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千百四話 渡さなければならない
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倒せた……赤龍を、復讐の相手を……倒せた。
まだ、息絶え絶えであるが、それでも……嬉しい事に変わりはない。
生き残った者たちと、共に激闘を征した者たちと、喜びを分かち合いたい。
ただ…………今すぐ、バカみたいに喜ぶわけにはいかない。
間違いなく、蒼天のメンバーたちは赤龍を討伐出来た。
しかし、不運にもそこで、蒼天のメンバーではない者が、外部の者たちが関わってしまった。
「はぁ、はぁ…………君たちは……ソウスケ君に、ミレアナさん。そして……従魔のザハーク、で合ってるだろうか」
今回の討伐隊のリーダーを務めた三十代半ばの人族の男は、目の前の三人の外見から、彼らの詳細を判断。
まだ、青年になりたての男性冒険者に、眼麗しいエルフの美女。
そして、非常に鬼人族に近いが……オーガである従魔。
現在、その内容を満たすパーティーは、レイウルに一つしかない。
「えぇ、その通りです。俺が、ソウスケです」
「そうか……非常に、助かった」
赤龍が背を向けて逃げようとした……というのが事実ではないと、リーダーの男は途中から気付いた。
だからこそ、まずは赤龍の動きを止め、止めを刺すところを譲ってくれた彼らに、感謝の言葉を伝えた。
(…………彼らが、いなければ…………何人、死んでいただろうか)
ブレスの威力は、赤龍がザハークの投げで地面に激突した際に、口から零れた煙の量で、ある程度察することが出来る。
放たれれば、何人かは確実に死んでいた。
死なずとも腕や脚……残っている魔力を全て持っていかれた可能性が非常に高い。
まさに、三人は自分たちが赤龍を討伐するチャンスをくれた恩人…………だからこそ、決断しなければならないことがある。
彼等は、今回の戦の為に、多くの金を突っ込んだ。
火の車になるのを承知で多額の金を突っ込んだっけか……無事赤龍を討伐し、素材を売却出来たとしても、しばらくは頑張って活動しないと火の車が継続してしまう。
だが……目の前の三人がいなければ、何が何でも討伐するどころか、場合によっては逃げられた可能背もある。
そのため、大手クランに所属する者として……同じ冒険者として、一人の人間として……その恩を、返さなければならない。
「……すぅーーーーー、はぁーーーーーー…………君たちのお陰で、赤龍を無事に討伐することが、出来た。何か……欲しい物はあるだろうか」
当然、彼らが提示できるのは、今しがた討伐した赤龍の素材。
全てというのは、今後のクランの経済事情を考えれば無理であるが、それでも一部の素材は恩返しとして提供出来る……しなければならないと、思っている。
「? 特にありませんよ」
「……………………」
彼は、ソウスケが何を言ったのか理解するのに、少し時間が掛かった。
「い、いや……しかしだな。君たちのお陰で、俺たちは赤龍を討伐することが出来た」
彼はしっかりと見ていた。
ソウスケとミレアナが大量の攻撃魔法を展開して赤龍の意識を引き寄せ、ザハークが忍び寄る僅かな時間を作ったことを。
ザハークだけではなく、三人の動きがあってこそ赤龍の動きを止めた。
「それは…………どうなのかは解りませんけど、それまで赤龍と戦い続けていたのはあなた方です。途中から観戦させてもらっていたので、あなた達の戦う姿はしっかりと見ていました」
「見事な戦いぶりでした」
「俺はソウスケさんとミレアナ……他数人程度しか認めたことはなかったが、その認識を改めさせられた戦いだった」
「っ………ありが、とう」
彼は……特に、三人と関りがある訳ではない。
それでも、ソウスケたちが強き者である事は解る。
彼だけではなく、今回の戦いに参加していた者たちも、理解している。
だからこそ、そんな三人から見事だと……賞賛の言葉を送られ、涙が零れそうになった。
まだ、息絶え絶えであるが、それでも……嬉しい事に変わりはない。
生き残った者たちと、共に激闘を征した者たちと、喜びを分かち合いたい。
ただ…………今すぐ、バカみたいに喜ぶわけにはいかない。
間違いなく、蒼天のメンバーたちは赤龍を討伐出来た。
しかし、不運にもそこで、蒼天のメンバーではない者が、外部の者たちが関わってしまった。
「はぁ、はぁ…………君たちは……ソウスケ君に、ミレアナさん。そして……従魔のザハーク、で合ってるだろうか」
今回の討伐隊のリーダーを務めた三十代半ばの人族の男は、目の前の三人の外見から、彼らの詳細を判断。
まだ、青年になりたての男性冒険者に、眼麗しいエルフの美女。
そして、非常に鬼人族に近いが……オーガである従魔。
現在、その内容を満たすパーティーは、レイウルに一つしかない。
「えぇ、その通りです。俺が、ソウスケです」
「そうか……非常に、助かった」
赤龍が背を向けて逃げようとした……というのが事実ではないと、リーダーの男は途中から気付いた。
だからこそ、まずは赤龍の動きを止め、止めを刺すところを譲ってくれた彼らに、感謝の言葉を伝えた。
(…………彼らが、いなければ…………何人、死んでいただろうか)
ブレスの威力は、赤龍がザハークの投げで地面に激突した際に、口から零れた煙の量で、ある程度察することが出来る。
放たれれば、何人かは確実に死んでいた。
死なずとも腕や脚……残っている魔力を全て持っていかれた可能性が非常に高い。
まさに、三人は自分たちが赤龍を討伐するチャンスをくれた恩人…………だからこそ、決断しなければならないことがある。
彼等は、今回の戦の為に、多くの金を突っ込んだ。
火の車になるのを承知で多額の金を突っ込んだっけか……無事赤龍を討伐し、素材を売却出来たとしても、しばらくは頑張って活動しないと火の車が継続してしまう。
だが……目の前の三人がいなければ、何が何でも討伐するどころか、場合によっては逃げられた可能背もある。
そのため、大手クランに所属する者として……同じ冒険者として、一人の人間として……その恩を、返さなければならない。
「……すぅーーーーー、はぁーーーーーー…………君たちのお陰で、赤龍を無事に討伐することが、出来た。何か……欲しい物はあるだろうか」
当然、彼らが提示できるのは、今しがた討伐した赤龍の素材。
全てというのは、今後のクランの経済事情を考えれば無理であるが、それでも一部の素材は恩返しとして提供出来る……しなければならないと、思っている。
「? 特にありませんよ」
「……………………」
彼は、ソウスケが何を言ったのか理解するのに、少し時間が掛かった。
「い、いや……しかしだな。君たちのお陰で、俺たちは赤龍を討伐することが出来た」
彼はしっかりと見ていた。
ソウスケとミレアナが大量の攻撃魔法を展開して赤龍の意識を引き寄せ、ザハークが忍び寄る僅かな時間を作ったことを。
ザハークだけではなく、三人の動きがあってこそ赤龍の動きを止めた。
「それは…………どうなのかは解りませんけど、それまで赤龍と戦い続けていたのはあなた方です。途中から観戦させてもらっていたので、あなた達の戦う姿はしっかりと見ていました」
「見事な戦いぶりでした」
「俺はソウスケさんとミレアナ……他数人程度しか認めたことはなかったが、その認識を改めさせられた戦いだった」
「っ………ありが、とう」
彼は……特に、三人と関りがある訳ではない。
それでも、ソウスケたちが強き者である事は解る。
彼だけではなく、今回の戦いに参加していた者たちも、理解している。
だからこそ、そんな三人から見事だと……賞賛の言葉を送られ、涙が零れそうになった。
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