あんまり歳変わらないよな?」
「いや、外見は俺らと変わらねぇけど、実は中身は四十や五十を越えてるって噂もあるぜ」
「マジかよ! ちょっと信じられねぇけど……あの外見であれだけ強ぇってのを考えれば、あり得るのか?」
「だってよ、あの人ルクローラ王国との戦争で活躍した功績で、爵位を授与される可能性があったらしいんだけど、それを蹴ったらしいんだぜ」
「……凄過ぎて反応に困るな。でもよ、それと中身が見た目以上に歳を取ってるのと、何の関係があるんだよ」
「もう良い歳だからこそ、権力なんて興味ねぇって思って爵位の授与を断ったんじゃねぇかって話だ」
「ッ!!!! ……やべぇ、それはカッコ良過ぎるな!!!!」
「だろ! こう…………大人にしか出せねぇカッコ良さがあるよな!!」
(…………お前ら、中身は普通に歳が近い人間だから、変に妄想を発展させないでくれ)
常人よりも優れた聴覚を持つソウスケは、少し意識してしまうと、細かく会話内容を拾えてしまう。
「確かに、ソウスケさんには子供には出せないカッコ良さ、というのがありますね」
「セルシア……変にからかわないでくれよ」
「いえいえ、全くからかってなどいませんよ。本当に、心の底からソウスケさんには、同年代には出せないカッコ良さを持っていると思っています」
「……それはあれだ。俺が偶々同年代より運が良くて、生きるのに余裕があるからそう見えるだけだって」
ソウスケとしては、自分がそう見えるのは……彼女がいる男は既に彼女がいるからこそ生まれる余裕があるため、変に彼女が欲しいとがっつくことがなく……そこに異性は少なからず魅了を感じる状態、と認識している。
さすがに自己評価が低すぎる?
ソウスケは自分が強いという事は自覚している。
ただ、紛れもなく神から才能を貰ってこの世界に降りたため、仮に他の人間が自分の立場であっても……と考えてしまい、あまり誇る気にはならない。
「ソウスケさん……俺はあまり人間のそういった感情に聡くはないが、そうやって決して自分はそんな器ではない、といた対応をするからこそ、自然と株? が上がってしまうのではないか」
「うぐっ……はぁ~~~~。もうどう立ち振る舞えば良いか解らん」
悩んでも仕方ない事で今日も悩むソウスケ。
そんな中、ソウスケ以上に聴覚が優れているミレアナの耳に……気になる情報が入ってきた。
(っ…………ひとまず、ソウスケさんに相談してからですね)
その日の夜、夕食時にとある件について相談したところ、あっさりと了承された。
「そうだな」
二人は先程までギルドの訓練場で模擬戦を行っていた。
勿論、ミレアナが結界を張っていたため、周囲の冒険者たちに被害が及ぶことはない。
ただ……余波で同業者が吹っ飛ぶことはなかったが、地面はかなり抉れてしまっていた。
「こんなところかな」
しかしそこは五大属性の魔法をそれなりに扱えるソウスケ。
土の魔力で直ぐに元通りにしてしまう。
「ソウスケさん、それぐらい私が行いますよ」
「いいっていいって、別に大変な作業じゃないし」
地面を鋼鉄に作り替える……という作業であっても、手札と魔力が多いソウスケにとっては疲れが気になるほど溜まりはしない。
「なぁ、さっきの戦い観てたか?」
「観てたのに決まってんだろ……いや、ぶっちゃけ何がどうなってんのか全部は解らなかったけど」
「それな。てか、やっぱりあの人が噂のソウスケさんなんだな」
二人の模擬戦を離れた場所から見ていたルーキーたちはその激闘に釘付け状態であり、自分たちの訓練を完全に中止して観ていたが……そもそも二人の動きを完全に追うことが難しいということもあって、どういった戦闘内容だったのか完全には把握できていなかった。
ただ……とにかく、凄過ぎるということだけは理解出来た。
「俺たちと……あんまり歳変わらないよな?」
「いや、外見は俺らと変わらねぇけど、実は中身は四十や五十を越えてるって噂もあるぜ」
「マジかよ! ちょっと信じられねぇけど……あの外見であれだけ強ぇってのを考えれば、あり得るのか?」
「だってよ、あの人ルクローラ王国との戦争で活躍した功績で、爵位を授与される可能性があったらしいんだけど、それを蹴ったらしいんだぜ」
「……凄過ぎて反応に困るな。でもよ、それと中身が見た目以上に歳を取ってるのと、何の関係があるんだよ」
「もう良い歳だからこそ、権力なんて興味ねぇって思って爵位の授与を断ったんじゃねぇかって話だ」
「ッ!!!! ……やべぇ、それはカッコ良過ぎるな!!!!」
「だろ! こう…………大人にしか出せねぇカッコ良さがあるよな!!」
(…………お前ら、中身は普通に歳が近い人間だから、変に妄想を発展させないでくれ)
常人よりも優れた聴覚を持つソウスケは、少し意識してしまうと、細かく会話内容を拾えてしまう。
「確かに、ソウスケさんには子供には出せないカッコ良さ、というのがありますね」
「セルシア……変にからかわないでくれよ」
「いえいえ、全くからかってなどいませんよ。本当に、心の底からソウスケさんには、同年代には出せないカッコ良さを持っていると思っています」
「……それはあれだ。俺が偶々同年代より運が良くて、生きるのに余裕があるからそう見えるだけだって」
ソウスケとしては、自分がそう見えるのは……彼女がいる男は既に彼女がいるからこそ生まれる余裕があるため、変に彼女が欲しいとがっつくことがなく……そこに異性は少なからず魅了を感じる状態、と認識している。
さすがに自己評価が低すぎる?
ソウスケは自分が強いという事は自覚している。
ただ、紛れもなく神から才能を貰ってこの世界に降りたため、仮に他の人間が自分の立場であっても……と考えてしまい、あまり誇る気にはならない。
「ソウスケさん……俺はあまり人間のそういった感情に聡くはないが、そうやって決して自分はそんな器ではない、といた対応をするからこそ、自然と株? が上がってしまうのではないか」
「うぐっ……はぁ~~~~。もうどう立ち振る舞えば良いか解らん」
悩んでも仕方ない事で今日も悩むソウスケ。
そんな中、ソウスケ以上に聴覚が優れているミレアナの耳に……気になる情報が入ってきた。
(っ…………ひとまず、ソウスケさんに相談してからですね)
その日の夜、夕食時にとある件について相談したところ、あっさりと了承された。
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