スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
1,267 / 1,361

千二百六十五話 功績よりも勝利を

しおりを挟む
SIDE ブローズ

「…………」

主に許可を貰ったブローズは全力で駆け出し、途中途中で嫌がらせの爪撃波を敵にぶつけながら、標的……竜騎士たちがいる場所まで向かう。

(伝えた方が……良いのかな)

主と同じ冒険者の顔見知りは増えた。
しかし、騎士の者たちはあまり知らない。

そのため、勝手に対応を行えば混乱を招くかと、幼いながらも戦況を見渡せているブローズは……直接竜騎士を仮にいくのではなく、やや後方で少々偉そう雰囲気を零しながらも、実力が確かな人物の元へと向かった。

「っ!!」

「こいつはっ!?」

「待て!! そいつはディーナという冒険者の従魔だ!!!」

一人の魔術師によって、味方を攻撃してしまうという最悪の展開になるのは免れた。

「ガゥ」

「ふむ……私に声をかけたのか」

現場指揮官を務める騎士はブローズが思った通りの実力者ではあるが、モンスターの声である程度何を言ってるのか分かるほど、モンスターとの交流がない。

「ガゥ。ルルルアア!! アゥ」

ブローズは宙にいる竜騎士たちを指刺し、その後に自身の首を爪で切るジェスチャーを送った。

「つまり、あのゴリディア帝国たちの竜騎士の相手は自分が行う……そういうことだな」

「ガゥ」

頷くブローズを見て、ほんの少しだけ悩む指揮官。

(……最悪の事態は有望な者たちが死に、負けることだ)

やや貴族的な思考を持っている人物だが、この戦争に負けることだけは避けなければならないという共通の認識は有している。

「解った。あの竜騎士たちはお前に任せよう。他の騎士たちや冒険者たちには私の方から伝えておく」

「ルルゥ。ッ!!!!!」

おそらく偉いであろう人間の許可を貰い、ブローズは勢いよく跳躍し……そのまま翼を仰ぎ、宙へ飛んだ。

「よろしかったのですか?」

「構わん。功績に囚われ、被害が大きくなってしまっては意味がない」

本当は、ブローズと協力して竜騎士たちを落とせれば一番。

しかし、魔術師や騎士たちはブローズと共に訓練を積んでいるわけではないため、連携力は下の下。
ブローズはディーナ以外の人間と組むことに慣れておらず、魔術師や騎士たちもモンスターと共に戦うことに慣れてはいない。

「あの従魔一体のみで戦った方が、あの従魔も上手く戦えるだろう。直ぐに竜騎士と戦うあのモンスターに援護の必要はないと伝達しろ」

「かしこまりました」

モンスターという人間と比べて知能が欠ける個体が、しっかりと行動するための行動を行った。

であれば、指揮官も人間として口約束を無視するわけにはいかなかった。
ただ……強いことはその見た目と身に纏う空気からも解るが、信頼できるほどの関係値はない。

そのため、指揮官は指揮官で保険を用意しておくことにした。






「…………」

「ッッ、あれが……噂の従魔か」

当然ながら、ゴリディア帝国は何も考えなしで戦っているわけではない。

しっかりと先日、自分たちを苦しめた存在の情報は伝達していた。
そして……可能であれば、竜騎士たちがメインとなって攻めようとも考えていた。

見た目は虎に近いが、角を有しており、翼もあるため飛べるのではないかということは事前に予想されていたため、特に驚くことはなかった。

ただ、彼らにも考えが浅い点があった。

「……ッッッッ!!!!!! ルルルルゥァアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!!!!」

「「「「「「「「「「っ!!!!????」」」」」」」」」」

ブローズはスキルとして、咆哮を有している。
スキルの練度によっては味方にバフを与えることもあるが……最大の利点は、自身よりも弱い者に対して精神的に怯ませ、動きを鈍らせることが出来る。

これにより、空中の戦場だけではなく、地上の戦場にも影響が出る。

正直なところ……ブローズの咆哮はまだ練度が高くなく、それこそ咆哮によって動きを鈍らせる対象を細かく選定することが出来ない。

そのため、アルバース王国側の兵士や冒険者も少々、行動不能になる者がでてしまった。

とはいえ、それでも咆哮は主にゴリディア帝国側に向けられており、咆哮の影響によってアルバース王国側の戦闘者が結果として亡くなることはなかった。

(こ、この咆哮はっ!!??)

(ま、不味いっ!! このレベルの、個体だったとは!!!)

そして、現在ブローズたちと対峙している竜騎士たちだが……彼らは、虎竜の咆哮による圧に恐ろしさを感じながらも、逃げ出そうという気持ちは起きない。

元々竜騎士たちはワイバーンを卵から孵化させる、もしくは幼いワイバーンと共に行動しながら最終的に竜騎士となるが、一時の間は一般的な騎士と同じように働く。
なんなら、他の騎士たちよりも戦闘面の仕事が多い職場、騎士団へと派遣される。

ワイバーンという強力な相棒がいることによって生まれる慢心を消し、自分自身も強くならなければならない!!!! という向上心を植え付けさせるのが主な目的。

そういった経験を越えて竜騎士になった経緯もあって、彼らのメンタルは寧ろそこら辺の騎士よりも強靭である。

だが……彼らの相棒であるワイバーンたちは違った。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。

凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」 「それは良いですわね、勇者様!」 勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。 隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。 毎日の暴行。 さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。 最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。 今までの行いを、後悔させてあげる--

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します

かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。 追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。 恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。 それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。 やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。 鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。 ※小説家になろうにも投稿しています。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る

丸三(まるぞう)
ファンタジー
中世近世史を研究する大学講師だった男は、過労の末に倒れ、戦国時代へと転生する。 目覚めた先は、近江・長浜城。 自らの父は、豊臣秀吉の弟にして政権の屋台骨――豊臣秀長。 史実では若くして病没し、豊臣政権はやがて崩れ、徳川の時代が訪れる。 そして日本は鎖国へと向かい、発展の機会を失う。 「この未来だけは、変える」 冷静で現実主義の転生者は、武ではなく制度と経済で歴史を動かすことを選ぶ。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川を排し、戦国を“戦”ではなく“国家設計”で終わらせるために。 これは、剣ではなく政で天下を取る男の物語。 「民が富めば国は栄え、国が栄えれば戦は不要となる」 豊臣政権完成を目指す、戦国転生・内政英雄譚。 ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...