スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千三百三話 気付かせる

(ドラゴンの素材が、使われてる……固く、炎があまり効かないわけだ)

ギーラスはロングソードに炎を纏い、高火力の斬撃で仕留めるスタイルを得意とする。
そのため、ギーラスにとってナスバーは非常に相性が悪い相手である。

(俺の、黒炎……ですら、効かない可能性を、考えた方が、良いか?)

色を持つ火、黒炎。
ギーラスにとって切り札であり、間違いなく格上さえ仕留めることが出来る必殺の手札である。

しかし……その攻撃も、当たらなければ意味がない。

「ちっ……いい加減、殺されてくれても、良いんだぜ!!!!」

「ぐっっ!!!!! はいそうですねと、殺されるわけがないだろう!!!!!!」

「はは!!! それもそう、だな!!!!」

なんだかんだで、まだ一人も殺せていない現状に苛立ちを感じていた。

ナスバーがその気になれば、一人を集中的に狙って殺すことが出来る。
しかし、そういった戦法を取ると、今よりも多くの敵に背を向ける可能性が高い。

優れた再生力と防具、武器を持つナスバーであれば、急所へ向けられる攻撃だけをケアすれば、対応するのは難しくない。

ただ……ナスバーも元は再生能力などない人間。

現在狂人の様な言動で非常に調子に乗っているが……確かに、普段から調子に乗るタイプではある。
それでも、劇薬の副次効果がなければ、世間一般基準での強敵に囲まれている状況で笑い続けられはしない。

(ん~~~~…………隙がない、訳ではなさそうね。ただ、あの身体能力がある限り、攻撃を当てられるかどうか…………それか、寧ろ使い方を理解してくれた方が、勝機があるかしら)

劇薬の効果によって、今のナスバーには再生の力が宿っている。
回復という手段において、再生は最上位の能力。

そのため……急所さえ斬られず、貫かれなければ……相当な無茶が出来る。

突き出される突きを片手で受けとめ、振り下ろされる切れ味抜群の斬撃に片腕をくれてやり、その隙をついて逆に一撃を叩き込むことでそのまま潰せる可能性が高い。

再生だけではなく痛覚の麻痺まで有しているため、自ら傷付くことに怯える必要がない。

(殆ど傷を受けてないから、痛みを感じないという状態と、再生力の組み合わせの活かし方に気付いていないのかしら………そうね、気付いてもらった方が良さそうね)

女性魔術師は多数の炎槍と岩槍を放ち、即座に高品質のマジックポーションを飲み干し、魔力を大幅回復。

「さて……飛ばすわよ」

現状、ギーラスたち騎士と他の魔術師、弓使いの冒険者たちでナスバーを抑えられている。

その状況を信じ、女性魔術師……バレリアスはナスバーがいない周囲の戦場を終わらせにかかった。

(ほいほい……はい!! そこ、そこ……そことそこ!!!)

先程までバレリアスは他の戦場のサポートを行っていた。

他の戦場では彼女のサポートがあるお陰で優勢を保てていたが、それでも終わるまで待っていれば……ギーラスたちに限界がきてしまう。

そのため、バレリアスはギーラスたちの体力が残っている間に、自らの魔法を主力として周囲の戦場を終わらせ始めた。

「ごはっ!!!!????」

「んだ、この炎ぉっ!!??」

「かはっ!!!!!! ぁ、ぁ」

刃、槍、弾丸だけではなく取り、大蛇、狼がゴリディア帝国の戦闘者たちの命を刈り取っていく。

「えっ、あっ……」

「ど、どんどん死んでいくぜ?」

「バカ!! 感心してねぇで俺らも攻めるんだよ!!!!」

「そうだぜ!! じゃねぇと獲物がなくなっちまうだろ!!!!」

目の前の敵が死んでいく……それは良いのだが、冒険者たちからすれば自分の手で殺し、功績の一部にしたかった。

(やっぱり冒険者は元気よねぇ……………………とりあえず、これぐらいで良さそうね)

全滅させる必要はない。
ある程度の数まで減らし、自分のサポートがなくても十分過ぎるほど戦える程度まで数を減らした。

「ふぅーーーーーー……さて、ここからが本番ね」

再度高品質マジックポーションを飲み干し、不味い味を我慢しながら魔法を複数展開し……圧縮していく。

(さて……読み切るわよ)

並の魔法使いと比べて、魔力操作技術の腕が数段は上のバレリアス。

展開した自身の魔法を素早く、そして正確に操ることが出来る。

そんな彼女が前衛の動きを把握しつつ、彼らの行動にナスバーがどのような対応で返すかを予測。

(っ、そこ!!!)

圧縮された炎槍がナスバーの太ももに直撃しそうになるが、済んでのところで身を捻って回避。

「っ!? チッ……やらしい、攻撃じゃ、ねぇかよ!!!!!!」

振り下ろされる戦斧に対し、無造作にロングソードを振るって弾き飛ばしながらバレリアスを睨みつける。

先程考えてた通り、まずはあの女から殺そうか……そう考えた瞬間、また別の斬撃が迫る。

変わらず対応できるものの、対応する動きを狙って再び圧縮された炎槍と炎弾によってダメージこそ殆どないものの、それでも接近戦組だけでは殆ど当たっていなかった攻撃が当たり始めた。

「……フフっ」

「ッ!!!!!! クソアマがッッッ!!!!!????」

魔術師が……魔女が浮かべる余裕な笑みに、あっさりと釣られるナスバー。

「「嘗めてんじゃねぇぞッッッッ!!!!!!!!」」

「ッッッ!!!!」

怒りに駆られたナスバーに、騎士二人の斬撃が叩き込まれる。

結果としてはダメージを与えられなかったものの、衝撃は耐えられずに後退。
少しずつだが、確実に流れが変わり始めた。
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