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千二百七十六話 流れの中心
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明鏡止水。
それは精神耐性に関する最高峰のスキル。
獲得するには絶対零度の冷静さを手に入れるか、冷静な感情と熱い思いの二つが完璧な調和を保った時に手に入れられる……と、言われている。
一般的なスキルではなく、それ故に実際に獲得した者も少ない。
ただ、一つのデータとして剣や刀剣といった類の武器を扱う者が会得するケースが多い。
明鏡止水はどんな事があっても精神がブレることはなく、マジックアイテムや幻影魔法や精神汚染の類に含まれる攻撃を受けたとしても、全てを跳ねのける。
会得したばかりの状態であっても、その効果に関しては既に固定されている。
そして冷静さを保ち続けられるがゆえに、戦場では自分がどう動けば良いのかという判断が冷静に、迅速に下す手助けがされる。
あくまで手助けではあるものの、乱戦となればその補助効果の力は計り知れない。
周囲を冷静に把握することで後方から行われる支援、狙撃とタイミングを合わせ、ついでに下がるべきタイミングで大きく下がることもできる。
おおよその効果はそんなところ。
狂化や豪鬼のように身体能力を強化する能力はない。
そのため、効果を聞いた大半の……特にルーキーたちには「地味な効果であんまり良いスキルじゃないんじゃないの?」と思われることもある。
だが、実力者になればなるほど、対峙する相手も必然的に強くなるため、明鏡止水の効果によって得られる恩恵の有難味を感じるようになる。
そしてそういった実力者たちからすれば「お前らみたいなひよひよクソガキ共が得られるスキルじゃねぇんだよ!!!!」と、大人気のない言葉を口にしてしまう……かもしれない。
(動ける……うん、動ける。呼吸も整った。まだ……斬ろう)
呼吸を、胸の高鳴りを整えたクラートは再び前線に……当然といった表情のまま駆け出す。
因みにだが、このスキル……まだアラッドどころか、フールやルメス、ロードスといった有名どころの剣士すら会得していない。
もちろん、クラートはそんな事知らない。
知れるわけがなく、知りたいとすら思っていなかった。
ただ仲間を、友人を守るために戦う。
斬り、サポートし、仕留め、受け流し、蹴り飛ばす。
(ははっ、なんか……凄ぇな)
(よく分からないけど、負けてられないなッ!!!!!)
(騎士として、後れを取れない!!!!)
(あれだけ良いサポートをしてくれてるんだから、仕留められる時に仕留めないと、ねッ!!!!)
味方が覚醒とも言える変化をし、功績を積み重ねていく。
決して目に見えて強いと解る強敵を倒したわけではないが、それでも目に見えて解るほどの変化を経て、冷静に目の前の相手を捌き、斬り裂き、時にはお膳立てをする。
この戦場で、アルバース王国が優勢と言える戦況を……流れを生み出したのは、間違いなくクラートである。
そんな存在が味方側にいるとなれば、自然と士気が高まり、俺も活躍してやるぞと闘志が高ぶる。
(向こう……今なら、送れる。そこと、あそこ)
ほんの少しだけ距離を取り、熱くなっている仲間たちの援護を行う。
「よそ見してんじゃ、ねぇぞッ!!!!!」
「…………」
「ほごっ!!!???」
確かに、クラートはよそ見をしていた。
だが、今のクラートにはよそ見がよそ見にならない。
騎士の一人が細剣に雷を纏わせながら突貫してくるのは把握していた。
それをサラッと躱し、細剣を引くよりも早く身を捻って躱した勢いのまま、細剣士の首に蹴りを叩き込んだ。
クラートはロングソードや皮鎧だけではなく、靴もグリフォンの素材使って造られている。
その頑丈さも相まって、首を切断されるだけではなくとも、蹴りを叩き込まれると……そのままボキッと逝ってしまう。
「っ、ふぅーーー」
(っ!!!! 完璧な、タイミングだったのに!!!)
あるゴリディア帝国の弓使いは、クラートの身に起きた変化を冷静に観察し、あることに気付いた。
間違いなく、戦闘スタイルが変わった。
鮮麗さが加わった方とも思えば、大胆の動きで翻弄することもある。
それと同時に……両足が地面に付かない時間が増えた。
空中で体幹がブレることなく動けるというのは間違いなく強味の一つだが、一対一の勝負ではなく乱戦となると、逆に弱点となるパターンもある。
しかし、クラートはその狙撃を食らうことはなく、なんとかギリギリ回避するのではなく、冷静にロングソードで弾いて対応した。
(も、もっと狙わないとっ!!!)
先程の前衛たちと同じく、クラートに対して不味いという気持ちが沸き上がり、前衛たちと協力してあの冒険者を仕留めなければならないと思考が偏ってしまう。
確かにクラートはディーナほどの大技はなく、オルフェンほど身体能力はない。
どうしようも出来ないほどの数で、隙間なく攻め込まれたら対応する術が……ないかもしれない。
だが、彼らが前衛と共に戦っているように、クラートもまた同業者たちや兵士、騎士……魔術師たちと共に戦っている。
「きゃっ!! っ!!!!!!!! ぁ……う、ぞ…………ぃ、ぁ」
味方の誰かが集中砲火を受けていると解れば、その狙撃手たちを仕留める為にクラートの同士たちが動く。
今……この戦場は、間違いなくクラートが中心となって動いていた。
それは精神耐性に関する最高峰のスキル。
獲得するには絶対零度の冷静さを手に入れるか、冷静な感情と熱い思いの二つが完璧な調和を保った時に手に入れられる……と、言われている。
一般的なスキルではなく、それ故に実際に獲得した者も少ない。
ただ、一つのデータとして剣や刀剣といった類の武器を扱う者が会得するケースが多い。
明鏡止水はどんな事があっても精神がブレることはなく、マジックアイテムや幻影魔法や精神汚染の類に含まれる攻撃を受けたとしても、全てを跳ねのける。
会得したばかりの状態であっても、その効果に関しては既に固定されている。
そして冷静さを保ち続けられるがゆえに、戦場では自分がどう動けば良いのかという判断が冷静に、迅速に下す手助けがされる。
あくまで手助けではあるものの、乱戦となればその補助効果の力は計り知れない。
周囲を冷静に把握することで後方から行われる支援、狙撃とタイミングを合わせ、ついでに下がるべきタイミングで大きく下がることもできる。
おおよその効果はそんなところ。
狂化や豪鬼のように身体能力を強化する能力はない。
そのため、効果を聞いた大半の……特にルーキーたちには「地味な効果であんまり良いスキルじゃないんじゃないの?」と思われることもある。
だが、実力者になればなるほど、対峙する相手も必然的に強くなるため、明鏡止水の効果によって得られる恩恵の有難味を感じるようになる。
そしてそういった実力者たちからすれば「お前らみたいなひよひよクソガキ共が得られるスキルじゃねぇんだよ!!!!」と、大人気のない言葉を口にしてしまう……かもしれない。
(動ける……うん、動ける。呼吸も整った。まだ……斬ろう)
呼吸を、胸の高鳴りを整えたクラートは再び前線に……当然といった表情のまま駆け出す。
因みにだが、このスキル……まだアラッドどころか、フールやルメス、ロードスといった有名どころの剣士すら会得していない。
もちろん、クラートはそんな事知らない。
知れるわけがなく、知りたいとすら思っていなかった。
ただ仲間を、友人を守るために戦う。
斬り、サポートし、仕留め、受け流し、蹴り飛ばす。
(ははっ、なんか……凄ぇな)
(よく分からないけど、負けてられないなッ!!!!!)
(騎士として、後れを取れない!!!!)
(あれだけ良いサポートをしてくれてるんだから、仕留められる時に仕留めないと、ねッ!!!!)
味方が覚醒とも言える変化をし、功績を積み重ねていく。
決して目に見えて強いと解る強敵を倒したわけではないが、それでも目に見えて解るほどの変化を経て、冷静に目の前の相手を捌き、斬り裂き、時にはお膳立てをする。
この戦場で、アルバース王国が優勢と言える戦況を……流れを生み出したのは、間違いなくクラートである。
そんな存在が味方側にいるとなれば、自然と士気が高まり、俺も活躍してやるぞと闘志が高ぶる。
(向こう……今なら、送れる。そこと、あそこ)
ほんの少しだけ距離を取り、熱くなっている仲間たちの援護を行う。
「よそ見してんじゃ、ねぇぞッ!!!!!」
「…………」
「ほごっ!!!???」
確かに、クラートはよそ見をしていた。
だが、今のクラートにはよそ見がよそ見にならない。
騎士の一人が細剣に雷を纏わせながら突貫してくるのは把握していた。
それをサラッと躱し、細剣を引くよりも早く身を捻って躱した勢いのまま、細剣士の首に蹴りを叩き込んだ。
クラートはロングソードや皮鎧だけではなく、靴もグリフォンの素材使って造られている。
その頑丈さも相まって、首を切断されるだけではなくとも、蹴りを叩き込まれると……そのままボキッと逝ってしまう。
「っ、ふぅーーー」
(っ!!!! 完璧な、タイミングだったのに!!!)
あるゴリディア帝国の弓使いは、クラートの身に起きた変化を冷静に観察し、あることに気付いた。
間違いなく、戦闘スタイルが変わった。
鮮麗さが加わった方とも思えば、大胆の動きで翻弄することもある。
それと同時に……両足が地面に付かない時間が増えた。
空中で体幹がブレることなく動けるというのは間違いなく強味の一つだが、一対一の勝負ではなく乱戦となると、逆に弱点となるパターンもある。
しかし、クラートはその狙撃を食らうことはなく、なんとかギリギリ回避するのではなく、冷静にロングソードで弾いて対応した。
(も、もっと狙わないとっ!!!)
先程の前衛たちと同じく、クラートに対して不味いという気持ちが沸き上がり、前衛たちと協力してあの冒険者を仕留めなければならないと思考が偏ってしまう。
確かにクラートはディーナほどの大技はなく、オルフェンほど身体能力はない。
どうしようも出来ないほどの数で、隙間なく攻め込まれたら対応する術が……ないかもしれない。
だが、彼らが前衛と共に戦っているように、クラートもまた同業者たちや兵士、騎士……魔術師たちと共に戦っている。
「きゃっ!! っ!!!!!!!! ぁ……う、ぞ…………ぃ、ぁ」
味方の誰かが集中砲火を受けていると解れば、その狙撃手たちを仕留める為にクラートの同士たちが動く。
今……この戦場は、間違いなくクラートが中心となって動いていた。
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