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千百二十話 禁止事項
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「はぁ、はぁ……はぁ…………よし」
非常に、非常に時間が掛かった。
火竜や風竜との戦闘時間と比べ、おおよそ三倍以上の討伐時間が掛かった。
七人は基本的にダメージを受けることはなかった、ときおり狙っていたかのように岩の散弾などを放つことがあり、あと少しでソウスケたちが手を出すといったタイミングが幾度かあった。
だが、それでもノックスたちはなんとか戦況を立て直し、順調に戦闘を進めていき……最後はヨルカの戦斧が首に叩きつけられ、それが決定打となって激闘を終えた。
「もっと喜びなよ、ヨルカっ!!」
「そうよ。本当によくやってくれたわ」
「……皆で戦ったから、勝てただけだよ」
自分一人の力だけではないと口にするヨルカだが、その表情には小さいがハッキリと笑みが浮かんでおり、彼女も喜んでいるのが良く解る。
「お疲れ様、皆」
そう告げると、ソウスケは全員に水を渡す。
本来なら解体などを行ってあげたいが、ヨルカたちはそこまでが自分たちのやるべき事だと思っているため、疲れた体に鞭を打ち、土竜の解体作業を始める。
(…………今回の休憩は、さっきよりも長く取った方が良さそうだな)
まだ三回目の戦闘とはいえ、ノックスたちはBランクドラゴンと戦闘の際に感じる圧に多少は慣れ始めていた。
戦い方、ペース配分なども実戦的な意味で理解し始めていたが……それでも、長時間の戦闘となると、疲労度が半端ではない。
実戦ではモンスター、ドラゴン、盗賊などはこちらの事情は考慮してくれないものの、今回はソウスケたちが傍にいる実践訓練。
無理に現実を強いる必要はない。
「…………」
「? ソウスケさん。先程からザハークさんは少々難しい顔をされているが、何か考えてられるのですか」
「ん? あぁ……まぁ、ちょっとな」
ザハークは普段から笑う様なタイプではない。
それでも、まだ付き合いが長くないハリアルたちでも、何か悩んでいる様に思えた。
「何を考えておられるのですか?」
「……あんま考えない方が良い事、かな」
ソウスケは先程ミレアナたちとの会話は忘れておらず、ポロっと自身も考えている内容を零してしまうことはなかった。
「? それは……いったい」
「今後どうしようとかは考えてないけど、さっきの戦闘で気になる内容を思い付いて、それについて考えてるんだ」
「先程の、戦闘………………っ、それは、もしや」
ハリアルの反応を見て察し、ソウスケは口元に人差し指を添えてジェスチャーを送った。
そんな臨時教師の反応を見て、ハリアルは小さく頷いた。
(なるほど。ソウスケさんが口に出さないのも、はぐらかすのも納得ではある………………確かに、ザハークさんの様な者なら、一度は考えてしまうものか)
付き合いは浅いも浅い。
それでも、ソウスケが戦闘を好むタイプであることは解っていた。
(逆鱗状態を引き起こす方法、か…………ソウスケさんの判断は、正しいものだ)
レイヤーズ学園でも、逆鱗状態になってしまったドラゴンの討伐方法に関して議論することは問題無いが、どうすればドラゴンを逆鱗状態に出来るかという議論に関しては禁止されている。
世の中には、本当に力、破壊の権化と化すドラゴンを討伐してこそ、真のドラゴンスレイヤーだと考える者がいる。
その者たちが確立された逆鱗状態へ追い込む方法を有している訳ではないが、中には実際に成功してしまった例というのも存在する。
そして…………それらの逆鱗状態となったドラゴンは全て討伐されてきたものの、討伐したのはドラゴンを逆鱗状態にさせた者ではない。
後からその地で起きた被害を知って集まった戦闘者たちによって仕留められた。
(とはいえ……ソウスケさんたちであれば、確立した内容を思いついてしまうのではないか?)
ソウスケたちは学者ではない。
ドラゴン研究家でもないが、ハリアルは間違いなく常人たちとは違う域にいる者たちだと認識している。
だからこそ、ドラゴンを逆鱗状態にさせてしまう確立した方法を思い付いてしまうのではないのかと、ほんの少しの不安を持つのだった。
非常に、非常に時間が掛かった。
火竜や風竜との戦闘時間と比べ、おおよそ三倍以上の討伐時間が掛かった。
七人は基本的にダメージを受けることはなかった、ときおり狙っていたかのように岩の散弾などを放つことがあり、あと少しでソウスケたちが手を出すといったタイミングが幾度かあった。
だが、それでもノックスたちはなんとか戦況を立て直し、順調に戦闘を進めていき……最後はヨルカの戦斧が首に叩きつけられ、それが決定打となって激闘を終えた。
「もっと喜びなよ、ヨルカっ!!」
「そうよ。本当によくやってくれたわ」
「……皆で戦ったから、勝てただけだよ」
自分一人の力だけではないと口にするヨルカだが、その表情には小さいがハッキリと笑みが浮かんでおり、彼女も喜んでいるのが良く解る。
「お疲れ様、皆」
そう告げると、ソウスケは全員に水を渡す。
本来なら解体などを行ってあげたいが、ヨルカたちはそこまでが自分たちのやるべき事だと思っているため、疲れた体に鞭を打ち、土竜の解体作業を始める。
(…………今回の休憩は、さっきよりも長く取った方が良さそうだな)
まだ三回目の戦闘とはいえ、ノックスたちはBランクドラゴンと戦闘の際に感じる圧に多少は慣れ始めていた。
戦い方、ペース配分なども実戦的な意味で理解し始めていたが……それでも、長時間の戦闘となると、疲労度が半端ではない。
実戦ではモンスター、ドラゴン、盗賊などはこちらの事情は考慮してくれないものの、今回はソウスケたちが傍にいる実践訓練。
無理に現実を強いる必要はない。
「…………」
「? ソウスケさん。先程からザハークさんは少々難しい顔をされているが、何か考えてられるのですか」
「ん? あぁ……まぁ、ちょっとな」
ザハークは普段から笑う様なタイプではない。
それでも、まだ付き合いが長くないハリアルたちでも、何か悩んでいる様に思えた。
「何を考えておられるのですか?」
「……あんま考えない方が良い事、かな」
ソウスケは先程ミレアナたちとの会話は忘れておらず、ポロっと自身も考えている内容を零してしまうことはなかった。
「? それは……いったい」
「今後どうしようとかは考えてないけど、さっきの戦闘で気になる内容を思い付いて、それについて考えてるんだ」
「先程の、戦闘………………っ、それは、もしや」
ハリアルの反応を見て察し、ソウスケは口元に人差し指を添えてジェスチャーを送った。
そんな臨時教師の反応を見て、ハリアルは小さく頷いた。
(なるほど。ソウスケさんが口に出さないのも、はぐらかすのも納得ではある………………確かに、ザハークさんの様な者なら、一度は考えてしまうものか)
付き合いは浅いも浅い。
それでも、ソウスケが戦闘を好むタイプであることは解っていた。
(逆鱗状態を引き起こす方法、か…………ソウスケさんの判断は、正しいものだ)
レイヤーズ学園でも、逆鱗状態になってしまったドラゴンの討伐方法に関して議論することは問題無いが、どうすればドラゴンを逆鱗状態に出来るかという議論に関しては禁止されている。
世の中には、本当に力、破壊の権化と化すドラゴンを討伐してこそ、真のドラゴンスレイヤーだと考える者がいる。
その者たちが確立された逆鱗状態へ追い込む方法を有している訳ではないが、中には実際に成功してしまった例というのも存在する。
そして…………それらの逆鱗状態となったドラゴンは全て討伐されてきたものの、討伐したのはドラゴンを逆鱗状態にさせた者ではない。
後からその地で起きた被害を知って集まった戦闘者たちによって仕留められた。
(とはいえ……ソウスケさんたちであれば、確立した内容を思いついてしまうのではないか?)
ソウスケたちは学者ではない。
ドラゴン研究家でもないが、ハリアルは間違いなく常人たちとは違う域にいる者たちだと認識している。
だからこそ、ドラゴンを逆鱗状態にさせてしまう確立した方法を思い付いてしまうのではないのかと、ほんの少しの不安を持つのだった。
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