転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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千百二十七話 隠しては……いなかった

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「ゲホゲホっ!! べ、ベルダさん、なんで、それ」

エールが気管に入り、吹き出してしまったソウスケ。

「あれ? 二人とも隠してないんじゃないの?」

「……………………」

グレンゼブル帝国に来てから、ソウスケはあまり自分たちが鍛冶や錬金術を行っていることは口にしていない。

ただ……エイリスト王国で活動していた際は、自分たちが造った武器を露店で販売し、一部の都市では有名な戦闘者に武器を造ったりなどもしていた。

バレてない方がおかしくはる。。

「まぁ、そうですね。特に隠してはいませんけど」

「だよね。だったら、教え子? たちがほしい武器を造ってあげても良いんじゃないの」

「…………それなら、他に適任がいるというか」

ノックスたちに武器を造るのが嫌というわけではない。

ただ、彼らの為に武器を造るのであれば、伝手があるグロードさんに頼んだ方が良いと思ってしまうソウスケ。

「聞いた話だと、普通にCランク以上の冒険者もソウスケたちが造った武器を購入して、今でも使ってるらしいのに?」

(そこまで情報が知れ渡ってるのか……)

ソウスケたちはエイリスト王国の学術都市でも自分たちが造った武器を販売しており、学術都市には中級者向けダンジョンや上級者向けダンジョンに挑む冒険者たちが滞在している。

そのため、ソウスケたちが大して確認していないだけで、Bランク以上の冒険者が三人の造った武器を購入していてもおかしくない。

「……正直、俺は構わないですよ。ただ、それを望むか否かはノックスたち次第なので」

「それは確かにそうね」

「え、えっと………………その、欲しくは、あります」

ソウスケが鍛冶を、武器造りを行えることに関して、ノックスたちは色々と疑問に思う事がある。

冒険者をしながら鍛冶師も?
もしかして、幼い頃から戦闘訓練を積んでいるだけじゃなく、鍛冶の経験まで積んでる?
いくらなんでも、そんな幼少期を送れるものなのか?

といった疑問がわんさか湧き上がる。

ただ、ソウスケに関してはその強さがあまりにもおかしい、とび抜け過ぎているということもあり、だったら鍛冶まで出来てもおかしくないんじゃないか……という思いが湧き上がる。

「…………まぁ、俺たちがお前らが狩ったドラゴンの素材を使っても言いなら造るよ。そうなると、ノックスとジャバ、ハリアルとナディー、ヨルカの武器は俺とザハークとで造って」

「っ!!!??? そ、ソウスケさん。ちょっと待ってくれ」

「ん? どうした」

「今、その……ソウスケさんだけじゃなくて、ザハーク、さんまで……武器を造れる、みたいなことを言った、のか?」

「あぁ、そうだな。ジャバたちももう解ってるだろ。あいつが普通のモンスターじゃないってことは」

「それはそう……っすね」

人の言葉を喋るという時点で普通ではなく、その強さもまた普通のオーガとは異なる次元。

確かにザハークなら……と思える気持ちと、いやでもさすがに……と思う気持ちが半々であった。

「んで、アスレアとネイトの分はミレアナだな」

「っ…………」

分量なども考えれば、それが妥当な振り分けである。
しかし、ミレアナとしては自分の錬金術の腕が、まだまだソウスケに並んでいるとは思えない。

「…………ソウスケさん。本当に私がアスレアとネイトの分を、弓と杖を造るのであれば、しばらく部屋に籠らせてほしいです」

杖だけではなく、弓であれば一応造れるミレアナ。
しかし、杖や他のマジックアイテムと比べれば、まだ腕が足りていない。

それでも、アスレアたちが欲しいとあれば、集中力や経験を可能な限り高め、今自分が造れる最高の物を送りたい。

「俺は構わないけど……お前らはどうだ」

部屋に籠るとなると、ドラゴニックバレーで行動する際の護衛が減る事を意味とする。
依頼人からすれば、仕事放棄に該当するのでは? と思えなくもないが……まず、アスレアとネイトが、あのミレアナが造る弓と杖というものに強く惹かれた。

ノックスたちがソウスケとザハークの実力を信用していることもあり、翌日からミレアナは部屋に籠ることになった。
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