転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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千百十四話 やはり楽園だった?

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「はぁ~~~~~~……幸せだな」

「ですね」

「あぁ、最高だ」

すっかり日も暮れ、ソウスケたちは陰になりそうな場所で夕食を食べていた。

当然、メインディッシュは本日討伐したドラゴンの肉たち。

(はぁ~~~、ワイバーンの肉も当然美味いんだけど、火竜のこの肉汁が止まらない感じもたまらない……)

ソウスケたちは火竜や岩竜の体を変に消し飛ばしたりはしなかったこともあり、肉は大量にある。

「少々固いが、岩竜の肉も最高に美味いな」

「そうですね。これはこれで良い噛み応えと言えるでしょう」

ミレアナもすっかりドラゴン肉の虜になっており、普段以上にモリモリと焼いては食ってを繰り返す。

「ぷはぁ~~~~~~…………ヤバい、幸せ過ぎる~~~~~~」

「同感だ……闘争心が満たされる戦いができ、しかも夕食にはこの様な料理を…………やはり、ここは楽園だったな」

ドラゴニックバレーを本当の意味で楽園と呼ぶのは、ザハークぐらいである。

そういった言葉でツッコみを入れようと思ったものの、ミレアナはいつも以上の満腹感によって、今はどうでもいいやという気持ちが勝った。


「なは~~~~。このまま寝てしまいそうだ~~~」

食後の風呂に入り、いつも以上の満腹感もあって、本当に湯船の中で寝そうになっていた。

(……そういえば、骨ってこう……濃厚スープ? を造るのに使えたよな)

前世では特に料理大好き少年ではなく、一般的な知識しかなかった。
だが、なんとなく骨を煮込めば美味いスープが作れるという知識はあった。

(…………今度、やってみるか)

ドラゴンの骨というのは、どの部分の骨であっても、重要な素材という認識を持たれている。

武器や防具、錬金術に……はたまた剥製に。
故に、料理の為にドラゴンの素材を使うという発想は、まず浮かばない。

勿体ない、売った方が金になる、装備に使った方が……否定する内容は多くある。
だが……ソウスケは金にも困っておらず、装備にも困っていない。
否定されるであろう内容に対し、思いっきり自分は大丈夫なんでと返せる。

「ふ~~~。ザハーク~~、入って良いぞ~~~」

「そうか。では、見張りを頼む」

「はいよ~~~」

風呂上がりに冷えた果実水を喉に流し込み、頼まれた通り……何が起こっても直ぐに対処出来るようにソウスケはグラディウス……ではなく、普段は指輪状態にしている蛇腹剣を通常状態にしていた。

「……珍しいですね、ソウスケさん」

「おぅ、ミレアナも上がったか」

「はい、良いお湯でした…………やはり、ソウスケさんでも緊張するのですね」

「そりゃな~。だって、溶岩竜やガルム、クリムゾンリビングデットナイト、オールドオーガ並みのモンスターがゴロゴロいるってなるとな……ワクワク感半分、恐ろしさ半分ってものだよ」

割と戦いを楽しむところがあるソウスケだが、さすがにザハークほど闘争欲は振り切れていない。

既に日も暮れている状況というのもあり、いざという時には武器の強さに物を言わせて襲撃者を仕留められるようにと考えていた。

「そうですね……そう考えると、やはりここは恐ろしく……謎に満ちた場所ですね」

「ドラゴンたちが住み着く場所だもんな~~~…………もしかしたら、本当にこの土地周辺、もしくは地下とかに何かしらの要素? があるのかもな」

「ふむ…………可能性としては、それもありえっ!!!!!!!」

ミレアナだけではなく、ソウスケも襲撃に備えて武器を持つだけではなく、感知系のスキルも発動していた。

しかし、ミレアナはソウスケよりも一瞬早く、空気が空間を裂く音を耳にした。

「疾ッ!!!!!!!!!!」

飛来した攻撃は……細いブレス。
ただし、通常のブレスを圧縮して放った、貫通力が高められた風のブレスだった。

ミレアナはそれを一瞬にして強化系スキルを発動し、右足に旋風を纏い、蹴り上げた。

「ミレアナっ!!!」

「ご安心を、ソウスケさん。今すぐ仕留めてきますので」

異変が気付いたザハークが風呂から出てくるよりも先に、ミレアナは一応ポーションを飲みながら全力で駆け出した。
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