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千百二十八話 衝突はしてない
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「では、こちらにどうぞ」
「はい」
手に入れた素材の全てを売却するつもりはないが、全てを懐に入れたままにするつもりはない。
「これ、全部売却でお願いします」
「か、畏まりました。少々お待ちください」
受付嬢は予め呼んでおいた同僚たちと、一斉に査定を始める。
火竜と風竜、岩竜の素材だけではなく、多数のリザードやワイバーン、リザードマンの素材などもあるため、鑑定が終わるまでにかなりの時間が掛かってしまう。
「っ!!?? そ、ソウスケ、さん。この……この毛皮は、もしや」
「あ、はい。それはヴァレードタイガーの毛皮です」
「「「ッ…………」」」
伝えられた名前の衝撃が大き過ぎて、三人の受付嬢は数秒間だけ完全に固まってしまった。
そこで、カウンターでソウスケからBランクドラゴンの魔石を四つ見せられた受付嬢は、ある事に気付いた。
「ソウスケさん。もしや、そのヴァレードタイガーを討伐する時、魔石を切断してしまったのですか?」
「いや、ザハークは魔石を傷付けずに倒しましたよ。ただ、その前に……えっと…………」
「ソウスケさん、深紅です」
ミレアナから助け舟を出され、ソウスケはバラスタたちが所属しているクラン名を思い出した。
「あぁ、そうだった。深紅っていうクランの人たちが先にヴァレードタイガーと戦ってたんですよ。ただ、メンバーの一人が攻撃に耐え切れず吹き飛ばされて、そこから戦況がかなり悪くなったんで、間に入ったんですよ」
「その後、主にザハークが戦い、ヴァレードタイガーを討伐しました。ですが、先に戦っていたのが深紅に所属するバラスタさんたちだったので、素材の中で一番高価な魔石は彼等に譲りました」
「なるほど。そういう事情があったのですね」
先にクラン、深紅に所属しているメンバーたちがヴァレードタイガーと戦っていたと聞いた瞬間、受付嬢たちは背中から冷や汗が流れ始めた。
三人というメンバーで、Bランクドラゴンを計四体も討伐している。
そしてリーダーである冒険者の名前がソウスケであり、傍には超絶美人のエルフが付いている。
そこまで解れば、一般人よりも確実に冒険者たちの情報が集まってくる受付嬢たちは、今目の前にいる冒険者が、あのソウスケだと気付く。
そんな有名どころの国外冒険者が、レイウルの中でも大手に入るクランと衝突するとなれば……受付嬢たちにとってはあまり関係ないといえばないが、それでも想像しただけで変な汗が出てしまう。
上の職員たちが聞けば、卒倒してもおかしくない。
とはいえ、両者共に大人の対応をしていると知り、受付嬢たちは背中から流れる冷や汗が止まった。
(でも……ソウスケさんたちがレイウルに訪れたのは、おそらくここ最近よね? なのに、こんなに大量のワイバーンやリザードを……いや、亜竜を狩る分には全然良いのだけど…………一気に四体も倒すなんて)
ドラゴニックバレーでは、そこを住処とするドラゴンたちの間で暗黙のルールのようなものは存在する。
ただ、冒険者側には特に何かしらのルールはない。
強いて言えば、ギルドがCランク以下の冒険者たちは入れさせない様にしてるだけ。
(何体生息してるかなんて、正確な数は知らないけど……大丈夫、よね?)
ここ最近レイウルに訪れた、そしてドラゴニックバレーまでの距離などを考えると、おそらく十日以内という計算に至った受付嬢。
三人で、十日以内に四体のBランクドラゴンを討伐した実力を考えると、ソウスケたちにとって……ドラゴニックバレーに生息するドラゴンが狩り尽くされるのではないか、という不安が浮かんだ。
そんな不安は、今まで一度も彼女の脳内に浮かんだことはない。
何故なら……Cランク以下の冒険者を入れないと、ギルドが制限を行っていたとしても、死ぬ冒険者は死ぬ。
大手クランの在籍メンバーであっても、死ぬときは死んでしまう。
しかし、彼女は元冒険者といった経歴を持たない一般的な受付嬢ではあるが、それでも……ソウスケたちが苦労してBランクドラゴンを討伐したようには思えなかった。
「はい」
手に入れた素材の全てを売却するつもりはないが、全てを懐に入れたままにするつもりはない。
「これ、全部売却でお願いします」
「か、畏まりました。少々お待ちください」
受付嬢は予め呼んでおいた同僚たちと、一斉に査定を始める。
火竜と風竜、岩竜の素材だけではなく、多数のリザードやワイバーン、リザードマンの素材などもあるため、鑑定が終わるまでにかなりの時間が掛かってしまう。
「っ!!?? そ、ソウスケ、さん。この……この毛皮は、もしや」
「あ、はい。それはヴァレードタイガーの毛皮です」
「「「ッ…………」」」
伝えられた名前の衝撃が大き過ぎて、三人の受付嬢は数秒間だけ完全に固まってしまった。
そこで、カウンターでソウスケからBランクドラゴンの魔石を四つ見せられた受付嬢は、ある事に気付いた。
「ソウスケさん。もしや、そのヴァレードタイガーを討伐する時、魔石を切断してしまったのですか?」
「いや、ザハークは魔石を傷付けずに倒しましたよ。ただ、その前に……えっと…………」
「ソウスケさん、深紅です」
ミレアナから助け舟を出され、ソウスケはバラスタたちが所属しているクラン名を思い出した。
「あぁ、そうだった。深紅っていうクランの人たちが先にヴァレードタイガーと戦ってたんですよ。ただ、メンバーの一人が攻撃に耐え切れず吹き飛ばされて、そこから戦況がかなり悪くなったんで、間に入ったんですよ」
「その後、主にザハークが戦い、ヴァレードタイガーを討伐しました。ですが、先に戦っていたのが深紅に所属するバラスタさんたちだったので、素材の中で一番高価な魔石は彼等に譲りました」
「なるほど。そういう事情があったのですね」
先にクラン、深紅に所属しているメンバーたちがヴァレードタイガーと戦っていたと聞いた瞬間、受付嬢たちは背中から冷や汗が流れ始めた。
三人というメンバーで、Bランクドラゴンを計四体も討伐している。
そしてリーダーである冒険者の名前がソウスケであり、傍には超絶美人のエルフが付いている。
そこまで解れば、一般人よりも確実に冒険者たちの情報が集まってくる受付嬢たちは、今目の前にいる冒険者が、あのソウスケだと気付く。
そんな有名どころの国外冒険者が、レイウルの中でも大手に入るクランと衝突するとなれば……受付嬢たちにとってはあまり関係ないといえばないが、それでも想像しただけで変な汗が出てしまう。
上の職員たちが聞けば、卒倒してもおかしくない。
とはいえ、両者共に大人の対応をしていると知り、受付嬢たちは背中から流れる冷や汗が止まった。
(でも……ソウスケさんたちがレイウルに訪れたのは、おそらくここ最近よね? なのに、こんなに大量のワイバーンやリザードを……いや、亜竜を狩る分には全然良いのだけど…………一気に四体も倒すなんて)
ドラゴニックバレーでは、そこを住処とするドラゴンたちの間で暗黙のルールのようなものは存在する。
ただ、冒険者側には特に何かしらのルールはない。
強いて言えば、ギルドがCランク以下の冒険者たちは入れさせない様にしてるだけ。
(何体生息してるかなんて、正確な数は知らないけど……大丈夫、よね?)
ここ最近レイウルに訪れた、そしてドラゴニックバレーまでの距離などを考えると、おそらく十日以内という計算に至った受付嬢。
三人で、十日以内に四体のBランクドラゴンを討伐した実力を考えると、ソウスケたちにとって……ドラゴニックバレーに生息するドラゴンが狩り尽くされるのではないか、という不安が浮かんだ。
そんな不安は、今まで一度も彼女の脳内に浮かんだことはない。
何故なら……Cランク以下の冒険者を入れないと、ギルドが制限を行っていたとしても、死ぬ冒険者は死ぬ。
大手クランの在籍メンバーであっても、死ぬときは死んでしまう。
しかし、彼女は元冒険者といった経歴を持たない一般的な受付嬢ではあるが、それでも……ソウスケたちが苦労してBランクドラゴンを討伐したようには思えなかった。
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