スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千三百五十五話 凸凹

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「ねぇ、アラッド。ぶっちゃけどうなの?」

「シルフィーとアッシュの今後に関しのことか」

「そうそう」

折角ならと、アラッドたちは空いている訓練場でリエラたちと共に適当に体を動かすことにした。

中にはどうせならとクロとヴァジュラもおり、彼女たちのテンションも上がっていた。

「…………実際のところ、あの二人がどうしたいのか、ってところだな」

「シルフィーちゃんはやっぱり冒険者じゃないの?」

「だろうな……別に、今更そこに関してどうこう言うつもりはない」

「けど、お兄ちゃんとしては、十五歳で冒険者になるのが心配ってことか~~~」

「……常識というか、ルールやそういったものを破って行動した結果、しっかりと得るものを得ているのは認める。ただ、それとこれとは、な……」

「でも、アラッドは十五歳で冒険者になっちゃったよね」

「…………」

痛いところをぐりぐりと突かれるアラッド。

とはいえ、そこに関しては彼も反論できるところはあった。

「俺の場合はあれだ。確かに一人で冒険者になろうとしたが、それでも俺にはクロがいる。父さんや母さんもクロがいるならって安心してた部分は絶対にあるはずだ」

主人の言葉を少し離れた場所から聞き取っていた相棒狼は、ややすました顔をしてはいたが……従魔仲間であるヴァジュラから見れば、嬉しいオーラがハッキリと認識できていた。

「あぁ~~、それはそうかもねぇ。シルフィーちゃんの場合……アッシュ君が仕方ないな~って一緒に冒険者になって行動するにしても、二人だけどもんね」

「そういう事だ」

シルフィーだけではなく、アッシュも諸々の常識を破って妹と共に行動し、眼に見えた成果を得ることはできた。

本人としては……アラッドとしてもあまり使ってほしくないスキルではあるが、切り札を使用すればある程度の危機は乗り越えられる。

「……っていうかさ、アラッドが騎士になった部分はカウントしないんだね」

「騎士になった部分? …………あぁ、特例で騎士の爵位を貰って卒業したことか」

「そうそう。二人にはそういう……壁? を乗り越えるイベントは必要ない感じ?」

アラッドが十五で冒険者になる際にそういったイベントがあったのだから、二人も何かしらの壁を乗り越えるイベントが用意されるのかと勝手に考えていたガルーレ。

しかし、アラッドからすれば既に越えていると思っていた。

「実際の……小競り合いじゃなく、本気の戦争を前線で体感した。ユニコーン親子と木竜さんにリエラ嬢とラディア嬢、ライホルトのサポートがあったとはいえ……………………うん…………既に、壁は乗り越えたと言っても、良いと思うんだよ」

既に越えている、とは思っていたものの、壁を越える為にサポートしてくれていた人物の名前を改めて口にすると、あまりにもサポート陣が充実しているように思えてしまったアラッド。

十五歳時のアラッドと、まだ中等部の二年である二人の実力差を考えれば妥当なサポートと思えなくはないものの……その反面、二人でなくとも乗り越えられたのでは? と思えるサポート力を感じてしまう。

「あぁ~~、そっか。確かにシルフィーちゃんもヤバイ感じのダメージを受けたし、アッシュ君も……スキルの影響ではあるけど、精神的なダメージを結構受けたっぽいし……アラッドと同じく壁を越えたって言えそうね」

「そうだろう……うん、そうだなんだよ」

最終的に過保護なサポートが出来上がった。

しかし、戦争という戦場である以上、死の危機は間違いなくあった。

対してアラッドに関しては、決勝戦に上がるまでウォーミングアップの様なところがあり、決勝戦で勝てなければ……まだ学生をやっていた可能性はあったが、それでも死ぬ危機はなかった。

それを考えれば、二人が乗り越えた壁の方が高いと言えなくもない。

そこに関しては認める部分がある……しかし、それはそれとして、安心できるような冒険者人生が送れるかはまた別の話。

「ただ、それでもな……いや…………あぁ~~~~~~……クソ」

「どしたの?」

「……人にあれこれ言えるほど、安心させられるような冒険者人生を送ってないなと思ってな」

「ぷっ、あっはっは!! 確かにそうね~~~~」

Bランクモンスターと戦うぐらいならまだしも、冒険者として活動を始めてから半年も経たない内にAランクモンスターとクロ抜きでぶつかった。

それ以降の経歴なども考えると、身内を心配する気持ちは素晴らしいが……どの口が言ってるんだと、総ツッコみされてしまう。

「さすがに過保護か……」

「心配するのは良い事でしょ。ていうか、実際にパーティーメンバーが二人って言うのは危ないでしょ。こう……移動する時とか、偶に臨時で組んだり上手くやれるんだったら話は別だけどさ」

「………………」

なんとも言えない顔を浮かべるアラッド。

シルフィーに関してはそこまで気にしていない。
抜きんでた強さを除外すれば、非常にコミュニケーション能力が高く、他者からしてもコミュニケーションが取りやすい人物。

だが、アッシュに関しては……人と話せないほどコミュ障ではないものの、積極的に話にいくタイプではなく、基本的に愛想も良くない。

(性格に関しては、凸凹コンビなんだよな)

やはり、兄という立場もあってから、社会への早期進出にゴーサインを出せなかった。
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