スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
1,304 / 1,414

千三百二話 切れない手札

(くそッ!! 中々……攻めに、回れない!!!!!)

劇薬を使用して超強化された男、ナスバーの身体能力はギーラス一人の手に負えるものではなく、複数人で攻めている。
当然、応援に駆け付けた女性魔術師も他の戦場だけではなく、ギーラスたちの戦場にも支援を行っているが、それでも威力が他の戦場と分散されていることもあり、ダメージは与えられるが、ギリギリ牽制になるか否かといった程度。

「ほらほら、どうした、よッ!!!!!」

大雑把ではあるが、ナスバーの一撃が当たれば、基本的にガード出来てもその場に踏みとどまるのが難しい。

「疾ッッ!!!」

「ハハッ!! そんなもんかよ!!!!!!」

騎士の一人が素早い斬撃を叩き込もうとするが、ナスバーはそれをあっさり避けてしまい、逆に斬撃を叩き込む。

「がっ!!!!????」

なんとかガードは間に合うも、万全の状態ではなく、衝撃が中に伝わってり、後方へ吹き飛ばす。

ナスバーはビガルと違い、人族。
そのため、防御力は彼ほどのものではなく、現在対応を行っている騎士たちの攻撃でもダメージは入る。

ただ、パワーに関してはその場にいる大半の騎士を上回っており、スピードも尋常ではないため、こちらの攻撃は殆ど躱されてしまう。

偶にダメージを与えられたとしても深くはなく、直ぐに回復してしまう。

なにより……ナスバーが装備している武器、防具の質が高く、当てられたとしてもダメージを与えるのが難しい。

「ぅおらッ!!!」

「っっっ!!! ッ、ジッ!!!!!!」

「ひょは!! やっぱり、お前はとびぬけて、強いみたいだなぁ、ギーラスぅうううううう!!!!!」

ギーラスはなんとかナスバーの斬撃を受け流し、その勢いのままカウンターを叩き込もうとした。

しかしナスバーはやや体勢が崩れていたにもかかわらず、見てから反応してカウンターを回避。

「敵に、褒められた、ところで、なッ!!!!!!」

「んなつれないこと、言うなよ~~~~~」

「ぐっっっ!!!!!!」

ギーラスとの会話を楽しみながら細剣による連続突きを躱し、女性剣士の腹に蹴りを叩き込む。

サイドからの攻撃であり、目では気付かないほど死角からの攻撃ではなかったが……それでも、普通ならギーラスという人間を目の前にして完全に躱すことは出来ず、攻撃まで返せない。

(戦える、人間に……暴力という力が、重なった、といった感覚、かっっっ!!!!!!)

当然ながら、ナスバーはギーラスのことを気に入ったが、それはそれとして上から捕えられないなら殺しておけと言われている人間。

ナスバーは使用した劇薬のデメリットを理解しながら嬉々として使用する人間だが、それはそれとして戦いは勝たなければつまらないと思っており、殺れる瞬間があると思えば、殺りにかかる。

だが、今回もギーラスの剣が間に挟まり、その首を刎ね飛ばすには至らない。

「うおらああああああ!!!!!」

「っと、思ったより多いな~~~~」

自慢の防具を身に着けてはいるが、それでも避けるに越したことはない。
確かにギーラス側はダメージを与えるのが難しくはあるが……ナスバーもまともに食らえば防具が損傷してしまう。

劇薬によってナスバーの防御力も上がっているが、さすがに彼の防具の性能までは上がっていない。

(他の連中もバシバシ殺してぇんだけど……やっぱ、アルバース王国はアルバース王国で解ってた感じか?)

フール、アラッドの身内であるギーラスたちが狙われる可能性が高い。
そんな事をアルバース王国側が理解してないわけがなく、当然初日より……二日目よりも警戒レベルを高め、ギーラスと同隊するメンバーを変え、戦力を高めていた。

そのため、ギーラスたちはナスバーを相手に劣勢を強いられているが、幸いにもナスバーに殺された者もまだいない。

(ギーラスをぶっ殺すことを、考えっと……やっぱ、あの女の魔術師を先に殺しておきてぇよなぁ……)

がっつり考え事をしながら、振り下ろされる戦斧や大剣を躱し、カウンターを叩き込んでいく。

ときおり風槍や剛矢が彼を貫こうと迫るも、ナスバーは拳を握りしめ、振り回すだけで粉砕していた。
パワーだけでもドンピシャで合わせられなければ、無傷で対応するのは難しい。

確かな下地を持つ強者に、文字通りドーピングが追加されたことで為せる対応。

そんな怪物が過ぎる強敵を相手にギーラスは数で対応し続けるも中……一番の標的であるギーラスは、中々黒炎を使わずにいた。

理由は……難しいものではない。
ただナスバーの反応速度に、ギーラスの剣速が追いつかない可能性が高い。

一度黒炎を使用すれば、二度と奇襲として使えない。
身体能力で劣っている以上、奇襲として使い、必ず成功させる必要がある。

「破ァアアアアッ!!!!!」

「なはっ!!! 器用じゃあ、ねぇか!!!!」

炎を纏いながらロングソードを振り下ろし、同時にフレイムランスも放つ。

炎槍は一本だけではなく複数本を同時に放ったこともあり、一本だけ直撃。

(っ、ダメージ、なしか。そうなると、あの防具は)

直撃した衝撃は受けたものの、防具や体が燃えることはなく、足を引きずるほどの衝撃も受けていない。

だが、直撃しても一切のダメージがないことから、ギーラスはナスバーの防具に何が使われているのかを予想。
その予想は的中していた。

ただ……ギーラスにとっては、超強化されたナスバーと戦うよりも、防具に使われている素材のモンスターと戦う方が、まだ戦れると断言できた。
感想 484

あなたにおすすめの小説

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

姉から全て奪う妹

明日井 真
ファンタジー
「お姉様!!酷いのよ!!マリーが私の物を奪っていくの!!」 可愛い顔をした悪魔みたいな妹が私に泣きすがってくる。 だから私はこう言うのよ。 「あら、それって貴女が私にしたのと同じじゃない?」 *カテゴリー不明のためファンタジーにお邪魔いたします。

空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される

木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。 婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。 やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。 「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

【完結】名無しの物語

ジュレヌク
恋愛
『やはり、こちらを貰おう』 父が借金の方に娘を売る。 地味で無表情な姉は、21歳 美人で華やかな異母妹は、16歳。     45歳の男は、姉ではなく妹を選んだ。 侯爵家令嬢として生まれた姉は、家族を捨てる計画を立てていた。 甘い汁を吸い付くし、次の宿主を求め、異母妹と義母は、姉の婚約者を奪った。 男は、すべてを知った上で、妹を選んだ。 登場人物に、名前はない。 それでも、彼らは、物語を奏でる。

即席異世界転移して薬草師になった

黒密
ファンタジー
ある日、学校から帰ってきて机を見たら即席異世界転移と書かれたカップ麺みたいな容器が置いてある事に気がついた普通の高校生、華崎 秦(かざき しん) 秦は興味本位でその容器にお湯と中に入っていた粉を入れて三分待ち、封を開けたら異世界に転移した。 そして気がつくと異世界の大半を管理している存在、ユーリ・ストラスに秦は元の世界に帰れない事を知った。 色々考えた結果、秦は異世界で生きることを決めてユーリから六枚のカードからスキルを選んだ。 秦はその選んだスキル、薬草師で異世界を生きる事になる。

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!

しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。 けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。 そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。 そして王家主催の夜会で事は起こった。 第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。 そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。 しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。 全12話 ご都合主義のゆるゆる設定です。 言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。 登場人物へのざまぁはほぼ無いです。 魔法、スキルの内容については独自設定になっています。 誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。