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千八十三話 嬉しい反面
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「スカウト、ですか」
「えぇ、その通りです。騎士、というよりは遊撃隊としてのスカウトですね」
(遊撃隊、ねぇ……一応、こっちのこと解ってくれてる感じではあるんだ)
ミレアナはともかく、ソウスケやザハークは基本的に動きたいように動きたいタイプの戦闘者。
ザハークはソウスケやミレアナからの指示であればともかく、他の誰かからの命令など、知ったことかと聞く耳を持たない。
「年給は白金貨十枚と考えています」
「な、なるほど……」
年休白金貨十枚。
スカウトとはいえ、立場的には中途採用の騎士が貰える額ではない。
一般的どころか、騎士の世界で見ても、持てば思わず震えるほどの額である。
「…………俺たちの実力を評価してくれているのは嬉しいですが、お断りさせていただきます」
この好条件で!!!!???? という反応が若輩の騎士たちから零れるも、なんとか何故、どうしてといった感情を怒りに変えずに保てていた。
「条件が、足りなかったでしょうか」
「えっと……そうですね。年給、白金貨十枚というのが非常に好待遇っていうのは解るんですけど、俺たちならそれなりに攻略難易度が高いダンジョンを攻略していれば、それ以上の金額を稼ぐことが出来ます」
それなりに攻略難易度が高いダンジョンの攻略となれば、死ぬ危険性が高いのではないか……なんて事は、口が裂けても言えない。
何故なら、そもそも騎士団との騎士、遊撃隊として活動していれば、対峙するのはモンスターや盗賊。
本当に当たり前過ぎることではあるが、そちらはそちらで危険がないなんて言えない。
「金には困ってないと。冒険者として活動している方が稼げると、そういう事ですね」
「俗な言い方になりますが、そういう事になります。それと、俺が冒険者という職業を気に入っているというのもありますが、加えてあまり騎士という職業に興味がありません」
「そうですか……二人共、ソウスケ殿の意見はソウスケ殿個人の意見であり、決して悪意のある意見でもない。それを理解しなさい」
「「ッ、申し訳ありませんでした」」
騎士という職業に興味がない。
ソウスケがそんな言葉を口にした瞬間、隠さないほど爆発させはしなかったが、僅かに怒りを堪え切ることが出来なかった男女の騎士。
しかし、そんな部下たちの変化を感じ取ったラグラスは、直ぐにその怒りを収めるように、ソウスケに悪意はないと伝えた上で注意した。
二人が注意してきたラグラス……ではなく、ソウスケに対して直ぐに頭を下げたこともあり、僅かな怒りを向けられたソウスケは特にその点に関して嫌味ったらしく言うつもりはなかった。
「申し訳ない、ソウスケ殿。実力はあるのだが、まだ心の方は未熟故に」
「いえいえ、全く気にしてませんよ。これが冒険者だったら、手を出さずとも怒りとか不満を隠そうとはしませんから。それに……自分の言葉にそういった反応をしてしまうという事は、それだけ自身の職に対して誇りを持っているからこそでしょう」
その反応は正しいものだと、つい怒りを零してしまった相手にそう言われ、多少の嬉しさを感じる反面……二人はそこまで考えている者に対して自分の感情を優先してしまったことを恥じた。
「というか、俺も冒険者はどうたらこうたらと悪口を言われれば、冒険者だからって一括りにするんじゃねぇっといった感じで怒りが湧くこともありますから」
「……そう言ってもらえると、非常に有難い。しかし…………そうであったか」
騎士に興味がない。
そう言われてしまえば、そもそもスカウトするのが難しいという話になってしまう。
給金に関しても、一年に白金貨十枚というのは中々に破格であり、仕事で狩ったモンスターの素材などは、全て騎士団に収めろと命令するつもりもなかった。
ただ……三人の様子から、それなりの難易度のダンジョンを攻略する事に対して……まるで何回でも周回出来るといった余裕を感じる。
決して脳筋騎士団長ではないラグラスではあるが、ここから挽回出来る言葉は出てこなかった。
「えぇ、その通りです。騎士、というよりは遊撃隊としてのスカウトですね」
(遊撃隊、ねぇ……一応、こっちのこと解ってくれてる感じではあるんだ)
ミレアナはともかく、ソウスケやザハークは基本的に動きたいように動きたいタイプの戦闘者。
ザハークはソウスケやミレアナからの指示であればともかく、他の誰かからの命令など、知ったことかと聞く耳を持たない。
「年給は白金貨十枚と考えています」
「な、なるほど……」
年休白金貨十枚。
スカウトとはいえ、立場的には中途採用の騎士が貰える額ではない。
一般的どころか、騎士の世界で見ても、持てば思わず震えるほどの額である。
「…………俺たちの実力を評価してくれているのは嬉しいですが、お断りさせていただきます」
この好条件で!!!!???? という反応が若輩の騎士たちから零れるも、なんとか何故、どうしてといった感情を怒りに変えずに保てていた。
「条件が、足りなかったでしょうか」
「えっと……そうですね。年給、白金貨十枚というのが非常に好待遇っていうのは解るんですけど、俺たちならそれなりに攻略難易度が高いダンジョンを攻略していれば、それ以上の金額を稼ぐことが出来ます」
それなりに攻略難易度が高いダンジョンの攻略となれば、死ぬ危険性が高いのではないか……なんて事は、口が裂けても言えない。
何故なら、そもそも騎士団との騎士、遊撃隊として活動していれば、対峙するのはモンスターや盗賊。
本当に当たり前過ぎることではあるが、そちらはそちらで危険がないなんて言えない。
「金には困ってないと。冒険者として活動している方が稼げると、そういう事ですね」
「俗な言い方になりますが、そういう事になります。それと、俺が冒険者という職業を気に入っているというのもありますが、加えてあまり騎士という職業に興味がありません」
「そうですか……二人共、ソウスケ殿の意見はソウスケ殿個人の意見であり、決して悪意のある意見でもない。それを理解しなさい」
「「ッ、申し訳ありませんでした」」
騎士という職業に興味がない。
ソウスケがそんな言葉を口にした瞬間、隠さないほど爆発させはしなかったが、僅かに怒りを堪え切ることが出来なかった男女の騎士。
しかし、そんな部下たちの変化を感じ取ったラグラスは、直ぐにその怒りを収めるように、ソウスケに悪意はないと伝えた上で注意した。
二人が注意してきたラグラス……ではなく、ソウスケに対して直ぐに頭を下げたこともあり、僅かな怒りを向けられたソウスケは特にその点に関して嫌味ったらしく言うつもりはなかった。
「申し訳ない、ソウスケ殿。実力はあるのだが、まだ心の方は未熟故に」
「いえいえ、全く気にしてませんよ。これが冒険者だったら、手を出さずとも怒りとか不満を隠そうとはしませんから。それに……自分の言葉にそういった反応をしてしまうという事は、それだけ自身の職に対して誇りを持っているからこそでしょう」
その反応は正しいものだと、つい怒りを零してしまった相手にそう言われ、多少の嬉しさを感じる反面……二人はそこまで考えている者に対して自分の感情を優先してしまったことを恥じた。
「というか、俺も冒険者はどうたらこうたらと悪口を言われれば、冒険者だからって一括りにするんじゃねぇっといった感じで怒りが湧くこともありますから」
「……そう言ってもらえると、非常に有難い。しかし…………そうであったか」
騎士に興味がない。
そう言われてしまえば、そもそもスカウトするのが難しいという話になってしまう。
給金に関しても、一年に白金貨十枚というのは中々に破格であり、仕事で狩ったモンスターの素材などは、全て騎士団に収めろと命令するつもりもなかった。
ただ……三人の様子から、それなりの難易度のダンジョンを攻略する事に対して……まるで何回でも周回出来るといった余裕を感じる。
決して脳筋騎士団長ではないラグラスではあるが、ここから挽回出来る言葉は出てこなかった。
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