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千三百五十九話 おかしな感覚ではない
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「とりあえずあれだな……三人にも挨拶しに行くか」
「それは私も賛成だけどさ、まだ王都にいるのかな?」
「…………リエラ嬢、ディーナたちは並ではない活躍をしていた、という認識で合っているか?」
「合ってるわ!」
「それじゃあ、まだ王都にいる筈だ」
戦争で活躍した冒険者というのは、貴族からすれば是非ともスカウトしたい存在。
仮に家の騎士へとスカウトすることが出来なくても、良好な関係を築くことが出来れば、今後の為となる。
(会えるなら、会っておいた方が良いはずだ)
貴族からスカウトされてもおかしくないと確信を持てるからこそ、三人を探しに行くわけだが……それはそれとして、侯爵家の人間である自分が関わっていれば「あんたら、三人に下手な関り方をしたらどうなるか解ってんだろうな」という忠告代わりになる。
「私たちも付いて行って良いかしら?」
「……えぇ、どうぞ」
リエラたち三人がいれば目立ってしまう、なんて考えは今更であるため放棄。
ただ、クロたちには王城で留守番してもらい、その間親と違って好奇心旺盛な子ユニコーンの話し相手になってもらう。
「な、なぁ。あれって」
「確かに……ほ、本物だ!!」
「ね、ねぇねぇ。あの人がアラッド様よね」
「それじゃあ、隣にいる男性はスティーム様かしら」
王城を出て冒険者ギルドがある方へと向かうと、当然ながらその道中、市民たちの視線が刺さる。
美形が多く、尚且つ今回の件でアラッドの外見がそれなりに正確に……ついでにスティームたちの外見なども伝わったため、直ぐに本物の英雄たちだとバレてしまう。
(……嬉しいというか、楽しい人はこの状況が楽しいんだろうけど、俺はとてもそんな気にはなれないな)
向けられる多数の視線に対し、快感を感じるような癖はない。
向けられる興味の視線に、笑顔を振りまくような器用さもない。
(こういう時、あんまり父さんとかと似てないこの顔で良かったと思えるな)
強面な顔故に、アラッドという英雄に対して目を輝かせる者は多いが……彼の顔と雰囲気、侯爵家の令息という立場も相まって、気安く声を掛けてくる者がいない。
「あら、あまり良い気はしないの?」
「こういうので気持ちよくなってるなら、もう少し社交界に顔を出してたはずだ」
「あぁ~~~、それもそっか」
「そういう事に興味を持たないからこそ、今のアラッドがあるのだろう」
「大多数の令息たちには耳が痛そうね~~~」
「…………他人のそういうところに関して、とやかく言うつもりはないがな」
実際に、憧れや尊敬の視線を向けられることに快感を覚えるタイプを、アラッドは変態クソナルシスト野郎だと思っているわけではない。
そういった視線を向けられることは、称賛を受けるのと同じ。
であれば、嬉しさ……多数のそういった視線を向けられることに、楽しさを感じてもおかしくはない、理解はある。
ただ、彼の性に合ってないだけであった。
「アラッドはそういう事に興味がないことに加えて、他の事に強い興味を持っていたからね。そういうのに興味がない、だけじゃあ今には至らないと思うよ」
「むっ、そうか……そうだな。少し視野が狭くなっていた」
「……姿勢や才能を否定する気はないが、俺の場合父さんが早い段階で冒険者の道に進むことを許容してくれたのが大きい……普通ならあり得ないだろうからな」
またそういう敵をつくるような事を言って~~~っと、今回は思わないリエラたち。
リバーシやらあれこれの財布、財力事情があるとはいえ、それでもアラッドはただの貴族令息ではなく、侯爵家の令息。
普通に考えれば、更に侯爵家の地盤を固める、もしくは勢力図を広げる……存在感を高める存在として使える。
多くの家が戦いへの道に進むことに関しては止めずとも、間違いなく騎士の道へと進めようとする。
となれば、当然だが礼儀作法やダンスの練習も欠かせない。
それらに時間を取られれば、訓練や狩りの時間も減ってしまう。
「フール様は、早い段階から、アラッドには既に揺るぎない意志がある、っと感じ取ってたのかもしれない」
「……もしかしたら、そうなのかもしれないな。っと、ここだな…………相変わらずデカいな」
既に何度か見たことがあるものの、その大きさに毎回衝撃を受ける。
「ねぇ、ラディア。どうなの」
「………………ちょっと、こっちの方が大きいかな」
「やっぱりそうよね」
ナルターク王国の王都にある冒険者ギルドも勿論大きいのだが、二人の感想通りアルバース王国の冒険者ギルドの方がやや規模が大きかった。
アラッドたちと話していた通り、今後実はアルバース王国をどうこう、なんてことは一欠片も考えていない。
ただ……ラディアは同じ冒険者ということもあり、ほんの少しだけ悔しさを感じていた。
「失礼しまーす、っと」
中へ入ると、王都にある冒険者ギルドらしく、他のギルドと比べて非常に内装が整っていた。
とはいえ、ずっと冒険者たちが行き来し、飲み交わす場所ということもあって、冒険者たちの存在が違和感に感じることはなかった。
(聞いた方が早いか)
当然の様に集まっていた視線を無視し、カウンターの外にいた受付嬢へ声を掛ける。
「すいません」
「はい! なんでしょう、か……」
これまた当然の様に声を掛けてきた人物の正体に気付き、思わず固まってしまう受付嬢。
「ディーナ、クラート、オルフェンという冒険者たちがどこにいるか解りますか」
「あっ、はい!!!」
しかし、そこはアラッド。
驚かれることに慣れており、リアクションを取られる前に要件を伝えてしまい、とりあえず目の前の人物に騒がれることは防ぐことに成功した。
「それは私も賛成だけどさ、まだ王都にいるのかな?」
「…………リエラ嬢、ディーナたちは並ではない活躍をしていた、という認識で合っているか?」
「合ってるわ!」
「それじゃあ、まだ王都にいる筈だ」
戦争で活躍した冒険者というのは、貴族からすれば是非ともスカウトしたい存在。
仮に家の騎士へとスカウトすることが出来なくても、良好な関係を築くことが出来れば、今後の為となる。
(会えるなら、会っておいた方が良いはずだ)
貴族からスカウトされてもおかしくないと確信を持てるからこそ、三人を探しに行くわけだが……それはそれとして、侯爵家の人間である自分が関わっていれば「あんたら、三人に下手な関り方をしたらどうなるか解ってんだろうな」という忠告代わりになる。
「私たちも付いて行って良いかしら?」
「……えぇ、どうぞ」
リエラたち三人がいれば目立ってしまう、なんて考えは今更であるため放棄。
ただ、クロたちには王城で留守番してもらい、その間親と違って好奇心旺盛な子ユニコーンの話し相手になってもらう。
「な、なぁ。あれって」
「確かに……ほ、本物だ!!」
「ね、ねぇねぇ。あの人がアラッド様よね」
「それじゃあ、隣にいる男性はスティーム様かしら」
王城を出て冒険者ギルドがある方へと向かうと、当然ながらその道中、市民たちの視線が刺さる。
美形が多く、尚且つ今回の件でアラッドの外見がそれなりに正確に……ついでにスティームたちの外見なども伝わったため、直ぐに本物の英雄たちだとバレてしまう。
(……嬉しいというか、楽しい人はこの状況が楽しいんだろうけど、俺はとてもそんな気にはなれないな)
向けられる多数の視線に対し、快感を感じるような癖はない。
向けられる興味の視線に、笑顔を振りまくような器用さもない。
(こういう時、あんまり父さんとかと似てないこの顔で良かったと思えるな)
強面な顔故に、アラッドという英雄に対して目を輝かせる者は多いが……彼の顔と雰囲気、侯爵家の令息という立場も相まって、気安く声を掛けてくる者がいない。
「あら、あまり良い気はしないの?」
「こういうので気持ちよくなってるなら、もう少し社交界に顔を出してたはずだ」
「あぁ~~~、それもそっか」
「そういう事に興味を持たないからこそ、今のアラッドがあるのだろう」
「大多数の令息たちには耳が痛そうね~~~」
「…………他人のそういうところに関して、とやかく言うつもりはないがな」
実際に、憧れや尊敬の視線を向けられることに快感を覚えるタイプを、アラッドは変態クソナルシスト野郎だと思っているわけではない。
そういった視線を向けられることは、称賛を受けるのと同じ。
であれば、嬉しさ……多数のそういった視線を向けられることに、楽しさを感じてもおかしくはない、理解はある。
ただ、彼の性に合ってないだけであった。
「アラッドはそういう事に興味がないことに加えて、他の事に強い興味を持っていたからね。そういうのに興味がない、だけじゃあ今には至らないと思うよ」
「むっ、そうか……そうだな。少し視野が狭くなっていた」
「……姿勢や才能を否定する気はないが、俺の場合父さんが早い段階で冒険者の道に進むことを許容してくれたのが大きい……普通ならあり得ないだろうからな」
またそういう敵をつくるような事を言って~~~っと、今回は思わないリエラたち。
リバーシやらあれこれの財布、財力事情があるとはいえ、それでもアラッドはただの貴族令息ではなく、侯爵家の令息。
普通に考えれば、更に侯爵家の地盤を固める、もしくは勢力図を広げる……存在感を高める存在として使える。
多くの家が戦いへの道に進むことに関しては止めずとも、間違いなく騎士の道へと進めようとする。
となれば、当然だが礼儀作法やダンスの練習も欠かせない。
それらに時間を取られれば、訓練や狩りの時間も減ってしまう。
「フール様は、早い段階から、アラッドには既に揺るぎない意志がある、っと感じ取ってたのかもしれない」
「……もしかしたら、そうなのかもしれないな。っと、ここだな…………相変わらずデカいな」
既に何度か見たことがあるものの、その大きさに毎回衝撃を受ける。
「ねぇ、ラディア。どうなの」
「………………ちょっと、こっちの方が大きいかな」
「やっぱりそうよね」
ナルターク王国の王都にある冒険者ギルドも勿論大きいのだが、二人の感想通りアルバース王国の冒険者ギルドの方がやや規模が大きかった。
アラッドたちと話していた通り、今後実はアルバース王国をどうこう、なんてことは一欠片も考えていない。
ただ……ラディアは同じ冒険者ということもあり、ほんの少しだけ悔しさを感じていた。
「失礼しまーす、っと」
中へ入ると、王都にある冒険者ギルドらしく、他のギルドと比べて非常に内装が整っていた。
とはいえ、ずっと冒険者たちが行き来し、飲み交わす場所ということもあって、冒険者たちの存在が違和感に感じることはなかった。
(聞いた方が早いか)
当然の様に集まっていた視線を無視し、カウンターの外にいた受付嬢へ声を掛ける。
「すいません」
「はい! なんでしょう、か……」
これまた当然の様に声を掛けてきた人物の正体に気付き、思わず固まってしまう受付嬢。
「ディーナ、クラート、オルフェンという冒険者たちがどこにいるか解りますか」
「あっ、はい!!!」
しかし、そこはアラッド。
驚かれることに慣れており、リアクションを取られる前に要件を伝えてしまい、とりあえず目の前の人物に騒がれることは防ぐことに成功した。
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