転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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千百四十七話 生命体?

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(凄ぇのは解ってたけど、やっぱ半端ねぇな)

(教師の方々にも負けない実力を有しているのは解っていましたけど、この国に来てから日数……そして討伐数を考えると……ドラゴンスレイヤーどころか、竜虐殺者ではないのでしょうか?)

国にドラゴニックバレーという特異な場所がある国、グレンゼブル帝国だからこそ竜殺し……ドラゴンスレイヤーよりも上の呼び名が存在する。

それが、竜虐殺者。
嬉々としてドラゴンに襲い掛かり、討伐。
多くの返り血を浴び、その肉を食らう。

本来食物連鎖の頂点に立つであろうドラゴンから恐れられる存在……それが、龍虐殺者である。

「……ドラゴニックバレーに住む存在として、ソウスケさんたちを狩らねばならないと思い、目覚めた……という可能性もあるか」

「えっ……マジ?」

まさかの予想な様に、ソウスケは小さくない衝撃を受け、思わず固まった。

ただのAランクドラゴンではなく、龍の名を持つドラゴンが目覚めれば……多くの者を殺すかもしれない。

ドラゴニックバレーに足を踏み入れる者たちは、全員それを承知で臨んでいる。
そのため、そんな彼らを心配するのは逆に失礼と思われる可能性が高い。

それはソウスケも一応冒険者として一年以上は活動しており、解ってはいるものの……それはそれ。
自分が主にBランクドラゴンを殺し過ぎたせいで水龍が復活し、同業者たちが大量に殺される事態となれば、どうしても責任を感じてしまう。

「い、いや、あれだ。あくまで俺の判断なので、あまり気にしないでほしい」

「そ、そっか……いや、でもな……ん~~~~~~」

ハリアルがソウスケを攻めたい気持ちなど、一切ない。
それは間違いないのだが……ソウスケとしては、ちょっと考えさせられる内容だった。

(このドラゴニックバレーって場所を考えると………………もしかして、あながち間違ってはいない、のかな)

真剣に考え込んでしまうソウスケを見て、珍しくおろおろとした表情を浮かべるハリアル。

「大丈夫ですよ」

「し、しかし」

「ソウスケさんが深く考え込んでしまうことは、よくあることです。ソウスケさん……ソウスケさん!!」

「っ!? ミレアナ? ……あぁ、ちょっと集中し過ぎてたか」

やらかしてしまったと思い、頭をぽりぽりかきながらも、改めてハリアルに心配はいらないと伝える。

「大丈夫だよ、ハリアル。ただ、ちょっと気になることを思いついただけだから」

「そう、か…………その気になる事は、尋ねても大丈夫か?」

「あ、うん。えっと……突拍子もない考えなのは解ってるけど、ハリアルが予想した内容が正しいと仮定した場合、このドラゴニックバレーっていう土地は、ある種一つの生物に近いんじゃないかと思って」

ドラゴニックバレーが、一つの生物に近い。
本人が語る通り、突拍子もない内容ではあるが、発言者がソウスケだからか……そういった意見であっても、まずは否定から入らないという教育故か、七人はソウスケの考えをとりあえず否定はしなかった。

「ドラゴニックバレーが、一つの生物、ですか」

「うん。いや、あれだよ。何かしらの条件が整えば、ドラゴニックバレーという大地が変形して一つの生物になるとかは思ってないよ。でもさ、本当にハリアルが言う通りだとしたら……ドラゴニックバレーは、俺やザハーク、ミレアナといった病原体を追い出そうとしてるんじゃないかと思ってさ」

病原体。
魔法や錬金術が発展していることもあり、医学に関してはそこまで発展していない異世界。

それでも、病気に関して多少の知識、研究は進んでいるため、その言葉に疑問を持つ面子はいなかった。

「そもそもこのドラゴンたちが多く集まるドラゴニックバレーっていう場所が、物凄く稀有な場所でしょ」

「そう、ですね……僕たちの知識がないだけかもしれませんけど、似た様な場所は聞いたことがありません」

「俺もだよ。だから証明出来るデータとか例はないけど……割と、そういう可能性が高いんじゃないかと思えて、ね」

まだまだ話しは続く……と言ったところで、一体の水竜を発見。
水竜もソウスケたちに気付き、逃げることなく……それこそ、恐れが零れることなどなく、初っ端からブレスを放った。
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