1,178 / 1,259
千百二話 そういう存在だから
しおりを挟む
「お疲れ様。それで、さっきの戦いで俺が一応ちゃんと強いってのは解ってくれたかな」
「えぇ、勿論です」
あれほど自分たちの攻撃を完全に防がれては、彼らとしても反論する言葉はない。
倒されてはいない?
確かにソウスケはノックスたちを倒そうと、戦闘不能にしようとはしなかった。
ただ、それに関してはソウスケがそれをする必要がないと判断しただけの話。
あの強さで攻撃に転じられてしまえば、瞬く間に潰されてしまう事は、彼らも理解していた。
「あなたは、紛れもなく僕たちの臨時教師です」
「そうか。そう言ってもらえると嬉しい。ただ……うん、そうだね。先に言っておこう。俺がここまで強いのは、ただ運が良かっただけなんだ」
ソウスケの言葉に対し、色々と質問したい事があるハリアルたち。
しかし、今はひとまずソウスケが言い終えるのを待つ。
「それなりに激闘は越えてきたと思うけど……君たちが考えるほど、壮絶な人生を送ってきて今に至る、とかは違う。だから、そう…………上から目線の言葉になってしまうけど、俺という存在に対して、深く考える必要はない」
非常に悪い方向的な意味で捉えられそうではあるが……彼らはソウスケが嘘を言ってないであろうことが、なんとなく解っていた。
(まぁ……あれか。ぶっちゃけ、意味不明な存在っちゃそういう存在か)
色々と思うところがあり、七人の中では一番短気なジャバだが、先程の模擬戦で自分たちの攻撃が全く……本当に全くと言って良いほど通用しなかったのを思い出し、ソウスケという臨時教師が言いたい事が、なんとなく理解出来る。
「隣のミレアナさんとか、強い従魔のお陰とかじゃなく、強くなったってことですよね」
「ん~~~、正直なところ強い相手と対峙した時、ミレアナやザハークといった強い仲間がいるからこそ、変に緊張せず思いっきり強敵に挑めたというところはあるかな」
その件に関しては、虎人族の女子生徒、ナディーもよく解る。
頼れる仲間が傍にいるといないとでは、戦闘中に深く踏み込める幅が変わってくる。
「それじゃあ、さっきの模擬戦である程度君たちの強さが解ったから、今後の予定を伝えるね」
今後の予定。
否が応でもソウスケの強さ、ただ強い仲間に恵まれただけではないという事が解った。
そのため、生徒たちの間にピリッといた緊張感が走る。
「一日か二日、ドラゴニックバレーの前で体を慣らした後、ドラゴニックバレーで活動しようと思ってる」
「「「「「「「っ!!!!」」」」」」」
もしかしたら、とは思っていた。
いずれ挑むであろう場所に、今回一足先に挑めるのではないかと。
だが、学生たちが思っていたより、その時期が早かった。
「二日後か、三日後には入る、という事ですか」
「うん、そう考えてる。だって、君たちは……多分だけど、既にリザードとかリザードマン、ワイバーンは討伐してるよね」
ソウスケの言葉に、ノックスたちは小さく頷いた。
ギリギリの超ギリギリの戦いの末、ようやく勝つことが出来た……という訳ではない。
勿論、楽な戦いでもなく、全員が既に一人で絶対に勝てるという程ではない。
ただ、ソウスケの想像通り、既にその三種のモンスターとの戦いに関して、彼らは何度も乗り越えていた。
「だから、そいつらで体を動かした後に、直ぐにBランクドラゴンたちがうようよいるドラゴニックバレーに入って、先に色々と経験しておいた方が良いでしょ。それにほら、まだ出会ったばかりだけど、戦いに関しては一応頼れる人が傍にいれば、面倒なことは気にせず戦えるでしょ」
「「「っ」」」
「あっ、どうせならミレアナと、外で待ってるザハークとも一戦やってみとく?」
「………………お願いしても、良いですか」
代表であるノックスの言葉に、ミレアナは小さくを笑みを浮かべながら了承。
彼らには既に疑いの欠片もなく、ただこれから自分たちの臨時教師になる者の強さを知りたい、体験したいという気持ちのみ。
ザハークも学生たちの気構えを察し、了承。
再び訓練場に移動した後……約五分前と似た様な光景が再生されることとなった。
「えぇ、勿論です」
あれほど自分たちの攻撃を完全に防がれては、彼らとしても反論する言葉はない。
倒されてはいない?
確かにソウスケはノックスたちを倒そうと、戦闘不能にしようとはしなかった。
ただ、それに関してはソウスケがそれをする必要がないと判断しただけの話。
あの強さで攻撃に転じられてしまえば、瞬く間に潰されてしまう事は、彼らも理解していた。
「あなたは、紛れもなく僕たちの臨時教師です」
「そうか。そう言ってもらえると嬉しい。ただ……うん、そうだね。先に言っておこう。俺がここまで強いのは、ただ運が良かっただけなんだ」
ソウスケの言葉に対し、色々と質問したい事があるハリアルたち。
しかし、今はひとまずソウスケが言い終えるのを待つ。
「それなりに激闘は越えてきたと思うけど……君たちが考えるほど、壮絶な人生を送ってきて今に至る、とかは違う。だから、そう…………上から目線の言葉になってしまうけど、俺という存在に対して、深く考える必要はない」
非常に悪い方向的な意味で捉えられそうではあるが……彼らはソウスケが嘘を言ってないであろうことが、なんとなく解っていた。
(まぁ……あれか。ぶっちゃけ、意味不明な存在っちゃそういう存在か)
色々と思うところがあり、七人の中では一番短気なジャバだが、先程の模擬戦で自分たちの攻撃が全く……本当に全くと言って良いほど通用しなかったのを思い出し、ソウスケという臨時教師が言いたい事が、なんとなく理解出来る。
「隣のミレアナさんとか、強い従魔のお陰とかじゃなく、強くなったってことですよね」
「ん~~~、正直なところ強い相手と対峙した時、ミレアナやザハークといった強い仲間がいるからこそ、変に緊張せず思いっきり強敵に挑めたというところはあるかな」
その件に関しては、虎人族の女子生徒、ナディーもよく解る。
頼れる仲間が傍にいるといないとでは、戦闘中に深く踏み込める幅が変わってくる。
「それじゃあ、さっきの模擬戦である程度君たちの強さが解ったから、今後の予定を伝えるね」
今後の予定。
否が応でもソウスケの強さ、ただ強い仲間に恵まれただけではないという事が解った。
そのため、生徒たちの間にピリッといた緊張感が走る。
「一日か二日、ドラゴニックバレーの前で体を慣らした後、ドラゴニックバレーで活動しようと思ってる」
「「「「「「「っ!!!!」」」」」」」
もしかしたら、とは思っていた。
いずれ挑むであろう場所に、今回一足先に挑めるのではないかと。
だが、学生たちが思っていたより、その時期が早かった。
「二日後か、三日後には入る、という事ですか」
「うん、そう考えてる。だって、君たちは……多分だけど、既にリザードとかリザードマン、ワイバーンは討伐してるよね」
ソウスケの言葉に、ノックスたちは小さく頷いた。
ギリギリの超ギリギリの戦いの末、ようやく勝つことが出来た……という訳ではない。
勿論、楽な戦いでもなく、全員が既に一人で絶対に勝てるという程ではない。
ただ、ソウスケの想像通り、既にその三種のモンスターとの戦いに関して、彼らは何度も乗り越えていた。
「だから、そいつらで体を動かした後に、直ぐにBランクドラゴンたちがうようよいるドラゴニックバレーに入って、先に色々と経験しておいた方が良いでしょ。それにほら、まだ出会ったばかりだけど、戦いに関しては一応頼れる人が傍にいれば、面倒なことは気にせず戦えるでしょ」
「「「っ」」」
「あっ、どうせならミレアナと、外で待ってるザハークとも一戦やってみとく?」
「………………お願いしても、良いですか」
代表であるノックスの言葉に、ミレアナは小さくを笑みを浮かべながら了承。
彼らには既に疑いの欠片もなく、ただこれから自分たちの臨時教師になる者の強さを知りたい、体験したいという気持ちのみ。
ザハークも学生たちの気構えを察し、了承。
再び訓練場に移動した後……約五分前と似た様な光景が再生されることとなった。
286
あなたにおすすめの小説
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』
アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた
【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。
カクヨム版の
分割投稿となりますので
一話が長かったり短かったりしています。
無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった!
「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」
主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました
KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」
勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、
ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。
追放すらできない規約のせいで、
“事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。
だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。
《超記録》――
敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。
生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。
努力で《成長》スキルを獲得し、
記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。
やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。
対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、
記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。
一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。
さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。
街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。
優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。
捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。
爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる