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二十九話 思ったより早く作れた
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今日一日の狩りが終了し、素材と魔石を冒険者ギルドで換金を終えたアラッドはそのまま屋敷に帰らず、黒の塗料を買ってから帰った。
「アラッド様、それはいったい何に使うのですか?」
アラッドが最近錬金術のスキルを習得し、ポーションやマナポーションを造っているのは知っている。
戦闘の強さが頭三つほど抜けており、更に錬金術まで習得したアラッドは本当に傑物だと思った。
だが、その錬金術の材料として塗料を使うことはない。
なのでアラッドが塗料を買った糸が解らなかった。
「まぁ、ちょっと使うんだよ。その為に今日は木を斬ったからな」
「そういえば木を斬り倒してアイテムポーチの中に入れていましたが、もしや木と塗料を使って何かを作るつもりなのですか?」
「鋭いな。少し面白いアイデアが浮かんでな。それを作るためには木と塗料が必要だったんだよ」
「なるほど、そうでしたか。アラッド様が何を作るのか楽しみです」
五歳児が作るなにかなど、たかが知れている。
それが一般的な考えだが、兵士たちはアラッドがその常識に当てはまる人物ではないと知っている。
なので、ついどんな物が作られるのかワクワクしてしまう。
屋敷に戻ってからその日はいつも通り夕食を食べてから風呂に入り、少しポーションとマナポーションを造ってから寝た。
そして翌日、アラッドはいつも通り朝食を食べて朝の訓練を終えてから早速ある物を作り始めた。
木は刃物がなくても魔力の刃で斬ることが出来るので、作業はサクサク進む。
「……しまった、やすりを手に入れてなかったな……まぁ、綺麗に切ってるし問題無いか」
自分が作っているのは売る商品ではなく、ただの試作品なのでそこまで気にする必要はないと思い、再び作業を続ける。
そして作業を始めてから十分後、ようやく完成の品が出来た。
「もっと時間がかかると思ってたけど、魔力操作の腕がそれなりに高かったからか、案外あっさりと終わったな」
アラッドが作った物はリバーシ……そう、前世では超ポピュラーなゲーム、オセロ。
木工に関してはまだまだ技術力がないアラッドでも簡単に作れるゲーム。
フールへの恩を返せるかもしれない試作品を作れたことにアラッドは非常に満足していた。
「うん、我ながら上手く作れたな。この円盤を入れる溝も我ながら上手くできてるな」
上手く作れた。そう確信したアラッドは早速リバーシを持ってフールが仕事をしている部屋に訪れた。
「えっと……アラッド、これはいったいなんなんだい?」
アラッドが部屋に入ってきた時から何やら線が入った板と白黒の丸い小さな円盤をいくつも持っているのが見えていた。
「俺が考えたリバーシというゲームです」
嘘だ。
オセロを作ったのが誰かは知らないが、オセロはアラッドが考案したゲームではない。
だが、この世界でリバーシを作ったのはアラッドが初。
それは間違いない。
「白と黒、まずはどちらがどの色を使うかを決め、中心部に四つ円盤を置きます。そしてお互いに一枚ずつマス目に置いていき、挟んだ円盤を裏返しにします」
「……ふむ。だいたいやり方は分かった。つまり、最終的に色が多い者の勝利……ということで合ってるかい?」
「その通りです。まずは実際にやってみませんか?」
「そうだね……面白そうだし、休憩がてら一勝負してみようかな」
丁度少し休憩しようと思っていたところなので、二人は紅茶を飲みながらリバーシで遊び始めた。
「……アラッド、もう一度やらないかい」
「えっと、それは勿論良いんですけど、そろそろ仕事に戻らなくても大丈夫ですか?」
どうやれば勝ちやすいのかそれなりに知っているので、七戦ほど遊んだが全てアラッドの勝利。
一番最初と比べてフールの色も増えてきたが、それでもアラッドが七戦全勝の事実は変わらなかった。
「フール様、アラッド様の言う通りです。そろそろ休憩の時間は終わりですよ」
「うっ……分かった。休憩の時間は終ろう。アラッド……このリバーシというゲーム、とても面白いのは分かった。久しぶりに我を忘れて楽しんでしまったよ。ただ、僕にこれを店に来たということは……ただ持ってきて遊ぼうと思った訳じゃないよね」
「はい。これを商品にできないかと思って相談しに来ました」
頭の中に浮かんだボードゲームはまだまだあるが、一先ず手軽に商品にできるだろうと思ったのがリバーシ。
少しの間フールと遊んだ時の表情を見る限り、必ず売れるとティールは確信した。
「アラッド様、それはいったい何に使うのですか?」
アラッドが最近錬金術のスキルを習得し、ポーションやマナポーションを造っているのは知っている。
戦闘の強さが頭三つほど抜けており、更に錬金術まで習得したアラッドは本当に傑物だと思った。
だが、その錬金術の材料として塗料を使うことはない。
なのでアラッドが塗料を買った糸が解らなかった。
「まぁ、ちょっと使うんだよ。その為に今日は木を斬ったからな」
「そういえば木を斬り倒してアイテムポーチの中に入れていましたが、もしや木と塗料を使って何かを作るつもりなのですか?」
「鋭いな。少し面白いアイデアが浮かんでな。それを作るためには木と塗料が必要だったんだよ」
「なるほど、そうでしたか。アラッド様が何を作るのか楽しみです」
五歳児が作るなにかなど、たかが知れている。
それが一般的な考えだが、兵士たちはアラッドがその常識に当てはまる人物ではないと知っている。
なので、ついどんな物が作られるのかワクワクしてしまう。
屋敷に戻ってからその日はいつも通り夕食を食べてから風呂に入り、少しポーションとマナポーションを造ってから寝た。
そして翌日、アラッドはいつも通り朝食を食べて朝の訓練を終えてから早速ある物を作り始めた。
木は刃物がなくても魔力の刃で斬ることが出来るので、作業はサクサク進む。
「……しまった、やすりを手に入れてなかったな……まぁ、綺麗に切ってるし問題無いか」
自分が作っているのは売る商品ではなく、ただの試作品なのでそこまで気にする必要はないと思い、再び作業を続ける。
そして作業を始めてから十分後、ようやく完成の品が出来た。
「もっと時間がかかると思ってたけど、魔力操作の腕がそれなりに高かったからか、案外あっさりと終わったな」
アラッドが作った物はリバーシ……そう、前世では超ポピュラーなゲーム、オセロ。
木工に関してはまだまだ技術力がないアラッドでも簡単に作れるゲーム。
フールへの恩を返せるかもしれない試作品を作れたことにアラッドは非常に満足していた。
「うん、我ながら上手く作れたな。この円盤を入れる溝も我ながら上手くできてるな」
上手く作れた。そう確信したアラッドは早速リバーシを持ってフールが仕事をしている部屋に訪れた。
「えっと……アラッド、これはいったいなんなんだい?」
アラッドが部屋に入ってきた時から何やら線が入った板と白黒の丸い小さな円盤をいくつも持っているのが見えていた。
「俺が考えたリバーシというゲームです」
嘘だ。
オセロを作ったのが誰かは知らないが、オセロはアラッドが考案したゲームではない。
だが、この世界でリバーシを作ったのはアラッドが初。
それは間違いない。
「白と黒、まずはどちらがどの色を使うかを決め、中心部に四つ円盤を置きます。そしてお互いに一枚ずつマス目に置いていき、挟んだ円盤を裏返しにします」
「……ふむ。だいたいやり方は分かった。つまり、最終的に色が多い者の勝利……ということで合ってるかい?」
「その通りです。まずは実際にやってみませんか?」
「そうだね……面白そうだし、休憩がてら一勝負してみようかな」
丁度少し休憩しようと思っていたところなので、二人は紅茶を飲みながらリバーシで遊び始めた。
「……アラッド、もう一度やらないかい」
「えっと、それは勿論良いんですけど、そろそろ仕事に戻らなくても大丈夫ですか?」
どうやれば勝ちやすいのかそれなりに知っているので、七戦ほど遊んだが全てアラッドの勝利。
一番最初と比べてフールの色も増えてきたが、それでもアラッドが七戦全勝の事実は変わらなかった。
「フール様、アラッド様の言う通りです。そろそろ休憩の時間は終わりですよ」
「うっ……分かった。休憩の時間は終ろう。アラッド……このリバーシというゲーム、とても面白いのは分かった。久しぶりに我を忘れて楽しんでしまったよ。ただ、僕にこれを店に来たということは……ただ持ってきて遊ぼうと思った訳じゃないよね」
「はい。これを商品にできないかと思って相談しに来ました」
頭の中に浮かんだボードゲームはまだまだあるが、一先ず手軽に商品にできるだろうと思ったのがリバーシ。
少しの間フールと遊んだ時の表情を見る限り、必ず売れるとティールは確信した。
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