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千百四十六話 止めておこう
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「なんか……ちょっと厳ついな、あの風竜」
問題無く再びドラゴニックバレーに足を踏み入れたソウスケたち。
そして探索を始めてから約二時間後、一体の風竜と遭遇。
元々最初の一体目とはザハークが戦うと決めていたため、現在戦っているのはザハーク。
「そうですね。先日、夜中に私が戦った風竜と比べてかなり線が太いかと」
「やっぱりそうだよな」
実際に戦闘経験がある者たちからすれば、風竜というのは割と線が細いイメージが強い。
一般的なドラゴンの体型以上の体型にならないだろうという、勝手なイメージを持たれている。
しかし、現在大剣を振るっているザハークと戦っている風竜は、明らかに一般的な風竜と比べて線が太い。
「ジャァアアアアアアア!!!!!」
「ッ!!!! ハッハッハ!!! 良い、パワーを持ってるじゃないか!!!!!」
そして、ただ線が太いだけではなく、がっつり筋肉が付いており、ただの爪撃だけでも相当な威力を有している。
そんなパワーもある風竜に遭遇出来て、ザハークは非常に満足していた。
「パワーがあって、風を纏える……だからこそ、ザハークも素手で対応する訳にはいかないのでしょうね」
「そうだね。てっきり、ザハークならそんな事を無視して素手で打ち破ろうとするのかと思ってたけど」
「……もしかしたら、ただ単に今は大剣を使って戦いたい気分なだけだったのかもしれませんね」
ソウスケの言葉を聞いて、確かにザハークがそこまで考えることはないだろうと思ったミレアナ。
実際のところ……それは半分正解で、半分ハズレだった。
ザハークは元々今日は大剣を使って戦おうと思っていたが、線が太く筋肉も半端ではない風竜を見て……本能的にこのドラゴンを相手には、大剣を使うべきだと判断した。
「それにしても、あんな風竜もいるんだね……何か、特別な個体なのかな」
「どうでしょうか…………単純に、他の個体よりも食べる量が多い個体なのかもしれません」
「他の個体よりも……そうか。それもそうだね」
現在ザハークがバチバチに戦っている風竜は、風竜の中では珍しい体型をしている。
それは間違いないが、決して元が特別な風竜という訳ではない。
ドラゴンもある程度人間と似た部分があり、多く食べて多く動けば、それだけ肉体にも影響が現れる。
実際にザハークが戦っている風竜は、ミレアナの予想通り他の風竜よりも食べる量が多く、他の個体よりも遠距離戦よりも近距離戦を好む。
戦う相手をモンスター、冒険者や騎士など選ぶことはない。
唯一戦わないのは同属性のドラゴンだけであり、他の生物とは何度も戦ってきた。
そして……ヴァレードタイガーとは違い、これまで勝利を積み重ねてきた個体でもある。
今のところランクはBであるものの、他の個体よりも戦闘経験が多い分、それだけで厄介さが増す。
加えて、Aランクへ進化できる可能性を秘めている超優良個体。
それに関して、ソウスケとミレアナはなんとなく勘付いていた。
「なぁ、ミレアナ」
「なんでしょうか、ソウスケさん」
「あの風竜……多分、もっと強くなるよな」
「そうですね。どうやら人間との戦いにも慣れている様子ですし、これから更に戦闘を積み重ねれば……今よりも上の存在になるかと」
「だよね…………ザハークにそれを伝えたら、どうなると思う」
ソウスケからの質問に、ミレアナは間髪入れずに答える。
「絶対に丁度良いところで切り上げようとするでしょう」
「やっぱりそうだよね。でもさ、こっちの意図が伝わるわけないし、それに……本当に進化しても、そうなったら同業者たちに被害が出るよね」
「自己責任ではありますが……あの個体がAランクになれば、Bランクのままであれば勝てた冒険者たちが勝てなくなってしまうでしょう」
そもそもな話、仮にザハークたちが上手く見逃すことに成功したとしても、本当にAランクに進化するという保証はない。
加えて、本当にAランクに進化したとしても、再びソウスケたちが遭遇するまで、誰にも倒されると限らない。
「……止めとくか」
「そうですね」
という訳で、下手にザハークに風竜の可能性について伝えることを止めた。
問題無く再びドラゴニックバレーに足を踏み入れたソウスケたち。
そして探索を始めてから約二時間後、一体の風竜と遭遇。
元々最初の一体目とはザハークが戦うと決めていたため、現在戦っているのはザハーク。
「そうですね。先日、夜中に私が戦った風竜と比べてかなり線が太いかと」
「やっぱりそうだよな」
実際に戦闘経験がある者たちからすれば、風竜というのは割と線が細いイメージが強い。
一般的なドラゴンの体型以上の体型にならないだろうという、勝手なイメージを持たれている。
しかし、現在大剣を振るっているザハークと戦っている風竜は、明らかに一般的な風竜と比べて線が太い。
「ジャァアアアアアアア!!!!!」
「ッ!!!! ハッハッハ!!! 良い、パワーを持ってるじゃないか!!!!!」
そして、ただ線が太いだけではなく、がっつり筋肉が付いており、ただの爪撃だけでも相当な威力を有している。
そんなパワーもある風竜に遭遇出来て、ザハークは非常に満足していた。
「パワーがあって、風を纏える……だからこそ、ザハークも素手で対応する訳にはいかないのでしょうね」
「そうだね。てっきり、ザハークならそんな事を無視して素手で打ち破ろうとするのかと思ってたけど」
「……もしかしたら、ただ単に今は大剣を使って戦いたい気分なだけだったのかもしれませんね」
ソウスケの言葉を聞いて、確かにザハークがそこまで考えることはないだろうと思ったミレアナ。
実際のところ……それは半分正解で、半分ハズレだった。
ザハークは元々今日は大剣を使って戦おうと思っていたが、線が太く筋肉も半端ではない風竜を見て……本能的にこのドラゴンを相手には、大剣を使うべきだと判断した。
「それにしても、あんな風竜もいるんだね……何か、特別な個体なのかな」
「どうでしょうか…………単純に、他の個体よりも食べる量が多い個体なのかもしれません」
「他の個体よりも……そうか。それもそうだね」
現在ザハークがバチバチに戦っている風竜は、風竜の中では珍しい体型をしている。
それは間違いないが、決して元が特別な風竜という訳ではない。
ドラゴンもある程度人間と似た部分があり、多く食べて多く動けば、それだけ肉体にも影響が現れる。
実際にザハークが戦っている風竜は、ミレアナの予想通り他の風竜よりも食べる量が多く、他の個体よりも遠距離戦よりも近距離戦を好む。
戦う相手をモンスター、冒険者や騎士など選ぶことはない。
唯一戦わないのは同属性のドラゴンだけであり、他の生物とは何度も戦ってきた。
そして……ヴァレードタイガーとは違い、これまで勝利を積み重ねてきた個体でもある。
今のところランクはBであるものの、他の個体よりも戦闘経験が多い分、それだけで厄介さが増す。
加えて、Aランクへ進化できる可能性を秘めている超優良個体。
それに関して、ソウスケとミレアナはなんとなく勘付いていた。
「なぁ、ミレアナ」
「なんでしょうか、ソウスケさん」
「あの風竜……多分、もっと強くなるよな」
「そうですね。どうやら人間との戦いにも慣れている様子ですし、これから更に戦闘を積み重ねれば……今よりも上の存在になるかと」
「だよね…………ザハークにそれを伝えたら、どうなると思う」
ソウスケからの質問に、ミレアナは間髪入れずに答える。
「絶対に丁度良いところで切り上げようとするでしょう」
「やっぱりそうだよね。でもさ、こっちの意図が伝わるわけないし、それに……本当に進化しても、そうなったら同業者たちに被害が出るよね」
「自己責任ではありますが……あの個体がAランクになれば、Bランクのままであれば勝てた冒険者たちが勝てなくなってしまうでしょう」
そもそもな話、仮にザハークたちが上手く見逃すことに成功したとしても、本当にAランクに進化するという保証はない。
加えて、本当にAランクに進化したとしても、再びソウスケたちが遭遇するまで、誰にも倒されると限らない。
「……止めとくか」
「そうですね」
という訳で、下手にザハークに風竜の可能性について伝えることを止めた。
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