転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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千百四十一話 同じランクではあるが

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「まっ、色々と長々話したけど、そういう連中ってだけだから、気にするだけ無駄ってことだ」

「……いえ。色々と教えてくれてありがとうございます」

確かにミレアナも含め、長々と語ってくれた。

だが、ノックスたちにとって初っ端から「気にするだけ無駄だから、適当に無視しとけ」と言われるより、何故気にするだけ無駄なのかを丁寧に説明してくれた方が、なるほどと受け入れ易い。

いらいらもやもやが解消したことで、全員食欲が復活。
いつも通りたらふく食べ、明日に備える。






「…………」

今日も元気にドラゴニックバレーで竜狩りを行うハリアルたち。

普段通りソウスケたちは離れた場所で見守っている。
しっかりと見守りつつも……ソウスケは何かを感じていた。

「? どうかしたか、ソウスケさん」

「……もしや、先日ノックスたちにダル絡みを行った冒険者たちでしょうか」

「いや、誰かが狙ってるとかじゃないと思うんだけど…………なんか、普段と違う雰囲気? な気がして」

これまで通り、適当に散策していればBランクドラゴンが襲いかかって来る。

何も変わらないドラゴニックバレー……に思えるが、ソウスケは違和感を感じていた。

「違う雰囲気、ですか。ドラゴン以外の、強大な力を持つモンスターがドラゴニックバレーに足を踏み入れたのかもしれませんね」

「ふむ……つまり、ヴァレードタイガーの様なモンスターか」

ドラゴンとの戦闘は、戦闘大好きオーガであるザハークにとって、闘争心がバチバチに燃え上がる最高の存在。

だが、Aランクモンスターであるヴァレードタイガーの様なドラゴンという捕食者に負けないほどの強さを持つ存在との戦いも勿論ウェルカム。

ザハークにとっては嬉しい違和感である。

「……どうなんだろうな」

解らない、としか言えないソウスケ。

強大なモンスターがドラゴニックバレーに足を踏み入れたのか、それとも天候が激しく荒れ狂うのか。

(胸騒ぎ? いや……多分、ミレアナが言ってる通りなのかもしれないけど…………割と、心配? になる感覚だな)

考えるのはそこまでにし、心配になる違和感を感じたからこそ、いつも以上に周囲の警戒を行う。







「ん?」

「……少し、騒がしいですね」

毎回Bランクのドラゴンが一体だけ襲い掛かって来る訳ではなく、ザハークやソウスケたちで何体かのBランクドラゴンを仕留めている。

その分の解体と売却を頼みに来たのだが……普段も騒がしい冒険者ギルド内だが、本日はざわざわとした雰囲気が漂っていた。

(とりあえず頼みに行こった)

受付嬢に声を掛け、倉庫で解体と査定を行ってもらう。
当然、待ってる間暇になるため、ソウスケはギルド内がざわざわしていた事に関して受付嬢に尋ねる。

「すいません。ギルド内が少しざわざわしてたんですけど、もしかして何かありました?」

「っ、はい。実は、水龍の姿がドラゴニックバレー内で確認されまして」

「水龍が、ですか」

受付嬢は顔にこそ出さなかったが、待ってましたと言わんばかりにギルド内がざわついていた要因をソウスケに教えた。

だが、受付嬢の口から出てきた水龍という単語に、ソウスケは決して小さくない衝撃を受けていた。

「まだ姿が確認されただけで、冒険者たちに被害は出ていませんが……そ、ソウスケさん?」

「っ、大丈夫ですよ。ちゃんと聞いてます」

「そ、そうですか。その、被害は出ていませんが、ここ数年姿を確認されていなかったため、ギルドの方でもどう対処すべきか話し合っている最中です」

「そうなんですね」

水龍はAランクのドラゴン。
ランクだけなら……以前、ジブラと行った狩り勝負を行っていた際に遭遇し、戦った灼熱竜と同じ。

だが、危険度レベルは水龍の方が上であり、ギルドとしても冒険者たちに興味本位でちょっかいを掛けないでほしい存在。

(感じてた違和感はそれだったか……なるほどな)

ソウスケの切り札中の切り札である得物、水龍の蒼剣。
それに使われている素材の元……ソウスケとしても、ただ単純に興味を持てる相手ではなかった。
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