スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
1,318 / 1,362

千三百十六話 全力で頼る

しおりを挟む
(赤雷を纏う小僧も、厄介だが……あの、アマゾネスの小娘も、早急に仕留めねばッ!!!!!)

ある老騎士は、戦場にいる敵の中で、誰を一番に仕留めなければならないのか、冷静に見極めていた。

最要注意人物は、当然アラッドであった。
自分と同じく高位騎士であり、年齢としては全盛期を迎えている者たちが数人殺されてしまった。

本当に仕留めるのであれば、最初から戦うのではなく彼の意識に隙が生まれた瞬間を狙った方が良いと語っていた竜人騎士、イゼリオの奇襲でも仕留められなかった。

それでも、彼が立ちはだかればアラッドとて、容易に動けない。
そのためアラッドは一旦無視して構わない。

スティームはその速度、双剣の切れ味が凄まじく、単純な脅威を有している。
速さではスティームに一歩遅れるも、その素早さは……彫刻ではないかと疑いたくなる筋肉により、鋼鉄の弾丸へ……筋肉弾丸となり、悪魔的な凶悪兵器へと変貌。

スピードとパワーだけではなく、ヘラクレスの肉体から細剣技という繊細な技術を放つ筋肉聖女。
こちらの破壊力も尋常ではないが……それでも、ゴリディア帝国の騎士や冒険者たちにも凡人の最果て、常識を打ち破る能力を持つ者たちはいる。

そのため、これまでスティームたちが対峙してきた部隊たちほど速攻で壊滅することはない。

だが……赤雷の双剣士ではなく、筋肉聖女でもなく……二体の従魔でもなく、一人のアマゾネスが速攻壊滅へのカギを握っていた。

「アマゾネスを狙えッ!!!!!」

老騎士の言葉に、魔法使いや弓使いたちが一斉に標的をガルーレへと変える。

「キェエエエエエエエエエエエエッッッ!!!!!」

人語を理解するストームファルコン……ファルは即座に翼を仰ぎ、フェザーラッシュを後衛職たちに向けて放つ。

範囲が広い強力な攻撃だが、一部の魔法使いたちが魔力による防御壁に集中すれば、全て弾けてしまう。
一流の魔法使いが展開する魔力防壁の堅さは、そこら辺の盾を軽く上回る。

ファルの羽は全て弾き飛ばされるが、それでも魔術師や弓使いが放つ攻撃数は絞られた。

(ありがとう、ファル。それ、じゃあ、せっかく、だし)

ガルーレは迫る攻撃を全て避けることに集中……するだけではなく、魔術師たちがいる方向へと駆け出し始めた。

無謀に思える選択だが、乱戦という戦場では、決して悪くなかった。

魔術師たちには、護衛の騎士たちがいない。
スティームたちを騎士や前衛タイプの冒険者たちが相手をし、後方から魔術師や弓使いたちが援護を行う。

大前提として、ガルーレたちが騎士たちを全滅させない限り、目の前に護衛を置く必要がない。
そういったスタンスで彼らは戦っていた。

正確に言うと……一部の騎士たちは護衛にと置いておく余裕がフローレンスたちに対してなかった。

「っ!!!! くっ!!??」

「ぬぐっ!!!」

一部の騎士、冒険者たちはガルーレを追おうとした。
せめて背後から遠距離攻撃を放ちたかった。

だが……彼らは決してスティームたちを囲み、一方的に仕掛けられている訳ではない。

スティーム、フローレンス、ヴァジュラ……全員が強者たちの攻撃を対応しながらも果敢に仕掛けていた。

そんな彼らが背を向けた敵対者たちを見逃すわけがなく、フローレンスの光斬波とスティームの雷斬波が放たれた。

「ホキャアアアアアアアアアッッッ!!!!!」

「「「ッッッ!!!!!!」」」

その隙を狙う騎士たちを、ヴァジュラが見逃さずに自慢の棒を伸ばし、自在に操り妨害する。

(よっ、ほっ! っと、ほい、っ!!!)

迫る剛矢、光閃に暴風刃。
それらの攻撃を全て的確に躱し、時には最低限の力で逸らし、確実に魔術師たちとの距離を詰める。

(この数は避け、捌き切るか!!)

(この数の攻撃を、死角からのものまで避け切るなんて……このアマゾネス、普通じゃないわっ!!!!)

残念ながら、普通じゃないのはガルーレではなく、彼女が持つ名剣……剛柔である。

並じゃない身体能力を有するガルーレはアラッドと同じく、全方面の能力が高い。
だが、現在彼女が対峙している魔術師や弓使いたちも並ではなく、全員が一流の存在である。

そんな一流集団が放つ弾幕となれば、さすがにガルーレも全て対応しきることは非常に難しい。

しかし……彼女が扱う剛柔は、使用者に最善の行動を教え、導いてくれる。

名剣の力を全力で頼ると判断したガルーレは、殆どの思考を放棄していた。
それは、名剣の導きに対してノータイムで応えるため。

「ふんッ!!!! 疾っ!!!」

「嘗め、ないで、もらおうかッ!!!!」

全ての遠距離攻撃を駆け抜け、魔術師たちに接近。

しかし、一流の魔術師である彼らは近づかれたからといって、対応する術がないわけではない。
自身に強化魔法を施し、多数の防御魔法を発動。

細かい攻撃魔法を駆使してガルーレを食らわないように立ち回る。

(これは、丁度良いんじゃ、ないかしらっ!!!!)

使い手が何を考えたのか悟った剛柔は、即座にその案に沿った動きで導く。

その結果……数秒後、魔術師は自身の行動によって己の首を絞めることとなった。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

婚約破棄をしておけば

あんど もあ
ファンタジー
王太子アントワーヌの婚約者のレアリゼは、アントワーヌに嫌われていた。男を立てぬ女らしくないレアリゼが悪い、と皆に思われて孤立無援なレアリゼ。彼女は報われぬままひたすら国のために働いた……と思われていたが実は……。

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します

かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。 追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。 恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。 それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。 やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。 鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。 ※小説家になろうにも投稿しています。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

処理中です...