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千百三十三話 助長はさせたくない
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ドラゴニックバレーから帰還して数日間、ソウスケたちはのんびり休日を楽しんでいた……が、ソウスケに関しては鉱石集めに勤しんでいた。
以前、ある鉱山で採掘した鉱石がかなり減っており、ダンジョンの宝箱から鉱石を手に入れたこともあるが、そういった鉱石は非常に貴重であり、そう簡単に使うことが出来ない。
「これ、まだ他にも在庫がありますか?」
「え、えぇ。勿論ございます」
「……それじゃあ、三分の一程ください。お金ならちゃんとあるので安心してください」
「かしこまりました。直ぐに持ってまいります」
従業員は直ぐに他の従業員に伝え、倉庫から鉱石を運び出す。
「全て購入しなくてよろしいのですか?」
ソウスケの財力であれば、店の一種の鉱石を買い占めることも出来る。
「この店を贔屓にしてる工房があるかもしれないだろ。レイウルである程度長く活動するつもりだから、他の工房喧嘩したりしたくない」
「なるほど……私が軽率でした」
確かに財力はある。
しかし、長く腰を下ろす街でその様な財力に物を言わせた横暴な行動を取れば、非難されるのは目に見えている。
「お客様、お待たせしました。お値段、こちらになります」
「分かりました…………確認してください。丁度ある筈です」
「…………はい、確認させていただきました。丁度頂きます」
従業員は満面な笑みを浮かべながら、きっちり九十度に腰を折ってソウスケとミレアナを見送った。
今回ソウスケが大量に購入した鉱石は、決して高い鉱石ではないが、それでも大量に売れれば、それだけの多くの利益が入ってくるので、従業員たちとしては万々歳であった。
「ソウスケさん、ここでも露店で商品を売るのですか?」
「ん? まぁ……そうだな。どっかのタイミングで売ろうと思ってるよ」
「そうですか。であれば、先に市場調査をしておいた方がよろしいかと」
また露店で商品を販売する。
それを聞いて、ミレアナはまた自分もポーションや杖を本格的に造ろうと思ったと同時に、今回はしっかりと多くの店がどの品質の武器をどれだけの値段で販売しているのか、しっかりと確認しておいた方が良いと感じた。
「鍛冶師たちと喧嘩にならない様に、か?」
「そんなところです。ソウスケさんは……販売する商品の値段を、あまり気にしないので」
あくまで錬金術、鍛冶は趣味。
それは特に悪いことではなく、ミレアナも錬金術は趣味で本業ではないと認識している。
本業でガッツリ稼いでいるからこそ、趣味でそこまで儲けようとしなくても良い……その感覚は、理解出来る。
ただ、ソウスケは本当に品質の高い商品を安く販売してしまう。
「本来はルーキーたちが手の届かない武器を購入出来てしまうと、あまり良くないことになるかと」
「あぁ~~~、なるほど。武器の力を、自分の力だと納得してしまうってことか」
ソウスケの言葉に、ミレアナは小さく頷いた。
世間一般的には、ランク三や四の武器であっても中堅どころの冒険者たちが主に使う武器であり、ルーキーたちには中々手が届かない。
ルーキーたちも、どうしようもないバカではない。
ランク三、四の武器でBランク……ましてやAランクのドラゴンを討伐出来るとは思っていない。
ただ……ランク三か四の武器があれば、リザードやワイバーン、リザードマンなどの亜竜と呼ばれる存在には勝てるのではないかと思ってしまう。
(あんまり安くし過ぎると、勘違いしてうっかり死んでしまうルーキーが増えてしまうのか……うん、それは避けたいな。そういう死に方を助長させたくはない)
ルーキーの中でも、Cランク冒険者に近い実力を持つ者であれば話は別だが、そうではない凡なルーキーたちが手にしても、逆に鋭い爪で切り裂かれ、凶悪な牙で噛み千切られ、予想外の剣術で斬り捨てられてしまう。
Cランクのモンスターとは、本来中堅どころに到達した戦闘者たちが相手にするモンスター。
加えて、ドラゴニックバレー付近に生息している亜竜たちとなれば、多少の恩恵を受けており……既にワイバーンたちと戦闘経験がある者であっても、油断すれば逝かれてしまう。
(それじゃあ、昼からは冷やかしかと思われるだろうけど、いくつか武器屋を見て周って………………あれ?)
もしかしなくても、ロックオンされていると感じ取ったソウスケ。
昼食前に、片付けなければならない問題と遭遇してしまった。
以前、ある鉱山で採掘した鉱石がかなり減っており、ダンジョンの宝箱から鉱石を手に入れたこともあるが、そういった鉱石は非常に貴重であり、そう簡単に使うことが出来ない。
「これ、まだ他にも在庫がありますか?」
「え、えぇ。勿論ございます」
「……それじゃあ、三分の一程ください。お金ならちゃんとあるので安心してください」
「かしこまりました。直ぐに持ってまいります」
従業員は直ぐに他の従業員に伝え、倉庫から鉱石を運び出す。
「全て購入しなくてよろしいのですか?」
ソウスケの財力であれば、店の一種の鉱石を買い占めることも出来る。
「この店を贔屓にしてる工房があるかもしれないだろ。レイウルである程度長く活動するつもりだから、他の工房喧嘩したりしたくない」
「なるほど……私が軽率でした」
確かに財力はある。
しかし、長く腰を下ろす街でその様な財力に物を言わせた横暴な行動を取れば、非難されるのは目に見えている。
「お客様、お待たせしました。お値段、こちらになります」
「分かりました…………確認してください。丁度ある筈です」
「…………はい、確認させていただきました。丁度頂きます」
従業員は満面な笑みを浮かべながら、きっちり九十度に腰を折ってソウスケとミレアナを見送った。
今回ソウスケが大量に購入した鉱石は、決して高い鉱石ではないが、それでも大量に売れれば、それだけの多くの利益が入ってくるので、従業員たちとしては万々歳であった。
「ソウスケさん、ここでも露店で商品を売るのですか?」
「ん? まぁ……そうだな。どっかのタイミングで売ろうと思ってるよ」
「そうですか。であれば、先に市場調査をしておいた方がよろしいかと」
また露店で商品を販売する。
それを聞いて、ミレアナはまた自分もポーションや杖を本格的に造ろうと思ったと同時に、今回はしっかりと多くの店がどの品質の武器をどれだけの値段で販売しているのか、しっかりと確認しておいた方が良いと感じた。
「鍛冶師たちと喧嘩にならない様に、か?」
「そんなところです。ソウスケさんは……販売する商品の値段を、あまり気にしないので」
あくまで錬金術、鍛冶は趣味。
それは特に悪いことではなく、ミレアナも錬金術は趣味で本業ではないと認識している。
本業でガッツリ稼いでいるからこそ、趣味でそこまで儲けようとしなくても良い……その感覚は、理解出来る。
ただ、ソウスケは本当に品質の高い商品を安く販売してしまう。
「本来はルーキーたちが手の届かない武器を購入出来てしまうと、あまり良くないことになるかと」
「あぁ~~~、なるほど。武器の力を、自分の力だと納得してしまうってことか」
ソウスケの言葉に、ミレアナは小さく頷いた。
世間一般的には、ランク三や四の武器であっても中堅どころの冒険者たちが主に使う武器であり、ルーキーたちには中々手が届かない。
ルーキーたちも、どうしようもないバカではない。
ランク三、四の武器でBランク……ましてやAランクのドラゴンを討伐出来るとは思っていない。
ただ……ランク三か四の武器があれば、リザードやワイバーン、リザードマンなどの亜竜と呼ばれる存在には勝てるのではないかと思ってしまう。
(あんまり安くし過ぎると、勘違いしてうっかり死んでしまうルーキーが増えてしまうのか……うん、それは避けたいな。そういう死に方を助長させたくはない)
ルーキーの中でも、Cランク冒険者に近い実力を持つ者であれば話は別だが、そうではない凡なルーキーたちが手にしても、逆に鋭い爪で切り裂かれ、凶悪な牙で噛み千切られ、予想外の剣術で斬り捨てられてしまう。
Cランクのモンスターとは、本来中堅どころに到達した戦闘者たちが相手にするモンスター。
加えて、ドラゴニックバレー付近に生息している亜竜たちとなれば、多少の恩恵を受けており……既にワイバーンたちと戦闘経験がある者であっても、油断すれば逝かれてしまう。
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もしかしなくても、ロックオンされていると感じ取ったソウスケ。
昼食前に、片付けなければならない問題と遭遇してしまった。
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