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千百二十五話 ズレの危険性
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(思ったよりも早かったな)
ソウスケはノックスたちを労った後、これまで通りノックスたちが解体まで行う間、彼らの戦いぶりを思い返していた。
(火竜、風竜たちとの戦いで感覚を掴んだが……いや、そもそも飛竜との戦いに関しては、流れを掴んではいたか。となると、Bランクの飛竜との戦いに慣れてきたからか)
ノックスたちの実力は、学生という立場を考えれば十分過ぎるほどあった。
そこにドラゴニックバレーの手前で多数のワイバーン、リザードマンにリザードとの戦闘。
そして経験値は七等分されてしまうとはいえ、火竜に風竜、土竜のBランクドラゴンを討伐してきた。
七人のレベルはレイウルに来る前よりも確実に上がっていた。
(ノックスたちが慢心することはないだろうから……これから戦うBランクドラゴン戦でも、よっぽどのことがない限り、俺たちが手助けをすることはないかもしれないな)
なんとも教え甲斐がない生徒たちだと思いながらも、薄っすらと笑みを浮かべるソウスケ。
そんな中、ハリアルが近づいて少し意外な事を口にする。
「ソウスケさん」
「ん? なんだい、ハリアル」
「今回の探索は、ここまでにしたいと思う」
「ん~~~~…………夕方が近くなってきたから、というわけではなく?」
「あぁ。嬉しい事ではあるが、先日と今日でレベルが間違いなく上がった」
強くなりたい。
強くなって、竜殺しを……単独でもドラゴンを殺せるほどの力が欲しい。
そんな彼らにとって、間違いなく嬉しい事である。
だが、ハリアルはその事実に歓喜しながらも、重要なことを忘れていていなかった。
「だが、それもあって自分の思い描く動きと、実際動きにズレが生じ始めている」
「あぁ~~~、そうっすね。もう一回ぐらいはドラゴンと戦り合いたいっすけど、それを考えると怖いところもあるっす」
「…………同じく」
「そうでしたね。前衛ではないからといって、すっかりその危険性を忘れていました」
現在、初めてのBランクドラゴンとの戦闘。
その戦闘が見事成功し、アドレナリンの放出と共に、七人の集中力は高まっていた。
それ故に、ソウスケが想定していた時間よりも早くキングワイバーンを討伐出来たところがあった。
だが、想定と現実にズレが起こると、どれだけ集中力が高まっていたとしても、ミスが起こる可能性が普段よりも間違いなく高まる。
「それも、先生たちから教わった内容か」
「はい」
「……そうだね。そういう危険性も考えると、今日はここで切り上げた方が良さそうだね」
ソウスケたちが傍にいれば、もう数体ほど戦うことは可能だが、それでもBランクドラゴン四体との討伐……学生たちにとっては、十分過ぎる経験内容である。
「それじゃあ、戻ろうか」
まだ動けるうちにドラゴニックバレーから離れ、森を突っ切ってレイウルに帰還。
(あっ、しまったな……まぁ、今すぐではなくとも良いか)
街に帰還してから大事な事を思い出したソウスケ。
その問題を夕食を店で頼み終わってから学生たちに伝えた。
「そういえばお前たち、あの素材をどうするのか決めたのか?」
「素材をどうするか、ですか」
「あぁ、そうだ。あれは全部お前たちが倒したんだから、素材をどうするかは全部お前たちが決めるんだ。売るも良し、自分の武器の素材にするも良しだ」
「「「「「「「…………」」」」」」」
Bランクドラゴンの討伐に、討伐した死体の解体、レポート。
それらの事に夢中になっていたノックスたちは、ソウスケのアイテムボックスの収納量や効果がぶっ飛んでいることを忘れていた。
これまジャバたちが討伐したワイバーンやリザードの素材は当然、火竜たちの素材も全て……亜空間の中に保存されている。
「ど、どうする」
「ど、どうしようか」
乾杯のエールが届いても、おおよそどうするかの案すら思い浮かばないまま、とりあえず杯を合わせるのだった。
ソウスケはノックスたちを労った後、これまで通りノックスたちが解体まで行う間、彼らの戦いぶりを思い返していた。
(火竜、風竜たちとの戦いで感覚を掴んだが……いや、そもそも飛竜との戦いに関しては、流れを掴んではいたか。となると、Bランクの飛竜との戦いに慣れてきたからか)
ノックスたちの実力は、学生という立場を考えれば十分過ぎるほどあった。
そこにドラゴニックバレーの手前で多数のワイバーン、リザードマンにリザードとの戦闘。
そして経験値は七等分されてしまうとはいえ、火竜に風竜、土竜のBランクドラゴンを討伐してきた。
七人のレベルはレイウルに来る前よりも確実に上がっていた。
(ノックスたちが慢心することはないだろうから……これから戦うBランクドラゴン戦でも、よっぽどのことがない限り、俺たちが手助けをすることはないかもしれないな)
なんとも教え甲斐がない生徒たちだと思いながらも、薄っすらと笑みを浮かべるソウスケ。
そんな中、ハリアルが近づいて少し意外な事を口にする。
「ソウスケさん」
「ん? なんだい、ハリアル」
「今回の探索は、ここまでにしたいと思う」
「ん~~~~…………夕方が近くなってきたから、というわけではなく?」
「あぁ。嬉しい事ではあるが、先日と今日でレベルが間違いなく上がった」
強くなりたい。
強くなって、竜殺しを……単独でもドラゴンを殺せるほどの力が欲しい。
そんな彼らにとって、間違いなく嬉しい事である。
だが、ハリアルはその事実に歓喜しながらも、重要なことを忘れていていなかった。
「だが、それもあって自分の思い描く動きと、実際動きにズレが生じ始めている」
「あぁ~~~、そうっすね。もう一回ぐらいはドラゴンと戦り合いたいっすけど、それを考えると怖いところもあるっす」
「…………同じく」
「そうでしたね。前衛ではないからといって、すっかりその危険性を忘れていました」
現在、初めてのBランクドラゴンとの戦闘。
その戦闘が見事成功し、アドレナリンの放出と共に、七人の集中力は高まっていた。
それ故に、ソウスケが想定していた時間よりも早くキングワイバーンを討伐出来たところがあった。
だが、想定と現実にズレが起こると、どれだけ集中力が高まっていたとしても、ミスが起こる可能性が普段よりも間違いなく高まる。
「それも、先生たちから教わった内容か」
「はい」
「……そうだね。そういう危険性も考えると、今日はここで切り上げた方が良さそうだね」
ソウスケたちが傍にいれば、もう数体ほど戦うことは可能だが、それでもBランクドラゴン四体との討伐……学生たちにとっては、十分過ぎる経験内容である。
「それじゃあ、戻ろうか」
まだ動けるうちにドラゴニックバレーから離れ、森を突っ切ってレイウルに帰還。
(あっ、しまったな……まぁ、今すぐではなくとも良いか)
街に帰還してから大事な事を思い出したソウスケ。
その問題を夕食を店で頼み終わってから学生たちに伝えた。
「そういえばお前たち、あの素材をどうするのか決めたのか?」
「素材をどうするか、ですか」
「あぁ、そうだ。あれは全部お前たちが倒したんだから、素材をどうするかは全部お前たちが決めるんだ。売るも良し、自分の武器の素材にするも良しだ」
「「「「「「「…………」」」」」」」
Bランクドラゴンの討伐に、討伐した死体の解体、レポート。
それらの事に夢中になっていたノックスたちは、ソウスケのアイテムボックスの収納量や効果がぶっ飛んでいることを忘れていた。
これまジャバたちが討伐したワイバーンやリザードの素材は当然、火竜たちの素材も全て……亜空間の中に保存されている。
「ど、どうする」
「ど、どうしようか」
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