スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
153 / 1,361

百五十三話 狂う?

しおりを挟む
アラッドがミスリル鉱石とローズオレッドを手に入れて油断しているところで、鉱石宝石系の出品物の中の目玉商品が現れた。

「こちらの商品に関してですが……断言出来ます。必ず皆さまが……特に一部の方々にとっては、驚き狂うほどの品です!!!!」

司会者の紹介により、参加者たちの気分が更に高揚し始め……気を抜いていたアラッドが目を覚ます。

(一部の方にとっては驚き狂うって……いったい何が出てくるんだ?)

アラッドが予想する間も無く、隠されたベールが脱がされ……商品の姿が現れた。

その商品を目にした瞬間、司会者の言葉通り……何名かの者たちは驚きのあまり固まった。
固まった者の中には、フールとグラストもいた。

二人の表情を見て、アラッドは直ぐにベールを脱いだ商品が鉱石や宝石類の中でもトップクラスの物だと分かった。
ただ……いったい何という名前の商品なのか、全く予想出来ない。

「既にお分かりになっている方もいるようですね……そう、この鉱石はヒヒイロカネです!!!」

司会者が鉱石の正体を説明した瞬間、会場が湧いた。
正確にはヒヒイロカネという素材の価値を十分知っている者たちが司会者の言葉通り、驚き狂った。

「…………マジ、か」

驚きを声に出すことはなかったアラッドだが、心は完全に沸騰していた。

(あれは……絶対に欲しい!!!!)

鉱石の中でもオリハルコンに次いで有名な鉱石であり、その希少性は圧倒的。
アラッドは文字通り、目先にある鉱石を喉から手が出るほど欲しいと思った。

「こちらのヒヒイロカネ……最低落札額、五百枚から始めさせていただきます!!!!」

「六百!!!」

「七百!!!」

「八百!!!!」

司会者が最低落札額を発表した瞬間、速攻で金貨百枚分上がった。
最低落札額、金貨五百枚との時点で現在トップの落札額だが、それが次々に更新されていく。

それまでは五枚や十枚刻みで競り上がっていたのが、五十枚や百枚刻みでどんどん落札額が吊り上がっていく。

あまりにも値段が上がっていくスピードが速く、少し圧倒されたアラッドだが……直ぐにミスリル鉱石とローズオレッドが舞台に上がった時と同じ表情に変わった。

(おっと、この表情は……やっぱり狙うつもりなんだね)

武器を使う者として、是非ともヒヒイロカネという鉱石は欲しい。
それはフールとグラストも同じ気持ちだが、どう考えてもアラッドが競り落とす光景が目に見えているので手を出そうとはしなかった。

(獲物を狩る時の目付き……今は参加する段階じゃないってことか)

値段はあっさりと五千枚台を突破し、それでも更に吊り上がっていく。

「七千五百!!!」

「七千八百!!!!」

「……八千二百!!!!」

ヒヒイロカネの落札額は止まることなく、白金貨八十二枚を突破。
参加者の中にはヒヒイロカネという鉱石が珍しく、希少性が高いということは分かっているが、それでもまだまだ値段を上げていく者たちに対して、少し引いていた。

だが、その価値を知っている者からすればここは絶対に引けない勝負。
自身が自由に使える金に限界がくるまで争い続ける。

(……な、なんか徐々に狂い始めてる?)

自分が参加する時まで冷静に待機している中、徐々に値段を上げていく者たちの声に狂気が宿っている様に感じた。
ただそれでも、アラッドはこの戦いから逃げようとは一ミリも考えていない。

まだまだ値段が上がっていく中、ついに落札額は黒曜金貨一枚……つまり、金貨一万枚に達した。

(今だな)

「一万百枚!!!」

「「「「「「ッ!!!???」」」」」」

再びミスリル鉱石とローズオレッドを落札した少年が参加した。
この状況に驚く者がいれば、歯ぎしりをする者もいた。

「一万五百枚!!!!!」

ガキが参加する幕じゃない!!!! と言いたげな声で更に四百枚上乗せ。
しかしアラッドもここで引きはしない。

「一万一千枚!!!!!」

更に五百枚を上乗せし、参加者たちが感嘆の声を漏らす。

「ぐっ!!! い、一万一千百枚!!!!」

「一万一千五百枚!!!!!」

「なっ!!!! ……クソッ!!!!」

今度はアラッドからもう戦うだけ無駄だと言わんばかりの値上げをされ、遂に長い競り合いが終了した。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。

凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」 「それは良いですわね、勇者様!」 勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。 隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。 毎日の暴行。 さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。 最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。 今までの行いを、後悔させてあげる--

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

処理中です...