文字サイズ
小
中
大
特大
90 / 1,608
九十話 試していた
「お主、名はなんという」
「アラッド・パーシブルです」
「アラッドか……実を言うとな、お主らがここまで来る力があるかどうか試していた」
オーアルドラゴンはゴーレム系のモンスターを支配し、敢えてアラッドたちを襲う様に仕向けていた。
ドラゴン系のモンスター全てがその様な能力を持つわけではないが、オーアルドラゴンは低ランクのモンスター……最大Cランクまでの鉱石や岩系のモンスターを支配することができる。
「なるほど。ここに来るまで襲ってくるモンスターの数が多かったのはそういった理由があったのですね」
伝えられた事実に対し、フールは特に怒った様子を見せない。
それはアラッドも同じだった。
襲ってくるモンスターが多いとは感じたが、倒せない敵ではない。
誰か負傷者や死者が出ることもなかった。
大惨事にするという考えがオーアルドラゴンから感じられないという事もあり、二人はその事実を素直に受け入れた。
二人を守護する存在である騎士たちはそんな理由があったのかと驚くが、憤慨することはなかった。
本日鉱山内で遭遇したモンスターは全て騎士一人でも対処できるこたいばかり。
そしてそんなモンスターを殆どアラッドとクロが仕留めたということもあり、オーアルドラゴンに対して怒りが湧くことはない。
「お主らは我が与えた試練を乗り越えた、ということだ……ここに来たのは、我になにか頼みがあるからなのだろう。それを叶えるかどうかはさておき、まずは話してみよ」
オーアルドラゴンの前には今まで多くの人族が訪れた。
ただ、その殆どが自身に対して敵意を持つ者ばかり。
出会い頭に強力な斬撃や刺突、凶悪な攻撃魔法をぶっ放してくる者が大半。
人はそういった者ばかりではないというのは分かっているが、オーアルドラゴンの素材欲しさに多くの戦闘職が訪れては攻撃して殺しに掛かる。
しかし目の前の人族たちからは敵意や殺意を全く感じられない。
アラッドの傍にいるクロだけは警戒し続けているが、それでも自分から襲い掛かろうとする意志は感じられなかったので、何かしら相談や頼み事があるのだろうと予想した。
「それでは……オーアルドラゴン殿、あなたには是非この鉱山を住処にして頂きたい」
「…………ん? ここに住んでいても良いのか?」
「はい、その通りです。あなたがここに住み始めてから、廃鉱となったこの鉱山が復活しました」
「……うむ。確かに我にはそのような特性がある」
オーアルドラゴンが滞在する地域で鉱石が生まれやすくなる。
仮に鉱山や岩山がない草原に長い間滞在したとしても、地面を掘れば鉱石が発掘される。
オーアルドラゴンが滅多に一目に触れる場所に現れないというのもあるが、この特性はあまり世間では知られていない。
故に、素材目当てで狩ろうとする者が多い。
仮にその特性を知っている者が近づこうとしても、権力者はドラゴンが危険な人物だと解っていながらも心のどこかで自分より下の存在として見ている。
相手の表情から何を考えているのか読むことができるドラゴンとしては、そんな相手と交渉する必要だと全く感じない。
だが、目の前の人物たちからは過去に遭遇してきた馬鹿や屑どもとは違う雰囲気を感じる。
「対価は用意しますので、是非この鉱山を拠点にしてください」
「ふむ、対価とな……それは気になるな。詳しく教えてもらっても良いか」
領地に住み着くドラゴンに対して我が身が大事という理由で一定期間ごとに生贄を捧げる地域もある。
ただ、ドラゴンの殆どは人の肉よりも他のモンスターの肉が美味いと感じている。
稀に人肉を好み、他の獲物よりも人を優先して食らおうとするモンスターは確かに存在するが、殆どのドラゴンは生きた人を捧げられても困るだけだった。
「アラッド・パーシブルです」
「アラッドか……実を言うとな、お主らがここまで来る力があるかどうか試していた」
オーアルドラゴンはゴーレム系のモンスターを支配し、敢えてアラッドたちを襲う様に仕向けていた。
ドラゴン系のモンスター全てがその様な能力を持つわけではないが、オーアルドラゴンは低ランクのモンスター……最大Cランクまでの鉱石や岩系のモンスターを支配することができる。
「なるほど。ここに来るまで襲ってくるモンスターの数が多かったのはそういった理由があったのですね」
伝えられた事実に対し、フールは特に怒った様子を見せない。
それはアラッドも同じだった。
襲ってくるモンスターが多いとは感じたが、倒せない敵ではない。
誰か負傷者や死者が出ることもなかった。
大惨事にするという考えがオーアルドラゴンから感じられないという事もあり、二人はその事実を素直に受け入れた。
二人を守護する存在である騎士たちはそんな理由があったのかと驚くが、憤慨することはなかった。
本日鉱山内で遭遇したモンスターは全て騎士一人でも対処できるこたいばかり。
そしてそんなモンスターを殆どアラッドとクロが仕留めたということもあり、オーアルドラゴンに対して怒りが湧くことはない。
「お主らは我が与えた試練を乗り越えた、ということだ……ここに来たのは、我になにか頼みがあるからなのだろう。それを叶えるかどうかはさておき、まずは話してみよ」
オーアルドラゴンの前には今まで多くの人族が訪れた。
ただ、その殆どが自身に対して敵意を持つ者ばかり。
出会い頭に強力な斬撃や刺突、凶悪な攻撃魔法をぶっ放してくる者が大半。
人はそういった者ばかりではないというのは分かっているが、オーアルドラゴンの素材欲しさに多くの戦闘職が訪れては攻撃して殺しに掛かる。
しかし目の前の人族たちからは敵意や殺意を全く感じられない。
アラッドの傍にいるクロだけは警戒し続けているが、それでも自分から襲い掛かろうとする意志は感じられなかったので、何かしら相談や頼み事があるのだろうと予想した。
「それでは……オーアルドラゴン殿、あなたには是非この鉱山を住処にして頂きたい」
「…………ん? ここに住んでいても良いのか?」
「はい、その通りです。あなたがここに住み始めてから、廃鉱となったこの鉱山が復活しました」
「……うむ。確かに我にはそのような特性がある」
オーアルドラゴンが滞在する地域で鉱石が生まれやすくなる。
仮に鉱山や岩山がない草原に長い間滞在したとしても、地面を掘れば鉱石が発掘される。
オーアルドラゴンが滅多に一目に触れる場所に現れないというのもあるが、この特性はあまり世間では知られていない。
故に、素材目当てで狩ろうとする者が多い。
仮にその特性を知っている者が近づこうとしても、権力者はドラゴンが危険な人物だと解っていながらも心のどこかで自分より下の存在として見ている。
相手の表情から何を考えているのか読むことができるドラゴンとしては、そんな相手と交渉する必要だと全く感じない。
だが、目の前の人物たちからは過去に遭遇してきた馬鹿や屑どもとは違う雰囲気を感じる。
「対価は用意しますので、是非この鉱山を拠点にしてください」
「ふむ、対価とな……それは気になるな。詳しく教えてもらっても良いか」
領地に住み着くドラゴンに対して我が身が大事という理由で一定期間ごとに生贄を捧げる地域もある。
ただ、ドラゴンの殆どは人の肉よりも他のモンスターの肉が美味いと感じている。
稀に人肉を好み、他の獲物よりも人を優先して食らおうとするモンスターは確かに存在するが、殆どのドラゴンは生きた人を捧げられても困るだけだった。
感想 488
あなたにおすすめの小説
専業主婦十年、夫と息子に「何もしてない」と言われたので、自分の名前で稼ぐことにした
「お母さん、何もしてないじゃん」
小学四年生の息子に言われた。翌朝、夫も言った。そっちは家にいるだけだろ、と。
専業主婦十年。渡される生活費は白い封筒の月3万円。家の通帳は見たこともない。
期限切れのファンデーションを塗り、フォロワー48人のアカウントに写真を上げた。「ダメ出しお願いします」。止まらない通知の中に、短い返信が一つ。
――ひとつずつでいいよ。
早朝の新聞配達に、時給1200円の品出し。夜は簿記の参考書を開いた。額面22万円の雇用条件通知書。初めてのPR案件は、2万5千円。
その秋、夫が昼に誰と会っているかを知った。離婚届は12月24日。
一年後、私の会社の月商は500万円、フォロワーは200万人。港区のタワーマンションの鍵は、私の名前で受け取った。
「家にいるだけだろ」と言った人が、その数字を口にする番が来る。
この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
全9話。
「白い結婚だから息子は独身同然」ですか? お義母様、私たちまだ離縁しておりませんが
夫の再婚相手を募集する招待状が届いた。――差出人は義母。ちなみに、私はまだ妻である。
白い結婚を理由に、勝手に夫の再婚話を進める義母。
ところが調べてみると、令嬢たちから多額の準備金を集めていたことが発覚!
冷静で芯の強い妻クラリスと、実は妻を溺愛している公爵レオン。
夫婦で義母の企みを暴く、痛快ざまぁ&じれ甘異世界恋愛。
私と結婚するはずの勇者が妹の恋人になって戻ってきたので、あなたへの加護はもう祈りません
魔王を討ち果たし、王都に凱旋した勇者一行。勇者への褒賞は、〈聖剣の乙女〉である第一王女ウィノナとの結婚――のはずだった。
だが玉座の間で勇者が求婚したのは、共に旅をした第二王女ジュリア。「真の〈聖剣の乙女〉は私よ」と涙ながらに訴える妹に、宮廷中が喝采を送る。
幼い頃から、人形もドレスも人の心も、すべて妹に奪われてきたウィノナは、静かに告げた。
「承知しました。では本日この時をもって、加護の祈りを終えさせていただきます」
その瞬間、勇者が床に崩れ落ちて――。
二年間祈り続けた姉王女が、本当に待っていた「あの方」とは。
※「小説家になろう」にも掲載しています。
雨女の「陰気令嬢」と疎まれてきましたが、砂漠の国では国宝だったようです ~国王陛下は十年前の雨の日から、私を探していたそうです~
「雨は、僕の国では神様の贈り物なんだ」
七歳の誕生日、雨の中で笑ってくれた名前も知らない男の子。その言葉だけを支えに、「陰気令嬢」と疎まれる日々を耐えてきたエステル。
ある日、砂漠の国の王に「あなたは、この国の宝です」と迎えられる。
国益のための婚姻だと思っていたのに、王様はなぜか、雨より私のことばかり気にしていて……?
十年越しの一途な初恋が実る、雨と砂漠の溺愛短編です。
※この作品は、外部サイトでも掲載しております。
聖女様の奇跡のパン、その種を育てていたのは私です
神殿で評判の「聖女様の奇跡のパン」。
その種を育て、生地を見守り、毎朝焼き上げていたのは、職人ミーナだった。
未払いの賃金を求めた彼女は、信仰心が足りないと解雇される。
新しい工房でパンを焼き始めた矢先、神殿から流れたのは、彼女が古巣を呪ったという噂。
奇跡と呼ばれたおいしさを、自分の仕事と名前で取り戻す、パン職人の逆転物語。
神の手を持つ3歳児?!
現代日本で「神の手」と呼ばれた天才外科医、天城蓮司。数え切れない命を救ってきた彼は、ある日、手術中に倒れ、その生涯を終えた。
しかし、次に目を覚ましたとき、彼は剣と魔法が存在する異世界の王国に生まれ変わっていた。
しかも、その姿は、まだ三歳の王子様。
三つの大国が互いに牽制し、国境では戦争が絶えない世界。王族の命さえ安全ではない宮廷で、彼は前世の医学知識を武器に、誰にも知られず父王の命を救う。
だが、それは大きな陰謀の始まりにすぎなかった。
幼い王子が持つのは、剣でも魔法でもない。
人の命を救う、神の手だった。
妹の身代わりに殺戮の王太子に嫁がされた忌み子王女、実は妖精の愛し子でした。嫁ぎ先でじゃがいもを育てていたら、殿下の溺愛が始まりました・長編版
国王の愛人の娘であるアリアベルタは、母親の死後、王宮内で放置されていた。
食事は一日に一回、カビたパンやまふ腐った果物、生のじゃがいもなどが届くだけだった。
しかしアリアベルタはそれでもなんとか暮らしていた。
アリアベルタの母親は妖精の村の出身で、彼女には妖精がついていたのだ。
その妖精はアリアベルタに引き継がれ、彼女に加護の力を与えてくれていた。
ある日、数年ぶりに国王に呼び出されたアリアベルタは、異母妹の代わりに殺戮の王子と二つ名のある隣国の王太子に嫁ぐことになり……。
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろうとカクヨムにも投稿しています。
※中編を大幅に改稿し、長編化しました。2025年1月20日
※長編版と差し替えました。2025年7月2日
※コミカライズ化が決定しました。商業化した際はアルファポリス版は非公開に致します。
※表紙イラストは猫様からお借りしています。
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。