スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千三百五十七話 感銘

「そういえば、アラッドはあの冒険者の話知ってる?」

「どの冒険者の話だ?」

数時間ほど訓練と休息を繰り返し、そろそろ夕食の時間といったタイミングで、リエラはある冒険者の話題をアラッドに振った。

「えっとね……アラッドのお兄さんたちがいる戦場に、歳はアラッドたちとそこまで変わらないけど、パーティー単体って考えるとかなり活躍した三人パーティーの冒険者たちがいたらしいの」

「……それはまだ聞いてないな。しかし三人組か……アタッカー、タンカー、ヒーラーとかバランスの取れた組み合わせじゃなくて、全員アタッカーとかか?」

「正解。もしかして既に知ってた?」

「いや、本当に知らない。ただ……実際に傍から見れば頭が悪い構成で戦ってみると、上手くかみ合えば割と戦えるんだなと思ってな」

アラッドのパーティーはクロたち従魔組を一旦置いて考えると、オールラウンダーな剣士に雷速の双剣士と、痛み上等なアマゾネスファイターというアタッカーしかいない構成。

しかし、そこに関して文句を感じることは、これまで一度もなかった。

故に、決して自分たちだけに当てはまるのではなく、メンバーの実力次第では特におかしいパーティー構成ではないのかもしれない……と、少しだけ考えていたアラッド。

「そういう事ね。ちなみに、リーダーの鬼人族の女性は、珍しい従魔を連れてるって話らしいの」

「リーダーが鬼人族の女性か」

その言葉だけで、アラッドに……スティームとガルーレの頭にも、ある一人の女性が浮かんだ。

ただ、従魔を除いた数は三人らしく、断言は出来ない。

「従魔の珍しさは、もしかしたらクロとな時かそれ以上かもね」

「…………なぁ、スティーム、ガルーレ」

「うん……もしかしなくても」

「やっぱりあの人かな?」

クロよりも珍しさが上で……その主人が鬼人族の女性。

直ぐに断言は出来なかったものの、そこまで言われると三人の中でこの人物しかいないと思えてきた。

「なぁ、リエラ嬢。その鬼人族の女性の名前は、ディーナで合ってるか?」

「大正解よ…………ねぇ、やっぱりどこかで聞いてた?」

「いいや。ただ、以前会ったことがある同業者と特徴が一致しててな。けど、そうか……パーティーを組んだのか」

「臨時パーティーなんじゃないの? この前会った時は組んでなかったし……そっから戦争始まるまでの期間を考えると、がっつり組もうと思える同業者と出会えないと思うけど」

「どうだろうね……リエラさん。ちなみに、彼女とパーティーを組んでる冒険者の特徴とか分かりますか?」

「勿論よ。人族のオルフェンとクラートって人らしいわ。どっちも男性ね」

「「「…………」」」

残りのメンバーの名前を聞き、三人は完全に固まってしまった。

「? ちょ、三人ともどうしたの?」

「もしかして、その二人も……アラッドたちの知り合い?」

「あ、あぁ…………そう、だな……いや、そうなんだが……スティーム」

「勿論覚えてるよ。覚えてるんだけど……そんな事、あるんだね」

ガルーレも二人からオルフェンの話は聞いており、クラートに関してはその熱い背をしっかりと覚えていた。

「凄いね~~……あの二人だったら、臨時じゃなくてマジな感じ? けど、クラートってあれだよね。故郷大好き君だよね」

「そうだったな」

「ほぅ……気になるな」

個人情報、というほどの内容でもないため、ガルーレはクラートとの出会いをザっと説明した。

「………………」

「えっ、どうしたのライホルト!?」

拳を握りしめ、目を閉じながら薄っすらと涙を流していた巨漢騎士。

故郷への想い。
想いを実行するためへの信念に、強者をも恐れない勇気。

それらに心を打たれて、感動を覚えたライホルト。

「素晴らしい……冒険者として活動しているようだが、その心にはまさしく騎士の魂がある!!!」

「……確かに、持っている気質はそっち寄りだな。ただ、立場は平民だから、その道を往くには難しい。加えて、街やその街に住む住民だけを守るなら、冒険者という立場だけで事足りるからな」

「…………自由という言葉の意味を、上手く取り入れ、表しているということか」

「あぁ。騎士の心は持っているが、人付き合いが苦手って訳ではなさそうだし、他の同業者たちから反感を買ってもなさそうだからな……なんて言うか、本当に芯の通った、良い奴だと思う」

出会ったのはグリフォンの一件だけであり、それ以降関わったことはない。

それでもガルーレと同じく彼の背中はよく覚えていた。

「今回の戦争に関しては……クラート自身も参加したい気持ちはあっただろうが……多分、あの街の人たちに背中を押されたんだと思う」

「多分、そうだろうね」

スティームも彼の気持ち、精神……そして彼を慕う同業者や住民たちの優しさを覚えている。

「……あなた達がそこまで良い顔を浮かべるなんて、よっぽど良い冒険者……いえ、良い人なんでしょうね……あっ、それじゃあオルフェンって人がどんな人なのかも覚えてるのよね」

リエラとしては、当然パーティーを組んで活動していたオルフェンの事も気になる。

「私は二人から聞いただけで、直接会ったことはないんだよね~」

「………………あいつはあいつで、普通じゃないかったよな、スティーム」

「そう、だね…………同じ事が出来る人を、聞いたことがなかったからね」

どの口が言うんだとツッコまれると解っていても、二人はオルフェンは普通じゃないと断言できた。
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