1,352 / 1,414
千三百五十話 羨ましいシチュエーション?
「どうも、お久しぶりです」
画家の頼みに付き合った後、アラッドはまだ礼を言えてない人物たちの元へと向かった。
「お久しぶりね!」
「久しぶり」
「久しいな……もう体は大丈夫なのか?」
アラッドが訪れたのは、リエラ・カルバドラ、ラディア・クレスター、ライホルト・ギュレリックたちの元。
アッシュとシルフィーが三人にも世話になったという話は聞いており、兄であるアラッドとしては、是非とも感謝の気持ちを伝えねばならなかった。
「三人とも、うちの弟や妹の面倒を見てくれてありがとう。本当に、助かった」
木竜の時と同じく、アラッドは深々と頭を下げた。
「もう、そんな頭を下げなくて良いって~~~。元々少しでもアラッドたちの助けになりたいって理由で参加したわけだし、ね」
「リエラの言う通り。アッシュとシルフィーの傍で戦うことになったのは、成り行き」
「全て二人の言う通りだ、アラッド。ただ、俺たちは俺たちがやりたいと思った事はしただけだ」
なんとなくこうなるだろうとは思っていたため、三人は事前に考えていた内容を伝え、さっさと頭を上げようとする。
「そういう訳にはいかない。ただ俺たちの為を思って参加してくれた。それだけでも感謝の念が絶えないというのに、弟と妹の面倒を見てもらった……決して、楽な事ではなかったはずだ」
主にアッシュとシルフィーをサポートしていたのは木竜とユニコーン親子ではあったが、それでも三人が危機を察知して動いたことで、二人が危険に晒されずに難を逃れたこともあった。
アラッドからすれば、三人だけで動いていれば、集中力の面で負担を掛けずにもう少し余裕を持って戦えていたと……結果的に三人は生きているが、重症を負うか、最悪死んでしまう可能性は二人をサポートするという選択肢を加えたことで上がったと思っている。
(う~~ん、思った以上に頑固ね~。ちょっと違うけど、こういうところはアッシュ君と似てる感じがするわねぇ……あっ、そうだ)
この状況をあっさりと打破できる内容を思いつき、小さく笑みを浮かべるリエラ。
「アラッドがどれだけ私たちにどれだけ感謝してるのかは解ったわ。けど、だからってそうかそうかとはならなさそうだから、もし私たちが困ったことに直面したら、今度はアラッドが助けてちょうだい」
「っ、あぁ……勿論だ。最速でリエラ嬢たちの元へ駆けつけよう」
リエラとしては、あまりアラッドに頭を下げられ続けられるのは思うところがあるからこそ、この状況を終わらせるために思いついた内容だった。
しかし、アラッドは言葉通りに受け取り、自身の言葉を必ず実行すると、右拳を心臓の位置に添えて宣言した。
(うっ、まぁそうなるよね~~~…………っていうか、今……結構、アラッドのファンたちから羨ましがれるような状況だった?)
リエラは変わらずアッシュLOVEであり、アラッドは友人としか見てない。
ただ、アラッドがどれだけ凄い人物なのか……どれほど人気があるのかは解っていた。
実際のところ、アラッドが知らないだけで、彼のファンというのは割と存在する。
同業者、職種が近い者たちの間では妬まれることは多いものの、それでもファンと呼べる者たちは確実にいた。
当然、その中には女性たちもいる。
平民や同業者たちだけではなく、令嬢たちの中にも彼に憧れるを持つ者は珍しくない。
強い強いと噂されており、一度だけ表舞台に登場した際も、自身に絡んできた輩を華麗に? 懲らしめた。
そして完全に表舞台に出てきたと思ったら、一年生でトーナメントに参加し、圧倒的な力で決勝戦まで勝ち上がり、決勝戦では昨年の優勝者であるフローレンスの力を……限界を越えて引き出し、それを上回り、勝利を掴み取った。
その後は騎士の爵位を受け取り、特例としてそのまま卒業。
冒険者として活動するようになってからも、彼の活躍が定期的に耳に入る。
そんなアラッドが魅力的に感じる異性が、あまり立場や容姿は関係なく、強さに惹かれる……という話が広まったことで、それまで武器を持ったことがない令嬢たちが武器を持つ、なんてちょっとした貴族社会内での社会現象が起きていた。
あまり表には出ないものの、それほど人気があるアラッドから「最速でリエラ嬢たちの元へ駆けつけよう」と告げられた。
(ほ、他の人たちに聞かれてないわよね?)
リエラ嬢た・ち、であるため、当然ながらラディアやライホルトが困難に直面した時なども、即座に駆け付ける。
ただ、名前を出されたのはリエラである。
「……………」
「? リエラ嬢、何か問題でもあるだろうか」
「い、いや、全くなわいよ!! ……うん、本当にないから安心して!!」
「そ、そうか」
急な変化に戸惑うアラッド。
当然、やった本人は全く気付いていない。
(…………なるほど。それでか)
ただ、ライホルトは何故急にリエラがおどおどした態度になったのかを把握。
ライホルトたちは他国の人間だからこそ、この国でどれだけアラッドが感心されているのか、ファンがいるのかなどを戦時中……祝勝会が始まるまで世話になってる間、騎士や魔術師たちと関わることで深く知っていた。
因みに……約一名、ほんの少しだけ嫉妬している者がいた。
画家の頼みに付き合った後、アラッドはまだ礼を言えてない人物たちの元へと向かった。
「お久しぶりね!」
「久しぶり」
「久しいな……もう体は大丈夫なのか?」
アラッドが訪れたのは、リエラ・カルバドラ、ラディア・クレスター、ライホルト・ギュレリックたちの元。
アッシュとシルフィーが三人にも世話になったという話は聞いており、兄であるアラッドとしては、是非とも感謝の気持ちを伝えねばならなかった。
「三人とも、うちの弟や妹の面倒を見てくれてありがとう。本当に、助かった」
木竜の時と同じく、アラッドは深々と頭を下げた。
「もう、そんな頭を下げなくて良いって~~~。元々少しでもアラッドたちの助けになりたいって理由で参加したわけだし、ね」
「リエラの言う通り。アッシュとシルフィーの傍で戦うことになったのは、成り行き」
「全て二人の言う通りだ、アラッド。ただ、俺たちは俺たちがやりたいと思った事はしただけだ」
なんとなくこうなるだろうとは思っていたため、三人は事前に考えていた内容を伝え、さっさと頭を上げようとする。
「そういう訳にはいかない。ただ俺たちの為を思って参加してくれた。それだけでも感謝の念が絶えないというのに、弟と妹の面倒を見てもらった……決して、楽な事ではなかったはずだ」
主にアッシュとシルフィーをサポートしていたのは木竜とユニコーン親子ではあったが、それでも三人が危機を察知して動いたことで、二人が危険に晒されずに難を逃れたこともあった。
アラッドからすれば、三人だけで動いていれば、集中力の面で負担を掛けずにもう少し余裕を持って戦えていたと……結果的に三人は生きているが、重症を負うか、最悪死んでしまう可能性は二人をサポートするという選択肢を加えたことで上がったと思っている。
(う~~ん、思った以上に頑固ね~。ちょっと違うけど、こういうところはアッシュ君と似てる感じがするわねぇ……あっ、そうだ)
この状況をあっさりと打破できる内容を思いつき、小さく笑みを浮かべるリエラ。
「アラッドがどれだけ私たちにどれだけ感謝してるのかは解ったわ。けど、だからってそうかそうかとはならなさそうだから、もし私たちが困ったことに直面したら、今度はアラッドが助けてちょうだい」
「っ、あぁ……勿論だ。最速でリエラ嬢たちの元へ駆けつけよう」
リエラとしては、あまりアラッドに頭を下げられ続けられるのは思うところがあるからこそ、この状況を終わらせるために思いついた内容だった。
しかし、アラッドは言葉通りに受け取り、自身の言葉を必ず実行すると、右拳を心臓の位置に添えて宣言した。
(うっ、まぁそうなるよね~~~…………っていうか、今……結構、アラッドのファンたちから羨ましがれるような状況だった?)
リエラは変わらずアッシュLOVEであり、アラッドは友人としか見てない。
ただ、アラッドがどれだけ凄い人物なのか……どれほど人気があるのかは解っていた。
実際のところ、アラッドが知らないだけで、彼のファンというのは割と存在する。
同業者、職種が近い者たちの間では妬まれることは多いものの、それでもファンと呼べる者たちは確実にいた。
当然、その中には女性たちもいる。
平民や同業者たちだけではなく、令嬢たちの中にも彼に憧れるを持つ者は珍しくない。
強い強いと噂されており、一度だけ表舞台に登場した際も、自身に絡んできた輩を華麗に? 懲らしめた。
そして完全に表舞台に出てきたと思ったら、一年生でトーナメントに参加し、圧倒的な力で決勝戦まで勝ち上がり、決勝戦では昨年の優勝者であるフローレンスの力を……限界を越えて引き出し、それを上回り、勝利を掴み取った。
その後は騎士の爵位を受け取り、特例としてそのまま卒業。
冒険者として活動するようになってからも、彼の活躍が定期的に耳に入る。
そんなアラッドが魅力的に感じる異性が、あまり立場や容姿は関係なく、強さに惹かれる……という話が広まったことで、それまで武器を持ったことがない令嬢たちが武器を持つ、なんてちょっとした貴族社会内での社会現象が起きていた。
あまり表には出ないものの、それほど人気があるアラッドから「最速でリエラ嬢たちの元へ駆けつけよう」と告げられた。
(ほ、他の人たちに聞かれてないわよね?)
リエラ嬢た・ち、であるため、当然ながらラディアやライホルトが困難に直面した時なども、即座に駆け付ける。
ただ、名前を出されたのはリエラである。
「……………」
「? リエラ嬢、何か問題でもあるだろうか」
「い、いや、全くなわいよ!! ……うん、本当にないから安心して!!」
「そ、そうか」
急な変化に戸惑うアラッド。
当然、やった本人は全く気付いていない。
(…………なるほど。それでか)
ただ、ライホルトは何故急にリエラがおどおどした態度になったのかを把握。
ライホルトたちは他国の人間だからこそ、この国でどれだけアラッドが感心されているのか、ファンがいるのかなどを戦時中……祝勝会が始まるまで世話になってる間、騎士や魔術師たちと関わることで深く知っていた。
因みに……約一名、ほんの少しだけ嫉妬している者がいた。
あなたにおすすめの小説
空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される
木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。
婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。
やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。
「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
姉から全て奪う妹
明日井 真
ファンタジー
「お姉様!!酷いのよ!!マリーが私の物を奪っていくの!!」
可愛い顔をした悪魔みたいな妹が私に泣きすがってくる。
だから私はこう言うのよ。
「あら、それって貴女が私にしたのと同じじゃない?」
*カテゴリー不明のためファンタジーにお邪魔いたします。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
何もしなかっただけです
希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。
それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。
――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。
AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
【完結】名無しの物語
ジュレヌク
恋愛
『やはり、こちらを貰おう』
父が借金の方に娘を売る。
地味で無表情な姉は、21歳
美人で華やかな異母妹は、16歳。
45歳の男は、姉ではなく妹を選んだ。
侯爵家令嬢として生まれた姉は、家族を捨てる計画を立てていた。
甘い汁を吸い付くし、次の宿主を求め、異母妹と義母は、姉の婚約者を奪った。
男は、すべてを知った上で、妹を選んだ。
登場人物に、名前はない。
それでも、彼らは、物語を奏でる。