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千六十三話 後が心配ではあるが
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「…………」
「随分とボーとしてるな、ザハーク」
ヌレールアたちと別れたソウスケたち。
その後は予定通りドラゴニックバレーへを目指し、移動していた。
「いや、あいつは目標を達成出来るのかと思ってな」
「あら……あまりそそらないと言っていたのに、そこまで興味を持っているのは意外でしたね」
「今でも、将来的に戦ってみたいとは思っていない。ただ、あいつは頑張れる男だろう。であれば、無事願いが叶って欲しいと思うのは当然のことではないか?」
確かに、ザハークの言う通り至極当然のことである。
しかし、ソウスケとミレアナもそこまでザハークがヌレールアの目標を応援してるとは思っておらず、二人揃って驚きが顔に出た。
「……ふふ、そうですね。あなたの言う通り、私もヌレールア様には是非とも目標を達成してほしいと思います。しかし、個人的にはその目標が叶った後が心配ですが」
「? どういう事だ」
「ヌレールア様は、おそらく物理的に追い詰められただけではない筈です。であれば、眼に見えない力に関しても対策をしなければ……目標を達成したからといって、安心は出来ないでしょう」
そこまでミレアナが説明したことで、ザハークはどういった心配事が残っているのかを把握。
そして、とてもつまらなそうな顔を浮かべた。
「…………ヌレールアや、その親は別のようだが、やはり貴族にはゴミが多いな」
言っている意味は解る。
己の力で正面からやり返すのではなく、他者の力を借りてヌレールアを潰そうとする。
野性で生きてきたザハークとしては……相変わらず理解出来ない行動だった。
「こう言ってしまうのは良くないと思うけど、仕方ないことなんだよ」
「仕方ないことか……風習、習慣というものか?」
「そんな感じかな。権力は基本的にそれまで一家を、組織を大きくしてきた歴代の長たちや、その長たちを支えてきた者たち。そして……一応、今もその地位を守っている現長、支えてる者たち。子供たちは……あまり関係無いと、俺は思う」
「同感だ。しかし、勘違いしている者たちがいるのが現状だろう」
「そうなんだろうね。理由としては、割とそれが普通っていう雰囲気はある、後は周りに止めようとする大人がいないこと、かな」
現代の日本社会……周囲の目が厳しくなる中で、子供の我儘をしっかりと叱らない親が増えてきたという意見が良く見られる。
虐待と思われてしまう?
確かに過度な躾けは躾け、指導の域を超えてただの暴力になってしまう。
ただ、過度な我儘は駄目だと、悪い事は悪い事だと……親が躾けなければならず、周りの大人が注意しなければならない。
「そういうのは、親が注意するのではないか?」
「どうだろうな。一般家庭と比べて、貴族の家庭は……個人的な意見ではあるんだけど、あまり家族間でコミュニケーションを取る時間が多くないと思うんだ」
「つまり、親は子供の行動を把握しきれてないと」
「そういう家庭が多いかもしれないと、個人的には思う。それ以外にも諸々の理由はあるんだろうけど、もうそういう空気が出来上がってしまってるから、これからも改善されることはないと思うぞ」
「そうか…………」
「そんなに落ち込むなって。イスタンダル辺境伯は、そこら辺が解ってない人ではない筈だ。ヌレールア様が戻る時には、バカたちがクソな真似が出来ないように手を回してる筈だ」
「……そうだな。確かにあの男は信用出来るタイプだった」
ヌレールアの傍を離れたソウスケたちには……諸々の意味で、信じる事しか出来ない。
「仮に、あまり家の立場が強くない家の子供たちが上手く生きるには、そういったマニュアル? を教えられる人が傍に居ること……かな」
自分の様に物理的に超強くなれば良い……とは、当然ながら口が裂けても言えないソウスケだった。
「随分とボーとしてるな、ザハーク」
ヌレールアたちと別れたソウスケたち。
その後は予定通りドラゴニックバレーへを目指し、移動していた。
「いや、あいつは目標を達成出来るのかと思ってな」
「あら……あまりそそらないと言っていたのに、そこまで興味を持っているのは意外でしたね」
「今でも、将来的に戦ってみたいとは思っていない。ただ、あいつは頑張れる男だろう。であれば、無事願いが叶って欲しいと思うのは当然のことではないか?」
確かに、ザハークの言う通り至極当然のことである。
しかし、ソウスケとミレアナもそこまでザハークがヌレールアの目標を応援してるとは思っておらず、二人揃って驚きが顔に出た。
「……ふふ、そうですね。あなたの言う通り、私もヌレールア様には是非とも目標を達成してほしいと思います。しかし、個人的にはその目標が叶った後が心配ですが」
「? どういう事だ」
「ヌレールア様は、おそらく物理的に追い詰められただけではない筈です。であれば、眼に見えない力に関しても対策をしなければ……目標を達成したからといって、安心は出来ないでしょう」
そこまでミレアナが説明したことで、ザハークはどういった心配事が残っているのかを把握。
そして、とてもつまらなそうな顔を浮かべた。
「…………ヌレールアや、その親は別のようだが、やはり貴族にはゴミが多いな」
言っている意味は解る。
己の力で正面からやり返すのではなく、他者の力を借りてヌレールアを潰そうとする。
野性で生きてきたザハークとしては……相変わらず理解出来ない行動だった。
「こう言ってしまうのは良くないと思うけど、仕方ないことなんだよ」
「仕方ないことか……風習、習慣というものか?」
「そんな感じかな。権力は基本的にそれまで一家を、組織を大きくしてきた歴代の長たちや、その長たちを支えてきた者たち。そして……一応、今もその地位を守っている現長、支えてる者たち。子供たちは……あまり関係無いと、俺は思う」
「同感だ。しかし、勘違いしている者たちがいるのが現状だろう」
「そうなんだろうね。理由としては、割とそれが普通っていう雰囲気はある、後は周りに止めようとする大人がいないこと、かな」
現代の日本社会……周囲の目が厳しくなる中で、子供の我儘をしっかりと叱らない親が増えてきたという意見が良く見られる。
虐待と思われてしまう?
確かに過度な躾けは躾け、指導の域を超えてただの暴力になってしまう。
ただ、過度な我儘は駄目だと、悪い事は悪い事だと……親が躾けなければならず、周りの大人が注意しなければならない。
「そういうのは、親が注意するのではないか?」
「どうだろうな。一般家庭と比べて、貴族の家庭は……個人的な意見ではあるんだけど、あまり家族間でコミュニケーションを取る時間が多くないと思うんだ」
「つまり、親は子供の行動を把握しきれてないと」
「そういう家庭が多いかもしれないと、個人的には思う。それ以外にも諸々の理由はあるんだろうけど、もうそういう空気が出来上がってしまってるから、これからも改善されることはないと思うぞ」
「そうか…………」
「そんなに落ち込むなって。イスタンダル辺境伯は、そこら辺が解ってない人ではない筈だ。ヌレールア様が戻る時には、バカたちがクソな真似が出来ないように手を回してる筈だ」
「……そうだな。確かにあの男は信用出来るタイプだった」
ヌレールアの傍を離れたソウスケたちには……諸々の意味で、信じる事しか出来ない。
「仮に、あまり家の立場が強くない家の子供たちが上手く生きるには、そういったマニュアル? を教えられる人が傍に居ること……かな」
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