スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
30 / 1,361

三十話 それだけで構わない

しおりを挟む
「商品として売る、か……そうだね。確かにこのゲーム……リバーシは売れる。ナダックはどう思う?」

「自分もこれは売れると思います。アラッド様、これは木と塗料だけで作ったんですよね」

「はい。木と塗料だけで作りました。貴族や豪商から要望があれば鉱石や宝石を使った特注品を作ればいい……けど、一般人が使うぶんには木と塗料だけで問題無いかと」

「……フール様、これは絶対に商品として売るべきです!! 現時点で財政難という訳ではありませんが、アラッド様はお作りになったリバーシを懇意にしている商会から売れば懐か暖かくなるのは確実かと」

ナダックはざっと……本当にざっとリバーシを商品として売り、パーシブル家に入ってくる利益を考えると頭が沸騰しそうになった。

「そうだね……是非ともそうしよう。だが、商品として売り出す前に決めないといけないことがある。これを作ったのはアラッドだ。売ることによって発生する金額のうち、何割を権利として受け取るのか」

この世界にも著作権に近いものが存在する。
故に、もしかしたらフールに恩を返せるかもしれないと思って作ったリバーシの売り上げによっては、子供で億万長者になることも不可能ではない。

「えっと……その権利というのは一般的に何割ぐらいなんですか?」

「こういった物に関しては大体四割から五割が相場だね」

リバーシを売れば大金が入ってくるのは容易に想像できる。
だが、フールはパーシブル家がそれを受け取っても良いのか迷っていた。

商品として売り出すまでは大人であるフールたちの力が必要だ。
ただ……フールはこの一時間近くでリバーシにどっぷりとハマった。

こんな面白いゲームと自分たちが商品にするまでの労力……それが釣り合っているとは思えなかった。

しかしアラッドも同じようなことを考えていた。
今回リバーシを作ったのはフールに対する恩を返すため。

だが、今後のことを考えると多少なりともお金は欲しい。

「それでは、三割を権利として主張します。そのうち、二割はパーシブル家に入れてください」

それがアラッドの答えだった。

「あ、アラッド様。もう少し自分の権利を主張しても良いのですよ。このリバーシというのは素晴らしい娯楽です」

「その通りだよ、アラッド様。これは絶対に売れる確証できる。権利として五割を主張しても通るよ」

二人の言う通りではあるのだが、アラッドの考えは変わらなかった。

「いえ、それで十分ですよ」

「……そうか。アラッドがそういうなら、言う通りにしよう。しかし、パーシブル家の取り分が二割でいいのかい?」

「えぇ、勿論です。元々パーシブル家に利益をもたらすかと思って作った娯楽なので」

「君は、本当に大人びてるね……有難う。その気持ち、大事にさせてもらうよ。このリバーシは少し預からせてもらっても良いかい?」

「はい、大丈夫です」

伝えたい事を伝え、上手くことが進んだアラッドは上機嫌な様子で執務室から出た。

「……まだ時間はあるし、いくつか作るか」

まだまだ木も塗料もあるので、庭に戻ったアラッドは五台ほどリバーシを作ってから訓練に戻った。

そして夕食を食べ終えたあと、第一夫人であるエリア。第二夫人であるリーナ。血の繋がった母であるアリサに一台ずつリバーシを渡した。
既にこれがどのような娯楽なのか聞いているので、三人は早速側近のメイドたちを相手にゲームを始めた。

「グラストさん、これ」

「……アラッド様。これはいったいどのような物なのでしょうか」

騎士や兵士たち用に一台渡すが、グラストはまだリバーシがどのような娯楽なのか聞いていなかった。
なのでサラッと遊び方を教え、実際に一ゲーム行う。

結果、当然アラッドが勝利した。

「こんな感じで、最後の色が多い方が勝ちって感じ」

「これは……実に面白い娯楽ですね」

「そう言ってもらえると嬉しいです。父さんにも渡しているので、後日商品として売り出されます。ただ、現時点はこの家の人しか持っていません」

「な、なるほど。そのような物を……有難く頂戴します」

「順番を守って遊んでくださいね」

グラストと別れたアラッドは最後にギーラスの部屋へと向かった。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。

凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」 「それは良いですわね、勇者様!」 勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。 隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。 毎日の暴行。 さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。 最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。 今までの行いを、後悔させてあげる--

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します

かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。 追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。 恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。 それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。 やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。 鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。 ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...