1,106 / 1,259
千百四十七話 ルール故に
しおりを挟む
「ぬぅううおおおあああああああああああッ!!!!!!」
「ッ!!!!!!!!!!!」
ザハークが大剣から繰り出した渾身の水斬波を放ったのに対し、風竜は両翼から渾身の斬撃波を放ち、激突。
だが、大型の風竜はそれだけでは終わらず、直後にブレスを放っていた。
「フハハハハハッ!!!!!!!」
X型となって放たれた斬撃波に加えて、風のブレスも追加されたことで、完全に押され始めたと気付いたザハーク。
その状況に対して、ザハークは高らかに笑い、柄で水斬波を放った。
「ッ、シィィィイイアアアアアアアアッ!!!!!!!」
次は大型風竜がこのままでは不味いと感じ取り、今度は全力で風の爪撃を叩き込む。
「ヌハッハッハッ!!!!!!」
そこからは、もはや技術も戦略もない、ただの力の押し合いだった。
「ふっふっふ……良き力だったぞ、風竜」
ザハークは衝突から抜けた風斬を浴びており、体のところどころから血を流しながらも、満足気な笑みを浮かべながら……心臓が切断された風竜に向かって、称賛を送った。
「はいはい、それは認めるけどちゃんとポーションを飲んでくれよ」
「あぁ、解っている………………うむ、やはり不味いな」
ソウスケからポーションを受け取ったザハーク。
一気飲みすると、たちまち大型の風竜から受けた切傷が消えていった。
「とりあえず、お疲れさん。楽しめたようでなによりだよ」
「あぁ、良き戦いだった……しかし、あの様な風竜がいるとはな。あれは……亜種といった存在なのか?」
「ん~~~~~、それはどうだろうな。体系が違うだけでは、なんとも言えないかな」
見た目は風竜でありつつも、体色が緑やそれに近い色ではないものであれば、亜種である可能性は高い。
だが、ソウスケが一応鑑定して視た結果、特に亜種や希少種といった言葉は記されていなかった。
「そうだったか………………」
「? どうかしたか、ザハーク」
「あの風竜……これからの成長次第では、Aランクへと進化できたのではないかと思えてきてな」
現在ミレアナによって血抜きされている風竜の死体を見ながら、ポツリ口にしたザハーク。
「あぁ、そうかもね。その可能性は十分あったんじゃないかな」
「ですね」
「ッ!! 二人共、気付いていたのか」
「そりゃ外からザハークと風竜の戦いっぷり見てたからね」
大剣を使っているザハークの方が強い……とは安易に断言出来ない。
ただ、遊び心はありつつも、ザハークは真剣に戦っていた。
それでも、大型風竜は瞬殺されることはなかった。
それだけで外から観ていた二人からすれば、十分にその可能性はあると感じ取れる。
「何故……どうしてその時、言ってくれなかったんだ」
「「…………」」
ザハークの反応を見て、二人は若干呆れた表情を浮かべながら、やはり伝えなくて正解だったと思った。
「仮にそれを伝えたら、どうするつもりだったんだ?」
「それは………………? そう、だな…………結局のところ、どうにも出来ない、か?」
「ん? それはどういう…………あぁ、そうだな。うん、すっかり忘れてた」
どうにかこうして限界でまで追い詰め、大型風竜が逃走するように仕向ける。
悔しさをバネに更に強くなるだろうと考えていたザハークだが、ここはドラゴニックバレー。
そこに住むドラゴンたち……モンスターたちの中には暗黙のルールがあり、人間に負けたモンスターは出ていかなければならない。
最終的にザハークがほぼ一人で討伐したヴァレードタイガーの稀有な存在もいるが、基本的に追い出されてしまうからこそ、ミレアナが戦った毒竜や雷竜の様なドラゴンがドラゴニックバレー以外の場所で生息している。
故に、ザハークは一応オーガではあるものの、人間と組んで行動している従魔ということもあって、敗走すれば待っているのは退去。
なので、結局のところAランクに進化した大型の風竜と再び遭遇するというのは、無理な話だった。
「ッ!!!!!!!!!!!」
ザハークが大剣から繰り出した渾身の水斬波を放ったのに対し、風竜は両翼から渾身の斬撃波を放ち、激突。
だが、大型の風竜はそれだけでは終わらず、直後にブレスを放っていた。
「フハハハハハッ!!!!!!!」
X型となって放たれた斬撃波に加えて、風のブレスも追加されたことで、完全に押され始めたと気付いたザハーク。
その状況に対して、ザハークは高らかに笑い、柄で水斬波を放った。
「ッ、シィィィイイアアアアアアアアッ!!!!!!!」
次は大型風竜がこのままでは不味いと感じ取り、今度は全力で風の爪撃を叩き込む。
「ヌハッハッハッ!!!!!!」
そこからは、もはや技術も戦略もない、ただの力の押し合いだった。
「ふっふっふ……良き力だったぞ、風竜」
ザハークは衝突から抜けた風斬を浴びており、体のところどころから血を流しながらも、満足気な笑みを浮かべながら……心臓が切断された風竜に向かって、称賛を送った。
「はいはい、それは認めるけどちゃんとポーションを飲んでくれよ」
「あぁ、解っている………………うむ、やはり不味いな」
ソウスケからポーションを受け取ったザハーク。
一気飲みすると、たちまち大型の風竜から受けた切傷が消えていった。
「とりあえず、お疲れさん。楽しめたようでなによりだよ」
「あぁ、良き戦いだった……しかし、あの様な風竜がいるとはな。あれは……亜種といった存在なのか?」
「ん~~~~~、それはどうだろうな。体系が違うだけでは、なんとも言えないかな」
見た目は風竜でありつつも、体色が緑やそれに近い色ではないものであれば、亜種である可能性は高い。
だが、ソウスケが一応鑑定して視た結果、特に亜種や希少種といった言葉は記されていなかった。
「そうだったか………………」
「? どうかしたか、ザハーク」
「あの風竜……これからの成長次第では、Aランクへと進化できたのではないかと思えてきてな」
現在ミレアナによって血抜きされている風竜の死体を見ながら、ポツリ口にしたザハーク。
「あぁ、そうかもね。その可能性は十分あったんじゃないかな」
「ですね」
「ッ!! 二人共、気付いていたのか」
「そりゃ外からザハークと風竜の戦いっぷり見てたからね」
大剣を使っているザハークの方が強い……とは安易に断言出来ない。
ただ、遊び心はありつつも、ザハークは真剣に戦っていた。
それでも、大型風竜は瞬殺されることはなかった。
それだけで外から観ていた二人からすれば、十分にその可能性はあると感じ取れる。
「何故……どうしてその時、言ってくれなかったんだ」
「「…………」」
ザハークの反応を見て、二人は若干呆れた表情を浮かべながら、やはり伝えなくて正解だったと思った。
「仮にそれを伝えたら、どうするつもりだったんだ?」
「それは………………? そう、だな…………結局のところ、どうにも出来ない、か?」
「ん? それはどういう…………あぁ、そうだな。うん、すっかり忘れてた」
どうにかこうして限界でまで追い詰め、大型風竜が逃走するように仕向ける。
悔しさをバネに更に強くなるだろうと考えていたザハークだが、ここはドラゴニックバレー。
そこに住むドラゴンたち……モンスターたちの中には暗黙のルールがあり、人間に負けたモンスターは出ていかなければならない。
最終的にザハークがほぼ一人で討伐したヴァレードタイガーの稀有な存在もいるが、基本的に追い出されてしまうからこそ、ミレアナが戦った毒竜や雷竜の様なドラゴンがドラゴニックバレー以外の場所で生息している。
故に、ザハークは一応オーガではあるものの、人間と組んで行動している従魔ということもあって、敗走すれば待っているのは退去。
なので、結局のところAランクに進化した大型の風竜と再び遭遇するというのは、無理な話だった。
296
あなたにおすすめの小説
無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった!
「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」
主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』
アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた
【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。
カクヨム版の
分割投稿となりますので
一話が長かったり短かったりしています。
【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました
KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」
勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、
ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。
追放すらできない規約のせいで、
“事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。
だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。
《超記録》――
敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。
生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。
努力で《成長》スキルを獲得し、
記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。
やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。
対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、
記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。
一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。
さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。
街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。
優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。
捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。
爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる