1,056 / 1,259
千九十七話 リスクのある街
しおりを挟む
「…………凄いな」
ソウスケは目の前に移る街の大きさ、頑強さに驚きを隠せなかった。
「そうですね……………………同じく、凄いというのが単純ですが、まず零れた感想です」
ミレアナもソウスケと同じく、初めて訪れた街の大きさ等に驚かされていた。
「ふむ……なぁ、二人共」
「なんだ、ザハーク」
「この街は……王都、というものではないのだよな」
ザハークはモンスターではあるが、人間の国の中で大きく荘厳な街は王都と呼ぶ、という知識があった。
だが、二人からグレンゼブル帝国に訪れた目的の最寄り街が、王都だとは一切聞いていなかった。
それでも、目の前にある街が王都と呼ばれるものではないのか? と思ってしまう程の衝撃をザハークに与えた。
「そうだね。ここはグレンゼブル帝国だから、帝都って言うのかな? とにかく、目の前の街はその帝都じゃないよ」
「そうか…………人間の世界のあれこれは知らないが、こんなに大きな街があっても良いものなのか?」
「俺も、それはちょっと思ったよ。でも、ほら。エイリスト王国でも、ダンジョンを保有してる街は結構大きかっただろ」
過去の記憶を遡り、確かに街の大きさでは負けてないことを思い出す。
「それに、保有している国って言うか、街としての力も負けてないと思うんだ」
「ダンジョンを保有している街は、どういったダンジョンなのかもよりますが、その街だけで自給自足が出来るかもしれませんからね」
「……ふむ、なるほど。とはいえ、恐ろしくは感じないのものなのか?」
「多少、そういう風には感じてるかもしれないね。でもさ、ザハーク。この街に住んでたら、もし……万が一、大量のドラゴンに襲撃される可能性があるんだよ」
「……………………リスクのある街、なのだな」
あれだけ頑強な城壁があれば、問題無いのではないか。
そう言おうとしたが、先日ミレアナが戦った毒竜と雷竜の強さを思い出し、それが一体だけではなく大量であると仮定するなら……所壁が紙になるとは思えないが、それでも永遠に防ぎ続けるイージスの盾とは思えなかった。
「とはいえ、この街にトップもそこら辺は十分に考えてるだろうけどね。っと、そろそろ入れるな」
ソウスケがソウスケであることが証明されれば、楽に入れたかもしれない。
しかし、ソウスケは自分やパーティーメンバーたちが目立ってしまう、注目、視線を集めてしまうことは致し方ないと受け入れているが……それでも不用意に自分から目立と行動はしたくない。
「っ…………この街には、何用で」
「冒険者なので、冒険しに来ました」
ドラゴニックバレーの最寄り街ということもあり、門兵の戦闘力も並ではない。
そして彼らは戦闘力だけではなく、観察眼も鍛えられている。
ギルドカードという身分証明を拝見し、目の前の青年? がソウスケ、エルフの美女がミレアナという名前であることを確認。
そして、見た目が鬼人族と思わしき人物は、冒険者ギルドが用意している従魔の証明を身に付けていた。
(なるほど……英雄ならではの答え、か)
下手に力を持っている者であれば、調子に乗った態度を取っていたかもしれない。
だが、目の前の三人からは純粋な強さ、バラの様な美し強さ、そして深く計り知れない不気味な強さを感じる。
門兵の男は実際にソウスケたちの姿を見たことは一度もなく、細かい情報なども集めていなかった。
それでも、戦闘者としての直感が告げた。
目の前の人物たちはあのソウスケであり、あのミレアナとあのザハークであると。
「そうですか。お泊りの宿が決まっていなければ、街の中心からあまり離れていない宿をお勧めします」
「ありがとうございます」
全く嫌味のない笑顔でお礼を口にし、仲間たちと共に街中に入っていくソウスケ。
(……本当に、そこら辺のぼんくら共とは格が違うな)
あの人物たちがエイリスト王国にいた。
門兵はそれがルクローラ王国最大の不運だったのだと思い、特別親しい友人などがルクローラ王国にいる訳ではないが、ほんの少しだけ可哀想だったなと思った。
ソウスケは目の前に移る街の大きさ、頑強さに驚きを隠せなかった。
「そうですね……………………同じく、凄いというのが単純ですが、まず零れた感想です」
ミレアナもソウスケと同じく、初めて訪れた街の大きさ等に驚かされていた。
「ふむ……なぁ、二人共」
「なんだ、ザハーク」
「この街は……王都、というものではないのだよな」
ザハークはモンスターではあるが、人間の国の中で大きく荘厳な街は王都と呼ぶ、という知識があった。
だが、二人からグレンゼブル帝国に訪れた目的の最寄り街が、王都だとは一切聞いていなかった。
それでも、目の前にある街が王都と呼ばれるものではないのか? と思ってしまう程の衝撃をザハークに与えた。
「そうだね。ここはグレンゼブル帝国だから、帝都って言うのかな? とにかく、目の前の街はその帝都じゃないよ」
「そうか…………人間の世界のあれこれは知らないが、こんなに大きな街があっても良いものなのか?」
「俺も、それはちょっと思ったよ。でも、ほら。エイリスト王国でも、ダンジョンを保有してる街は結構大きかっただろ」
過去の記憶を遡り、確かに街の大きさでは負けてないことを思い出す。
「それに、保有している国って言うか、街としての力も負けてないと思うんだ」
「ダンジョンを保有している街は、どういったダンジョンなのかもよりますが、その街だけで自給自足が出来るかもしれませんからね」
「……ふむ、なるほど。とはいえ、恐ろしくは感じないのものなのか?」
「多少、そういう風には感じてるかもしれないね。でもさ、ザハーク。この街に住んでたら、もし……万が一、大量のドラゴンに襲撃される可能性があるんだよ」
「……………………リスクのある街、なのだな」
あれだけ頑強な城壁があれば、問題無いのではないか。
そう言おうとしたが、先日ミレアナが戦った毒竜と雷竜の強さを思い出し、それが一体だけではなく大量であると仮定するなら……所壁が紙になるとは思えないが、それでも永遠に防ぎ続けるイージスの盾とは思えなかった。
「とはいえ、この街にトップもそこら辺は十分に考えてるだろうけどね。っと、そろそろ入れるな」
ソウスケがソウスケであることが証明されれば、楽に入れたかもしれない。
しかし、ソウスケは自分やパーティーメンバーたちが目立ってしまう、注目、視線を集めてしまうことは致し方ないと受け入れているが……それでも不用意に自分から目立と行動はしたくない。
「っ…………この街には、何用で」
「冒険者なので、冒険しに来ました」
ドラゴニックバレーの最寄り街ということもあり、門兵の戦闘力も並ではない。
そして彼らは戦闘力だけではなく、観察眼も鍛えられている。
ギルドカードという身分証明を拝見し、目の前の青年? がソウスケ、エルフの美女がミレアナという名前であることを確認。
そして、見た目が鬼人族と思わしき人物は、冒険者ギルドが用意している従魔の証明を身に付けていた。
(なるほど……英雄ならではの答え、か)
下手に力を持っている者であれば、調子に乗った態度を取っていたかもしれない。
だが、目の前の三人からは純粋な強さ、バラの様な美し強さ、そして深く計り知れない不気味な強さを感じる。
門兵の男は実際にソウスケたちの姿を見たことは一度もなく、細かい情報なども集めていなかった。
それでも、戦闘者としての直感が告げた。
目の前の人物たちはあのソウスケであり、あのミレアナとあのザハークであると。
「そうですか。お泊りの宿が決まっていなければ、街の中心からあまり離れていない宿をお勧めします」
「ありがとうございます」
全く嫌味のない笑顔でお礼を口にし、仲間たちと共に街中に入っていくソウスケ。
(……本当に、そこら辺のぼんくら共とは格が違うな)
あの人物たちがエイリスト王国にいた。
門兵はそれがルクローラ王国最大の不運だったのだと思い、特別親しい友人などがルクローラ王国にいる訳ではないが、ほんの少しだけ可哀想だったなと思った。
393
あなたにおすすめの小説
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』
アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた
【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。
カクヨム版の
分割投稿となりますので
一話が長かったり短かったりしています。
無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった!
「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」
主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!
【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました
KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」
勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、
ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。
追放すらできない規約のせいで、
“事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。
だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。
《超記録》――
敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。
生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。
努力で《成長》スキルを獲得し、
記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。
やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。
対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、
記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。
一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。
さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。
街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。
優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。
捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。
爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる