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千三百十五話 最速と最善
SIDE スティーム、ガルーレ、フローレンス
(最速で、終わらせるッッ!!!!!!)
敵の本丸にいる者たち。
弱いはずがないのは解りきっている。
油断すれば、スティームであっても容赦なく殺される。
そんな事が解らないスティームではない。
だからこそ、彼は最短速度で戦いを終わらせようと動き始めた。
「ぬ゛ッ!!!!!」
「がっ!!!!????」
本丸に到着する前に魔力は全回復しており、赤雷を使用しても直ぐに尽き果てることはない。
本来であれば敵が自身の速さに慣れてきたところで使用し、相手の感覚を狂わせて止めを刺すのが理想。
しかし、相手はこれまで対峙してきた強敵たちと同等か、それ以上の強さを有している。
元々スティームたちが少数部隊ということもあり、本丸にいた人数も決して多くはないが、少なくともアラッドたちの部隊よりは人数が多い。
全員がスティームたちより歳上であり、潜り抜けてきた修羅場の数が違う。
だからこそ、初手から全力で攻めると決めていたスティーム。
(ぐっ!!! 眼で、全く、捉えられん!!!!)
(気配を、感じ取ろうと、しても!!! これほど、かッ!!!!)
素早さは、単純にして強力な武器になる。
当然、騎士や冒険者たちの防御力や身に着けているアイテム、防具の質を考えれば生半可の攻撃ではダメージを与えられない。
しかし、スティームの本気の速度、双剣技の腕は生半可なものではない。
ついでに……普段の双剣とは違い、切り札であるランク八の双剣も生半可な切れ味ではなく、騎士たちの防具や、身に纏う火や岩石を容易に斬り裂いてしまう。
万雷。
スティームの切り札中の切り札。
切れ味は当然のように最上級であり、使用者の脚力を大幅に強化する。
脚力を大幅に強化するため、赤雷を纏ってしまえば騎士たちにとって蹴りも致命傷の一つになりうる。
そして、扱う雷のコントロール技術を向上させる。
その対象には赤雷も含まれている。
この効果もあって、スティームは魔力をバカみたいに食らう赤雷を非常に効率的に使い、猛者たちを切り裂くことに成功していた。
(ここだッ!!!!!!! な、ぁ)
見かけだけ、装備だけの騎士や冒険者たちではない。
数々の視線を潜り抜けてきた猛者たちであり、なんとかこれまで積み重ねてきた経験から、スティームの動きを肌で感じ取り、暴風を纏う斬撃で対抗。
対応に追われたとはいえ、見事斬撃である。
それでも……赤雷を纏うスティームの斬撃が、そのロングソードごと斬り裂き、体までバッサリと鎧の上から斬り裂いた。
(私の、愛剣だけでは、なく……鎧、まで……なん……なの、だ。あの……双剣、は…………)
そこら辺の物ではなく、一級品であることは解っていた。
しかし、騎士が振るう愛剣も一級品の物であり、鎧に関しても非常に頑丈かつ動きを邪魔しない最高クラスの逸品。
それでも、スティームの切り札が勝った。
(我々の武器、よりも!!! 上だと、いうのか!!!???)
応えは……イエスである。
スティームの切り札であるランク八の双剣、万雷。
ランク八の武器というのは、男爵家や子爵家の人間には到底手を出せる代物ではない。
そして、辺境伯や侯爵家……更に上の公爵家であっても、家宝となっているレベルの物であり、家宝だからこそ簡単に実戦に引っ張り出せない。
加えて、王家であったとしても同じく国宝と呼べるほどの逸品。
武器は実戦でこそ使って輝くものであり、造る職人たちもそれを願っている。
ただ、それほどの武器となると、有していることがその家の貴族や王家としての力の証明となる。
そのため、理由を付けたとしても宝物庫から引っ張り出すのが難しく、引っ張り出しても普段から使用していなければ、その家宝の力を完全に引き出せない。
(避けるしか、ないっ!!!! っ!!!!!????)
色を持つ属性魔力は魔力の消費が非常に激しく、長時間使用し続けられるものではない。
それは彼らも知っており、スティームの攻撃に関しては感覚を総動員して回避し続け、魔力の枯渇を待つしかない。
冒険者たちとしてはともかく、騎士たちにとっては屈辱的な選択だが、それでも戦争という戦場で最善の選択を取れないほど愚かな者は、この場にいない。
そんな中……ゴリディア帝国側の騎士が一人、確実に命を落とした。
その騎士はスティームの斬撃を見事躱した直後、後方から一本のロングソードに急所中の急所である心臓を貫かれた。
(ふぅーーー、よしよし。さて、次、はっ!!!!!)
高位騎士の一人を始末したのは、ガルーレ。
彼女は普段の徒手格闘スタイルではなく、一応パーティーの所有物ではあるが……彼女が携帯している名剣、剛柔を装備していた。
ガルーレにとってロングソードはアラッドのようにメイン武器ではない。
普段通り得意な徒手格闘で戦いというのが彼女の本音。
ただ、ガルーレも高位騎士たちと同じく、ここは意地やプライドを張る場面ではないことを理解していた。
仲間たちと戦い、勝利し、絶対に生き残る。
それを叶えるために何が最善なのか……それを考えた時、彼女は躊躇うことなく剛柔を手に取っていた。
「させるかッッッ!!!!!!」
次の標的を狙うガルーレへ轟炎を纏う剛槍が放たれる。
当たれば、容易に風穴が空く。
しかし、ガルーレは何かに導かれるように纏う魔力量、受け流し方を全て完璧にこなし、去り際に脚へ斬撃を放った。
「ぐっ!!!!」
(ん~~~~、今日も憑いてる、ね)
戦場が戦場なだけに、笑みが零れることはない。
ただそれでも……彼女に焦りや恐怖は一切なかった。
(最速で、終わらせるッッ!!!!!!)
敵の本丸にいる者たち。
弱いはずがないのは解りきっている。
油断すれば、スティームであっても容赦なく殺される。
そんな事が解らないスティームではない。
だからこそ、彼は最短速度で戦いを終わらせようと動き始めた。
「ぬ゛ッ!!!!!」
「がっ!!!!????」
本丸に到着する前に魔力は全回復しており、赤雷を使用しても直ぐに尽き果てることはない。
本来であれば敵が自身の速さに慣れてきたところで使用し、相手の感覚を狂わせて止めを刺すのが理想。
しかし、相手はこれまで対峙してきた強敵たちと同等か、それ以上の強さを有している。
元々スティームたちが少数部隊ということもあり、本丸にいた人数も決して多くはないが、少なくともアラッドたちの部隊よりは人数が多い。
全員がスティームたちより歳上であり、潜り抜けてきた修羅場の数が違う。
だからこそ、初手から全力で攻めると決めていたスティーム。
(ぐっ!!! 眼で、全く、捉えられん!!!!)
(気配を、感じ取ろうと、しても!!! これほど、かッ!!!!)
素早さは、単純にして強力な武器になる。
当然、騎士や冒険者たちの防御力や身に着けているアイテム、防具の質を考えれば生半可の攻撃ではダメージを与えられない。
しかし、スティームの本気の速度、双剣技の腕は生半可なものではない。
ついでに……普段の双剣とは違い、切り札であるランク八の双剣も生半可な切れ味ではなく、騎士たちの防具や、身に纏う火や岩石を容易に斬り裂いてしまう。
万雷。
スティームの切り札中の切り札。
切れ味は当然のように最上級であり、使用者の脚力を大幅に強化する。
脚力を大幅に強化するため、赤雷を纏ってしまえば騎士たちにとって蹴りも致命傷の一つになりうる。
そして、扱う雷のコントロール技術を向上させる。
その対象には赤雷も含まれている。
この効果もあって、スティームは魔力をバカみたいに食らう赤雷を非常に効率的に使い、猛者たちを切り裂くことに成功していた。
(ここだッ!!!!!!! な、ぁ)
見かけだけ、装備だけの騎士や冒険者たちではない。
数々の視線を潜り抜けてきた猛者たちであり、なんとかこれまで積み重ねてきた経験から、スティームの動きを肌で感じ取り、暴風を纏う斬撃で対抗。
対応に追われたとはいえ、見事斬撃である。
それでも……赤雷を纏うスティームの斬撃が、そのロングソードごと斬り裂き、体までバッサリと鎧の上から斬り裂いた。
(私の、愛剣だけでは、なく……鎧、まで……なん……なの、だ。あの……双剣、は…………)
そこら辺の物ではなく、一級品であることは解っていた。
しかし、騎士が振るう愛剣も一級品の物であり、鎧に関しても非常に頑丈かつ動きを邪魔しない最高クラスの逸品。
それでも、スティームの切り札が勝った。
(我々の武器、よりも!!! 上だと、いうのか!!!???)
応えは……イエスである。
スティームの切り札であるランク八の双剣、万雷。
ランク八の武器というのは、男爵家や子爵家の人間には到底手を出せる代物ではない。
そして、辺境伯や侯爵家……更に上の公爵家であっても、家宝となっているレベルの物であり、家宝だからこそ簡単に実戦に引っ張り出せない。
加えて、王家であったとしても同じく国宝と呼べるほどの逸品。
武器は実戦でこそ使って輝くものであり、造る職人たちもそれを願っている。
ただ、それほどの武器となると、有していることがその家の貴族や王家としての力の証明となる。
そのため、理由を付けたとしても宝物庫から引っ張り出すのが難しく、引っ張り出しても普段から使用していなければ、その家宝の力を完全に引き出せない。
(避けるしか、ないっ!!!! っ!!!!!????)
色を持つ属性魔力は魔力の消費が非常に激しく、長時間使用し続けられるものではない。
それは彼らも知っており、スティームの攻撃に関しては感覚を総動員して回避し続け、魔力の枯渇を待つしかない。
冒険者たちとしてはともかく、騎士たちにとっては屈辱的な選択だが、それでも戦争という戦場で最善の選択を取れないほど愚かな者は、この場にいない。
そんな中……ゴリディア帝国側の騎士が一人、確実に命を落とした。
その騎士はスティームの斬撃を見事躱した直後、後方から一本のロングソードに急所中の急所である心臓を貫かれた。
(ふぅーーー、よしよし。さて、次、はっ!!!!!)
高位騎士の一人を始末したのは、ガルーレ。
彼女は普段の徒手格闘スタイルではなく、一応パーティーの所有物ではあるが……彼女が携帯している名剣、剛柔を装備していた。
ガルーレにとってロングソードはアラッドのようにメイン武器ではない。
普段通り得意な徒手格闘で戦いというのが彼女の本音。
ただ、ガルーレも高位騎士たちと同じく、ここは意地やプライドを張る場面ではないことを理解していた。
仲間たちと戦い、勝利し、絶対に生き残る。
それを叶えるために何が最善なのか……それを考えた時、彼女は躊躇うことなく剛柔を手に取っていた。
「させるかッッッ!!!!!!」
次の標的を狙うガルーレへ轟炎を纏う剛槍が放たれる。
当たれば、容易に風穴が空く。
しかし、ガルーレは何かに導かれるように纏う魔力量、受け流し方を全て完璧にこなし、去り際に脚へ斬撃を放った。
「ぐっ!!!!」
(ん~~~~、今日も憑いてる、ね)
戦場が戦場なだけに、笑みが零れることはない。
ただそれでも……彼女に焦りや恐怖は一切なかった。
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