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千三百五十八話 左右する存在
「あれだよね、オルフェンは……出会い方が普通じゃなかったよね」
「…………まぁ、そうとも言えるな」
「え? 最後の一人ってそんなぶっ飛んだ人なの?」
二人の会話から、ディーナとクラートはまともだが、オルフェンだけやや異常者なのかと感じたリエラ。
ただ、言葉を間違えたと思い、二人は慌てて首を横に振った。
「いや、違う。正確に難ありとかではないんだ。ただ、初めて出会った場所が闘技場だったんだ」
どういった流れなのかを一から説明。
「なんと言うか……とりあえず災難だったわね、アラッド」
「平民は貴族に屈するべきだ、とは全く思わないが……もう少し物事を考えてほしいものだな」
ある若い冒険者の行動が発端となり、アラッドが比較的歳が近い同業者たちと十連戦することになった話を聞き、リエラとライホルトは心底アラッドに同情した。
「それで、そのイベントの最後の相手がオルフェンって冒険者だったのね……それで、出会い方以外も普通じゃなかったんでしょ?」
「あぁ、そうだな…………一応、口外しないでほしい。オルフェンは人族なんだが、獣心の開放を使えるんだ」
「「「っっっ…………」」」
何故口外しないでほしいと伝えられたのか、三人は直ぐに納得すると同時に驚愕。
それはアラッドたちと同じく、オルフェンと同じことが出来る人族の話を聞いたことがないからであった。
「その様な方が…………ほ、本当に人族なの?」
「間違いなく人族だったな……疑いたくなる気持ちは解るが、特に何かを隠してるわけではなかった。ただ、俺との試合で獣心の開放を行ったのも事実だ」
隔世遺伝、という言葉はまだこの世界に生まれていない。
ただ、そういった現象があるという事は、専門家たちの間では常識となりつつある。
しかし……それでも家計を遡った結果、家系図に獣人族がいたとしても、子孫が獣心開放を行えるという例は基本的にゼロ。
「……凄い、ね。偶に身体能力や魔力量が、実は影響を受けてるって話は聞いたことがあるけど」
「うむ。獣人族を表す力まで受け継ぐという話は一度も聞いたことがない」
「そっちも同じか……まっ、そんな感じでオルフェンはオルフェンで普通じゃない冒険者だ。性格は……難ありではないと思うが、あまり複数人での行動を好まないタイプだったか?」
「僕たち会った時は、基本的にソロで活動してたはずだよ」
そんな冒険者が何故パーティーを組んだのか……といった疑問を三人が持つことはなかった。
アラッドたちの話を聞く限り、三人が様々な面で強さを有していることは解った。
それでも……強さがあるだけで生き残れるほど、戦争という戦場は甘くない。
「けど、やっぱりあれだね。こう…………ある種運命? みたいな感じなのかな」
「ん~~~~……割とガルーレの言う通り、かもしれないね」
「そうか? 三人に共通点はないと思うが……って、なんだよその顔は」
スティームとガルーレだけではなく、リエラたちまで「何を言ってるんだこの男は」と言いたげな顔を向けていた。
「アラッドってさぁ、やっぱりそういうところあるよね。ねっ、スティーム」
「うん、そうだね……まぁ、だからアラッドなのかもしれないけど」
「アラッドはあまり社交界に参加してなかったのよね? 侯爵家だから変わらなかったかもしれないけど、あなた社交界に参加してたら、殆どを敵に回してたんじゃないかしら」
「……ある意味、選別?」
「ふっ、そうだな。ラディアの言う通り、無意識に選別していただろう」
本当の意味でアラッドの周りに集まる者たちは、本物へなりうる。
そして、ただ……ただただ単純にアラッドを敵と認識する者は、本物へ至れない……ぶつかり合うことすらない石。
アラッドがめんどくさがらずに社交界に参加していれば、大人たちにとっては自動で原石とただの石ころを見分けさせてくれる選別機になっていた……かもしれない。
「アラッド。ディーナさん、クラート、オルフェンには君と出会ったという共通点があるだろ」
「あっ…………それはまぁ、そうかもしれないが……だが、共通点と言うには内容が薄いと思うんだが」
「…………」
「敵をつくってはいたかもしれないけど、ライホルトの言う通り……良い意味で選別してたでしょうね」
「たらればの話だがな」
スティームはなんと言えばいいか悩み、リエラはライホルトと一緒に苦笑いを浮かべる。
「そうだね……アラッド。ディーナさんとクラートに関しては、二人が為したいことを行うために君が力を貸した。オルフェンに関しては、君に対して……試合という戦いではあるけど、本気で挑んだ人物の一人。アラッドがこれまで関わってきた人物の中では、関りが深い人たちって言えるんじゃないかな」
「…………」
アラッドはまだこの世界に誕生してから二十年も経っていない。
だが、それなりに濃い人生を送っており……なにより、前世と比べて比較することが下らないと感じるほどの力を手にした。
それは……関わり方次第で、他者の運命を左右してしまう程のもの。
「あの三人の運命の中に、アラッドという力が関わった。そう考えると……うん、あれだね。寧ろ運命的というか、自然な流れだったのかもしれないね」
「……ったく、よくそんな事を恥ずかしがらずに言うもんだ」
本当に恥ずかしがっているのはどちらなのか……それは本人たちしか解らない。
「…………まぁ、そうとも言えるな」
「え? 最後の一人ってそんなぶっ飛んだ人なの?」
二人の会話から、ディーナとクラートはまともだが、オルフェンだけやや異常者なのかと感じたリエラ。
ただ、言葉を間違えたと思い、二人は慌てて首を横に振った。
「いや、違う。正確に難ありとかではないんだ。ただ、初めて出会った場所が闘技場だったんだ」
どういった流れなのかを一から説明。
「なんと言うか……とりあえず災難だったわね、アラッド」
「平民は貴族に屈するべきだ、とは全く思わないが……もう少し物事を考えてほしいものだな」
ある若い冒険者の行動が発端となり、アラッドが比較的歳が近い同業者たちと十連戦することになった話を聞き、リエラとライホルトは心底アラッドに同情した。
「それで、そのイベントの最後の相手がオルフェンって冒険者だったのね……それで、出会い方以外も普通じゃなかったんでしょ?」
「あぁ、そうだな…………一応、口外しないでほしい。オルフェンは人族なんだが、獣心の開放を使えるんだ」
「「「っっっ…………」」」
何故口外しないでほしいと伝えられたのか、三人は直ぐに納得すると同時に驚愕。
それはアラッドたちと同じく、オルフェンと同じことが出来る人族の話を聞いたことがないからであった。
「その様な方が…………ほ、本当に人族なの?」
「間違いなく人族だったな……疑いたくなる気持ちは解るが、特に何かを隠してるわけではなかった。ただ、俺との試合で獣心の開放を行ったのも事実だ」
隔世遺伝、という言葉はまだこの世界に生まれていない。
ただ、そういった現象があるという事は、専門家たちの間では常識となりつつある。
しかし……それでも家計を遡った結果、家系図に獣人族がいたとしても、子孫が獣心開放を行えるという例は基本的にゼロ。
「……凄い、ね。偶に身体能力や魔力量が、実は影響を受けてるって話は聞いたことがあるけど」
「うむ。獣人族を表す力まで受け継ぐという話は一度も聞いたことがない」
「そっちも同じか……まっ、そんな感じでオルフェンはオルフェンで普通じゃない冒険者だ。性格は……難ありではないと思うが、あまり複数人での行動を好まないタイプだったか?」
「僕たち会った時は、基本的にソロで活動してたはずだよ」
そんな冒険者が何故パーティーを組んだのか……といった疑問を三人が持つことはなかった。
アラッドたちの話を聞く限り、三人が様々な面で強さを有していることは解った。
それでも……強さがあるだけで生き残れるほど、戦争という戦場は甘くない。
「けど、やっぱりあれだね。こう…………ある種運命? みたいな感じなのかな」
「ん~~~~……割とガルーレの言う通り、かもしれないね」
「そうか? 三人に共通点はないと思うが……って、なんだよその顔は」
スティームとガルーレだけではなく、リエラたちまで「何を言ってるんだこの男は」と言いたげな顔を向けていた。
「アラッドってさぁ、やっぱりそういうところあるよね。ねっ、スティーム」
「うん、そうだね……まぁ、だからアラッドなのかもしれないけど」
「アラッドはあまり社交界に参加してなかったのよね? 侯爵家だから変わらなかったかもしれないけど、あなた社交界に参加してたら、殆どを敵に回してたんじゃないかしら」
「……ある意味、選別?」
「ふっ、そうだな。ラディアの言う通り、無意識に選別していただろう」
本当の意味でアラッドの周りに集まる者たちは、本物へなりうる。
そして、ただ……ただただ単純にアラッドを敵と認識する者は、本物へ至れない……ぶつかり合うことすらない石。
アラッドがめんどくさがらずに社交界に参加していれば、大人たちにとっては自動で原石とただの石ころを見分けさせてくれる選別機になっていた……かもしれない。
「アラッド。ディーナさん、クラート、オルフェンには君と出会ったという共通点があるだろ」
「あっ…………それはまぁ、そうかもしれないが……だが、共通点と言うには内容が薄いと思うんだが」
「…………」
「敵をつくってはいたかもしれないけど、ライホルトの言う通り……良い意味で選別してたでしょうね」
「たらればの話だがな」
スティームはなんと言えばいいか悩み、リエラはライホルトと一緒に苦笑いを浮かべる。
「そうだね……アラッド。ディーナさんとクラートに関しては、二人が為したいことを行うために君が力を貸した。オルフェンに関しては、君に対して……試合という戦いではあるけど、本気で挑んだ人物の一人。アラッドがこれまで関わってきた人物の中では、関りが深い人たちって言えるんじゃないかな」
「…………」
アラッドはまだこの世界に誕生してから二十年も経っていない。
だが、それなりに濃い人生を送っており……なにより、前世と比べて比較することが下らないと感じるほどの力を手にした。
それは……関わり方次第で、他者の運命を左右してしまう程のもの。
「あの三人の運命の中に、アラッドという力が関わった。そう考えると……うん、あれだね。寧ろ運命的というか、自然な流れだったのかもしれないね」
「……ったく、よくそんな事を恥ずかしがらずに言うもんだ」
本当に恥ずかしがっているのはどちらなのか……それは本人たちしか解らない。
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