1,291 / 1,416
千二百八十九話 鳥肌もの
SIDE ディーナ、クラート、オルフェン
「「「「「「「「「「乾杯!!!」」」」」」」」」」
二日目の終戦を告げる鐘の音が聞こえてから約一時間後、冒険者たちは冷えた水が入った杯を重ね合わせ、一気に飲み干していく。
全体的に見ると、アルバース王国が痛手を負った部分もあるが、戦力の減り具合を考えるとアルバース王国が優勢の状態で二日目を終えた。
「へいへい、飲んでるかお前ら!!!」
「あぁ、飲んでいるぞ」
「ただ冷たいってだけなのも良いね」
当然、同業者たちが飲んで食べて騒ぐ場に、ディーナたちもいた。
「だよな~~~。てか、三人とも二日目もマジで助かったぜ~」
声尾を掛けてきた男は……本日、ディーナたちと共に戦っていない。
なので、三人の活躍をその目で見てはいないが、今日も今日とて三人が活躍したという話は聞いていた。
そして三人の実力は認めているからこそ、その活躍を称えた。
「本当にね。昨日よりこっち側にくる人数が多かった気がするのよね」
「……すまない。おそらく、それは私のせいだ」
ディーナの自意識過剰、ではない。
実際にゴリディア帝国はディーナを……正確にはディーナとブローズのタッグを脅威の一つだと認識している。
そのため、確実にディーナを削りにきていた。
「そうなの? じゃあ仕方ないわね」
「随分とあっさりしてるんだな」
「だって、戦争ならどこにいても狙われるわけだし、結局前衛で戦ってくれてるディーナに助けられてることは多そうだしね」
魔術師の女性は後衛と前衛で全くタイプが違うが、それでもディーナがどれほどの実力者なのかはある程度理解している。
同じ戦場であれば、別の人物が前衛であれば二日目の終戦を迎えることなく死んでいた可能性は大いにある。
それらを考慮すれば、敵の数が多かろうとディーナという強者と共にいた方がメリットが多い。
そんな打算的な考えを感じ取るも、ディーナは特に怒りなどを感じることはなく、不満に思われていないことに安心していた。
「……そういえばオルフェン、ごめんね」
「…………何がだ?」
突然友人から謝られるも、オルフェンとしてはクラートに謝られる理由が全く思い浮かばなかった。
「ほら、戦ってる途中でこう……精神的に弱った時に助けてくれただろ」
「あぁ~~~~、あれか。別にあれぐらい気にすることないよ。パーティーメンバーなんだしさ」
「それでも、迷惑を掛けたし……その要因が戦いの最中に心が揺れる、だしさ」
途中、クラートのメンタルがあまりよろしくなかった。
それには同じ戦場で戦っていた幾人かのメンバーは気づいていた。
しかし、それと同時にその状態からの変化も、彼らは知っていた。
「けどよ、クラート。途中からがっつり盛り返したじゃねぇか」
「やっぱりそうだよね!!! こう……戦い方が滑らかになった? 戦ってたからちゃんと見れなかったけど、そんな感じがしたんだよね!!!!」
「同じ感想ですね。加えて、視野も広くなったかと…………何か、変化でもありましたか、クラートさん」
女性エルフの問いに、クラートは当時の心境を思い出す。
「そうですね………………当たり前だと捉えなければならないことに悩んで……でも、それに立ち向かわなければならない理由を見つけられたというか」
「なるほど……」
彼女としては、理由はそれだけではないように思えた。
もしかしたら、特殊なスキルを会得したのではないか。
でなければ、あの変化に理由が付かない……と考えてしまうが、無理に問い詰めようとはしなかった。
仮に自身の予想が正しかったとしても、スキルは所有者の武器。
それを探るような真似をするのは非常識に値する。
気の知れた人物であればまだしも、少なくともエルフの女性とクラートにはそんな関係値はなかった。
「私もちゃんとは見ていないが、それでも強く感じ取った…………いや、正直に言おう。鳥肌が立った」
「え、えっと……その、褒めてくれるのは嬉しいけど、それは少し大袈裟じゃないかな?」
クラートも自分の戦闘に関する変化が、心構えが変わった、確かな芯を手に入れたからだけではないことは理解している。
それでも自身より圧倒的に格上であるディーナにそこまで褒められるほど、強くなれたとは思えない。
「……と言ってるらしいが、どう思う。オルフェン」
「まぁ、クラートは謙虚な性格をしてるから、当然の反応なんだろうけど…………でも、俺もディーナと似たような感想かな」
「そうか。私の感覚は間違ってなかったようだな」
「お、オルフェンまで」
味方がいないと情けない表情を浮かべるクラートだが、オルフェンはクラートをいじめるのが面白いからディーナに同調したのではない。
(派手なことをしてないからか? だから本人は気付いてないのかもしれないけど……多分、凄く強くなったよな)
対大型モンスターであれば、ディーナやオルフェンの方が良い結果を出せる。
だが、対人戦であれば……技術という点に関しては、クラートが上回っている。
冒険者であれば基本的に対峙する相手はモンスターだが、それはそれとして本気ではないものの対人戦を行うことは少なくない。
だからこそ、戦闘にのめり込んでいる者ほど、本能的に考えてしまう。
もし、自分と気になった相手と戦えばどうなるのか。
(おそらく……レベル通り、単純な身体能力通りの結果になることはないだろう)
負けつもりはない。
されど、単純な差通りの戦闘内容になるとは、到底思えなかった。
「「「「「「「「「「乾杯!!!」」」」」」」」」」
二日目の終戦を告げる鐘の音が聞こえてから約一時間後、冒険者たちは冷えた水が入った杯を重ね合わせ、一気に飲み干していく。
全体的に見ると、アルバース王国が痛手を負った部分もあるが、戦力の減り具合を考えるとアルバース王国が優勢の状態で二日目を終えた。
「へいへい、飲んでるかお前ら!!!」
「あぁ、飲んでいるぞ」
「ただ冷たいってだけなのも良いね」
当然、同業者たちが飲んで食べて騒ぐ場に、ディーナたちもいた。
「だよな~~~。てか、三人とも二日目もマジで助かったぜ~」
声尾を掛けてきた男は……本日、ディーナたちと共に戦っていない。
なので、三人の活躍をその目で見てはいないが、今日も今日とて三人が活躍したという話は聞いていた。
そして三人の実力は認めているからこそ、その活躍を称えた。
「本当にね。昨日よりこっち側にくる人数が多かった気がするのよね」
「……すまない。おそらく、それは私のせいだ」
ディーナの自意識過剰、ではない。
実際にゴリディア帝国はディーナを……正確にはディーナとブローズのタッグを脅威の一つだと認識している。
そのため、確実にディーナを削りにきていた。
「そうなの? じゃあ仕方ないわね」
「随分とあっさりしてるんだな」
「だって、戦争ならどこにいても狙われるわけだし、結局前衛で戦ってくれてるディーナに助けられてることは多そうだしね」
魔術師の女性は後衛と前衛で全くタイプが違うが、それでもディーナがどれほどの実力者なのかはある程度理解している。
同じ戦場であれば、別の人物が前衛であれば二日目の終戦を迎えることなく死んでいた可能性は大いにある。
それらを考慮すれば、敵の数が多かろうとディーナという強者と共にいた方がメリットが多い。
そんな打算的な考えを感じ取るも、ディーナは特に怒りなどを感じることはなく、不満に思われていないことに安心していた。
「……そういえばオルフェン、ごめんね」
「…………何がだ?」
突然友人から謝られるも、オルフェンとしてはクラートに謝られる理由が全く思い浮かばなかった。
「ほら、戦ってる途中でこう……精神的に弱った時に助けてくれただろ」
「あぁ~~~~、あれか。別にあれぐらい気にすることないよ。パーティーメンバーなんだしさ」
「それでも、迷惑を掛けたし……その要因が戦いの最中に心が揺れる、だしさ」
途中、クラートのメンタルがあまりよろしくなかった。
それには同じ戦場で戦っていた幾人かのメンバーは気づいていた。
しかし、それと同時にその状態からの変化も、彼らは知っていた。
「けどよ、クラート。途中からがっつり盛り返したじゃねぇか」
「やっぱりそうだよね!!! こう……戦い方が滑らかになった? 戦ってたからちゃんと見れなかったけど、そんな感じがしたんだよね!!!!」
「同じ感想ですね。加えて、視野も広くなったかと…………何か、変化でもありましたか、クラートさん」
女性エルフの問いに、クラートは当時の心境を思い出す。
「そうですね………………当たり前だと捉えなければならないことに悩んで……でも、それに立ち向かわなければならない理由を見つけられたというか」
「なるほど……」
彼女としては、理由はそれだけではないように思えた。
もしかしたら、特殊なスキルを会得したのではないか。
でなければ、あの変化に理由が付かない……と考えてしまうが、無理に問い詰めようとはしなかった。
仮に自身の予想が正しかったとしても、スキルは所有者の武器。
それを探るような真似をするのは非常識に値する。
気の知れた人物であればまだしも、少なくともエルフの女性とクラートにはそんな関係値はなかった。
「私もちゃんとは見ていないが、それでも強く感じ取った…………いや、正直に言おう。鳥肌が立った」
「え、えっと……その、褒めてくれるのは嬉しいけど、それは少し大袈裟じゃないかな?」
クラートも自分の戦闘に関する変化が、心構えが変わった、確かな芯を手に入れたからだけではないことは理解している。
それでも自身より圧倒的に格上であるディーナにそこまで褒められるほど、強くなれたとは思えない。
「……と言ってるらしいが、どう思う。オルフェン」
「まぁ、クラートは謙虚な性格をしてるから、当然の反応なんだろうけど…………でも、俺もディーナと似たような感想かな」
「そうか。私の感覚は間違ってなかったようだな」
「お、オルフェンまで」
味方がいないと情けない表情を浮かべるクラートだが、オルフェンはクラートをいじめるのが面白いからディーナに同調したのではない。
(派手なことをしてないからか? だから本人は気付いてないのかもしれないけど……多分、凄く強くなったよな)
対大型モンスターであれば、ディーナやオルフェンの方が良い結果を出せる。
だが、対人戦であれば……技術という点に関しては、クラートが上回っている。
冒険者であれば基本的に対峙する相手はモンスターだが、それはそれとして本気ではないものの対人戦を行うことは少なくない。
だからこそ、戦闘にのめり込んでいる者ほど、本能的に考えてしまう。
もし、自分と気になった相手と戦えばどうなるのか。
(おそらく……レベル通り、単純な身体能力通りの結果になることはないだろう)
負けつもりはない。
されど、単純な差通りの戦闘内容になるとは、到底思えなかった。
あなたにおすすめの小説
(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。
「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」
私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。
下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。
ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。
小説家になろう様でも投稿しています。
【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
『お前の針仕事など誰でもできる』——なら社交界のドレスの裏地を、めくってごらんなさい
歩人
ファンタジー
「地味な針仕事しかできない令嬢は要らない」——公爵家の嫡男にそう言い渡された伯爵令嬢ティナは、
裁縫道具だけを持って屋敷を出た。その翌週、社交界が凍りつく。王妃の夜会服も、公爵令嬢の舞踏会
ドレスも、第一王女の外交用ローブも——仕立てた職人が消えたのだ。しかもティナが十年かけて縫った
全てのドレスの裏地には、二重縫いで隠された署名が残されていて——。
辺境の小さな仕立て屋で穏やかに暮らすティナの元に、王都から使者がやってくる。
【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった
凛蓮月@騎士の夫〜発売中です
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】
竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。
竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。
だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。
──ある日、スオウに番が現れるまでは。
全8話。
※他サイトで同時公開しています。
※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。