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千百四十話 緩むから?
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「眩し過ぎる、ですか」
「多分だけどな。その人たちがそういった選択を取ったこと事態を悪いって言いたい訳じゃないんだけど、戦闘者として活動し続けてたら、多分何処かで歩みを止めるもんだと思うんだよ」
お前みたいな若造に何が解るんだ……と言いたい者が酒場に何名かいるが、ひとまず……押し黙ることにした。
「限界を感じたからか、一応の目的は達成出来たからか……それとも、死ねば大切な者を守れないからか」
「家族ができたから、とかですか」
「勝手な予想だけどな。そうなると、どうしても自分より若くて前に進もうと必死な人達が、眩しく見えるのかもしれない」
ソウスケは……この世界にくる前も若者ではあったが、特に何かに夢中になって頑張ってはいなかった。
だからこそ、眩しく感じるという表現とは異なるものの、何かに懸命に頑張っている人たちと自分は何が違うんだと、深く……嫌な方向に考えてしまうことがあった。
「ただ、そういう人たちの中でも、自ら歩みは止めたものの、それまでの生活に満足出来ていなかった人たちにとってノックスたちは眩し過ぎてイラつくのかもしれない」
「なる、ほど………………いや、しかし、それは……」
「あれっすよね。ざっくり言うと、我儘なクソ野郎ってことですよね」
「「「「「…………」」」」」
本当にざっくりと、どストレートに告げられたジャバの言葉に、思い当たる節がある冒険者たちは完全にKOされた。
「うん、まぁ……褒められた理由ではないし、致し方ないよねって思える理由ではないからね」
「っすよね。はぁ~~~~、なんつーか…………そんなんで一々絡んでくんなって感じっすよ」
「あっはっは!!! それはそうなんだけど、そこはねぇ…………なんて言うか、冒険者だから、としか言えないかな」
バカ絡みされた経験というのは、意外と覚えてるもの。
ソウスケとしても「なんでこの人俺に絡んできたんだよ」と、訳が解らないバカ絡みもあった。
だが、そういうのが何度も続けば、自然とこう思ってしまう……それが冒険者なのだと。
「一理、ありますね」
その考えには、ミレアナも同意だった。
「後先の事を考えられない訳ではないでしょう。私たちにバカ絡みをしてきた同業者たちの中には、EランクやDランクだけではなく、Cランクの冒険者もいました。そこまで至れる者たちであれば、後先のことを考えられない筈はない」
例外的にセンスや才能だけでそこまで登る者もいるが、そういった者はそのままBランク……更にその先へと進んでいく。
そうでない者たちは、ルーキーの殻を破り、中堅に至るまでに後先のことを考え、行動し続ける。
それが出来なければ、あっさりと死んでしまう可能性が高い。
「にもかかわらず、彼らはソウスケさんにバカ絡みしていました」
「確かにそれは……後先を考えられていないですわね。依頼、冒険ではないプライベートだから?」
「…………詳しくは解りませんが、同じ失敗ではあれど、死ぬと恥を晒すという結果では、どうしても後者の結果であればと、本能が緩んでしまうのかもしれませんね」
「なるほど……ですが、冒険者は時にプライドを優先すると聞きますが」
プライド。
人によってはとても重要な支えであり……時に、人をピエロに仕立て上げてしまう悪面も持ち合わせる存在。
「気に入らないと感じた相手に、恥を晒すかもしれないという理由でバカ絡みをしない、潰そうとしない、からかいに行かない……それをプライドが許さないのかもしれませんね」
「………………お、お二人が冒険者である手前、その……あまり大きな声では言えませんが」
「愚かで馬鹿でしょう」
何名かが瀕死になっている中、ミレアナはそんな連中の事など気にせず、サラッと死体蹴りをかます。
「とはいえ……同業者たちを見下したいわけではありませんが、そこまで考えられて下手なプライドを優先しない方は、戦闘職なら冒険者以外のところに就職できるでしょう」
最後の最後に、蹴り飛ばされた死体は灰となって消えていった。
「多分だけどな。その人たちがそういった選択を取ったこと事態を悪いって言いたい訳じゃないんだけど、戦闘者として活動し続けてたら、多分何処かで歩みを止めるもんだと思うんだよ」
お前みたいな若造に何が解るんだ……と言いたい者が酒場に何名かいるが、ひとまず……押し黙ることにした。
「限界を感じたからか、一応の目的は達成出来たからか……それとも、死ねば大切な者を守れないからか」
「家族ができたから、とかですか」
「勝手な予想だけどな。そうなると、どうしても自分より若くて前に進もうと必死な人達が、眩しく見えるのかもしれない」
ソウスケは……この世界にくる前も若者ではあったが、特に何かに夢中になって頑張ってはいなかった。
だからこそ、眩しく感じるという表現とは異なるものの、何かに懸命に頑張っている人たちと自分は何が違うんだと、深く……嫌な方向に考えてしまうことがあった。
「ただ、そういう人たちの中でも、自ら歩みは止めたものの、それまでの生活に満足出来ていなかった人たちにとってノックスたちは眩し過ぎてイラつくのかもしれない」
「なる、ほど………………いや、しかし、それは……」
「あれっすよね。ざっくり言うと、我儘なクソ野郎ってことですよね」
「「「「「…………」」」」」
本当にざっくりと、どストレートに告げられたジャバの言葉に、思い当たる節がある冒険者たちは完全にKOされた。
「うん、まぁ……褒められた理由ではないし、致し方ないよねって思える理由ではないからね」
「っすよね。はぁ~~~~、なんつーか…………そんなんで一々絡んでくんなって感じっすよ」
「あっはっは!!! それはそうなんだけど、そこはねぇ…………なんて言うか、冒険者だから、としか言えないかな」
バカ絡みされた経験というのは、意外と覚えてるもの。
ソウスケとしても「なんでこの人俺に絡んできたんだよ」と、訳が解らないバカ絡みもあった。
だが、そういうのが何度も続けば、自然とこう思ってしまう……それが冒険者なのだと。
「一理、ありますね」
その考えには、ミレアナも同意だった。
「後先の事を考えられない訳ではないでしょう。私たちにバカ絡みをしてきた同業者たちの中には、EランクやDランクだけではなく、Cランクの冒険者もいました。そこまで至れる者たちであれば、後先のことを考えられない筈はない」
例外的にセンスや才能だけでそこまで登る者もいるが、そういった者はそのままBランク……更にその先へと進んでいく。
そうでない者たちは、ルーキーの殻を破り、中堅に至るまでに後先のことを考え、行動し続ける。
それが出来なければ、あっさりと死んでしまう可能性が高い。
「にもかかわらず、彼らはソウスケさんにバカ絡みしていました」
「確かにそれは……後先を考えられていないですわね。依頼、冒険ではないプライベートだから?」
「…………詳しくは解りませんが、同じ失敗ではあれど、死ぬと恥を晒すという結果では、どうしても後者の結果であればと、本能が緩んでしまうのかもしれませんね」
「なるほど……ですが、冒険者は時にプライドを優先すると聞きますが」
プライド。
人によってはとても重要な支えであり……時に、人をピエロに仕立て上げてしまう悪面も持ち合わせる存在。
「気に入らないと感じた相手に、恥を晒すかもしれないという理由でバカ絡みをしない、潰そうとしない、からかいに行かない……それをプライドが許さないのかもしれませんね」
「………………お、お二人が冒険者である手前、その……あまり大きな声では言えませんが」
「愚かで馬鹿でしょう」
何名かが瀕死になっている中、ミレアナはそんな連中の事など気にせず、サラッと死体蹴りをかます。
「とはいえ……同業者たちを見下したいわけではありませんが、そこまで考えられて下手なプライドを優先しない方は、戦闘職なら冒険者以外のところに就職できるでしょう」
最後の最後に、蹴り飛ばされた死体は灰となって消えていった。
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