スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
90 / 1,361

九十話 試していた

しおりを挟む
「お主、名はなんという」

「アラッド・パーシブルです」

「アラッドか……実を言うとな、お主らがここまで来る力があるかどうか試していた」

オーアルドラゴンはゴーレム系のモンスターを支配し、敢えてアラッドたちを襲う様に仕向けていた。
ドラゴン系のモンスター全てがその様な能力を持つわけではないが、オーアルドラゴンは低ランクのモンスター……最大Cランクまでの鉱石や岩系のモンスターを支配することができる。

「なるほど。ここに来るまで襲ってくるモンスターの数が多かったのはそういった理由があったのですね」

伝えられた事実に対し、フールは特に怒った様子を見せない。
それはアラッドも同じだった。

襲ってくるモンスターが多いとは感じたが、倒せない敵ではない。
誰か負傷者や死者が出ることもなかった。

大惨事にするという考えがオーアルドラゴンから感じられないという事もあり、二人はその事実を素直に受け入れた。

二人を守護する存在である騎士たちはそんな理由があったのかと驚くが、憤慨することはなかった。
本日鉱山内で遭遇したモンスターは全て騎士一人でも対処できるこたいばかり。

そしてそんなモンスターを殆どアラッドとクロが仕留めたということもあり、オーアルドラゴンに対して怒りが湧くことはない。

「お主らは我が与えた試練を乗り越えた、ということだ……ここに来たのは、我になにか頼みがあるからなのだろう。それを叶えるかどうかはさておき、まずは話してみよ」

オーアルドラゴンの前には今まで多くの人族が訪れた。
ただ、その殆どが自身に対して敵意を持つ者ばかり。

出会い頭に強力な斬撃や刺突、凶悪な攻撃魔法をぶっ放してくる者が大半。
人はそういった者ばかりではないというのは分かっているが、オーアルドラゴンの素材欲しさに多くの戦闘職が訪れては攻撃して殺しに掛かる。

しかし目の前の人族たちからは敵意や殺意を全く感じられない。
アラッドの傍にいるクロだけは警戒し続けているが、それでも自分から襲い掛かろうとする意志は感じられなかったので、何かしら相談や頼み事があるのだろうと予想した。

「それでは……オーアルドラゴン殿、あなたには是非この鉱山を住処にして頂きたい」

「…………ん? ここに住んでいても良いのか?」

「はい、その通りです。あなたがここに住み始めてから、廃鉱となったこの鉱山が復活しました」

「……うむ。確かに我にはそのような特性がある」

オーアルドラゴンが滞在する地域で鉱石が生まれやすくなる。
仮に鉱山や岩山がない草原に長い間滞在したとしても、地面を掘れば鉱石が発掘される。

オーアルドラゴンが滅多に一目に触れる場所に現れないというのもあるが、この特性はあまり世間では知られていない。
故に、素材目当てで狩ろうとする者が多い。

仮にその特性を知っている者が近づこうとしても、権力者はドラゴンが危険な人物だと解っていながらも心のどこかで自分より下の存在として見ている。
相手の表情から何を考えているのか読むことができるドラゴンとしては、そんな相手と交渉する必要だと全く感じない。

だが、目の前の人物たちからは過去に遭遇してきた馬鹿や屑どもとは違う雰囲気を感じる。

「対価は用意しますので、是非この鉱山を拠点にしてください」

「ふむ、対価とな……それは気になるな。詳しく教えてもらっても良いか」

領地に住み着くドラゴンに対して我が身が大事という理由で一定期間ごとに生贄を捧げる地域もある。
ただ、ドラゴンの殆どは人の肉よりも他のモンスターの肉が美味いと感じている。

稀に人肉を好み、他の獲物よりも人を優先して食らおうとするモンスターは確かに存在するが、殆どのドラゴンは生きた人を捧げられても困るだけだった。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。

凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」 「それは良いですわね、勇者様!」 勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。 隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。 毎日の暴行。 さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。 最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。 今までの行いを、後悔させてあげる--

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します

かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。 追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。 恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。 それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。 やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。 鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。 ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...