スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千二百八十九話 鳥肌もの

SIDE ディーナ、クラート、オルフェン

「「「「「「「「「「乾杯!!!」」」」」」」」」」

二日目の終戦を告げる鐘の音が聞こえてから約一時間後、冒険者たちは冷えた水が入った杯を重ね合わせ、一気に飲み干していく。

全体的に見ると、アルバース王国が痛手を負った部分もあるが、戦力の減り具合を考えるとアルバース王国が優勢の状態で二日目を終えた。

「へいへい、飲んでるかお前ら!!!」

「あぁ、飲んでいるぞ」

「ただ冷たいってだけなのも良いね」

当然、同業者たちが飲んで食べて騒ぐ場に、ディーナたちもいた。

「だよな~~~。てか、三人とも二日目もマジで助かったぜ~」

声尾を掛けてきた男は……本日、ディーナたちと共に戦っていない。

なので、三人の活躍をその目で見てはいないが、今日も今日とて三人が活躍したという話は聞いていた。
そして三人の実力は認めているからこそ、その活躍を称えた。

「本当にね。昨日よりこっち側にくる人数が多かった気がするのよね」

「……すまない。おそらく、それは私のせいだ」

ディーナの自意識過剰、ではない。
実際にゴリディア帝国はディーナを……正確にはディーナとブローズのタッグを脅威の一つだと認識している。

そのため、確実にディーナを削りにきていた。

「そうなの? じゃあ仕方ないわね」

「随分とあっさりしてるんだな」

「だって、戦争ならどこにいても狙われるわけだし、結局前衛で戦ってくれてるディーナに助けられてることは多そうだしね」

魔術師の女性は後衛と前衛で全くタイプが違うが、それでもディーナがどれほどの実力者なのかはある程度理解している。

同じ戦場であれば、別の人物が前衛であれば二日目の終戦を迎えることなく死んでいた可能性は大いにある。
それらを考慮すれば、敵の数が多かろうとディーナという強者と共にいた方がメリットが多い。

そんな打算的な考えを感じ取るも、ディーナは特に怒りなどを感じることはなく、不満に思われていないことに安心していた。

「……そういえばオルフェン、ごめんね」

「…………何がだ?」

突然友人から謝られるも、オルフェンとしてはクラートに謝られる理由が全く思い浮かばなかった。

「ほら、戦ってる途中でこう……精神的に弱った時に助けてくれただろ」

「あぁ~~~~、あれか。別にあれぐらい気にすることないよ。パーティーメンバーなんだしさ」

「それでも、迷惑を掛けたし……その要因が戦いの最中に心が揺れる、だしさ」

途中、クラートのメンタルがあまりよろしくなかった。

それには同じ戦場で戦っていた幾人かのメンバーは気づいていた。
しかし、それと同時にその状態からの変化も、彼らは知っていた。

「けどよ、クラート。途中からがっつり盛り返したじゃねぇか」

「やっぱりそうだよね!!! こう……戦い方が滑らかになった? 戦ってたからちゃんと見れなかったけど、そんな感じがしたんだよね!!!!」

「同じ感想ですね。加えて、視野も広くなったかと…………何か、変化でもありましたか、クラートさん」

女性エルフの問いに、クラートは当時の心境を思い出す。

「そうですね………………当たり前だと捉えなければならないことに悩んで……でも、それに立ち向かわなければならない理由を見つけられたというか」

「なるほど……」

彼女としては、理由はそれだけではないように思えた。

もしかしたら、特殊なスキルを会得したのではないか。
でなければ、あの変化に理由が付かない……と考えてしまうが、無理に問い詰めようとはしなかった。

仮に自身の予想が正しかったとしても、スキルは所有者の武器。
それを探るような真似をするのは非常識に値する。

気の知れた人物であればまだしも、少なくともエルフの女性とクラートにはそんな関係値はなかった。

「私もちゃんとは見ていないが、それでも強く感じ取った…………いや、正直に言おう。鳥肌が立った」

「え、えっと……その、褒めてくれるのは嬉しいけど、それは少し大袈裟じゃないかな?」

クラートも自分の戦闘に関する変化が、心構えが変わった、確かな芯を手に入れたからだけではないことは理解している。

それでも自身より圧倒的に格上であるディーナにそこまで褒められるほど、強くなれたとは思えない。

「……と言ってるらしいが、どう思う。オルフェン」

「まぁ、クラートは謙虚な性格をしてるから、当然の反応なんだろうけど…………でも、俺もディーナと似たような感想かな」

「そうか。私の感覚は間違ってなかったようだな」

「お、オルフェンまで」

味方がいないと情けない表情を浮かべるクラートだが、オルフェンはクラートをいじめるのが面白いからディーナに同調したのではない。

(派手なことをしてないからか? だから本人は気付いてないのかもしれないけど……多分、凄く強くなったよな)

対大型モンスターであれば、ディーナやオルフェンの方が良い結果を出せる。

だが、対人戦であれば……技術という点に関しては、クラートが上回っている。

冒険者であれば基本的に対峙する相手はモンスターだが、それはそれとして本気ではないものの対人戦を行うことは少なくない。
だからこそ、戦闘にのめり込んでいる者ほど、本能的に考えてしまう。

もし、自分と気になった相手と戦えばどうなるのか。

(おそらく……レベル通り、単純な身体能力通りの結果になることはないだろう)

負けつもりはない。
されど、単純な差通りの戦闘内容になるとは、到底思えなかった。
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