165 / 1,361
百六十五話 千以上は売っている
しおりを挟む
「ほぉぉぉ~~~~~……凄い」
アラッドの狩りに参加した翌日、リンの目の前には立派な鍛冶場があった。
「どうだ、リンが鍛冶をするのに文句ない設備……らしいんだが」
錬金術を趣味とするアラッドでは、目の前の鍛冶設備を見て何となく凄いとは思うが、どこがどう細かく凄いのかは分からない。
「良い……とても良い。でも、これを造るのにかなりお金がかかったんじゃないっすか」
「まぁ、それなりだな。例えると……こいつぐらい?」
「ッ!!??」
リンはアラッドが亜空間から取り出した物を見て、目玉が飛び出そうなほど仰天。
アラッドは先日のオークションで魔眼のスキルブックを落札し、無事に魔眼を習得した。
そして……なんと、フールから空間収納のスキルブックを譲り受け、空間収納まで習得していた。
アラッドは自分の懐を温めるためと思って色々と自分で造ったり、アイデアを出していたりしたが、それらのお陰でパーシブル家の懐は有名どころの商会にも負けないほど膨れ上がった。
結局はアラッドのお陰なのだが、その礼としてフールは自身で落札した空間収納のスキルブックをアラッドに渡した。
「そ、それは……本当、っすか?」
「はっはっは! 冗談だ冗談。これの半分ぐらいだ」
「そ、そうなんっすね……いや、それでも驚きっす」
空間収納から取り出された物は……鉱石の中でも最高級の素材、ヒヒイロカネ。
鍛冶師であるリンにとっては何時間でも見続けられることが出来る、至高の鉱石。
「自分の為に、こんな設備を用意してくれて……本当に嬉しいっす!!!!」
感極まったリンは主に忠誠を誓う騎士の様にアラッドの方を向き、膝を付いた。
「嬉しいのは分かったから、起き上がってくれ。そうやって礼をされるのは……少しムズムズする」
「分かったす」
起き上がったリンはもう一度……じっくり、隅々まで鍛冶場を見渡す。
(全てが……全てが一級品の物ばかり。ドワーフの鍛冶師達が見れば、涎を垂らしそうだ)
涎を垂らすことはなくとも、その日は鍛冶場から出てくることはない。
そんな例は決して珍しくない。
「ただ……一つ疑問なんっすけど、アラッドさんはその……どれぐらい稼いでるんっすか?」
「それは俺の総資産ということか」
「えっと……そうっすね」
いったいアラッドの総資産は幾らなのか。
リンの為に鍛冶場を用意したアラッドだが、金貨五千枚以上を使ってもその顔には金銭的ダメージが全くない。
(どれぐらいあるんだろうな)
正直なところ、アラッドは正確には把握していない。
だが、それでもアラッドの元にはまだまだプレミアム品を造って欲しいという依頼がいくつも届いている。
一つ売るだけで、アラッドの懐には金貨五十枚が入ってくる。
一般的なリバーシやチェスは一つ売れるごとに銅貨十枚と五十円。
ただ、それなりにお金に余裕がある者であれば、持っているだけ一つのステータスとなるプレミアム品を欲しがる。
「国外でも売れてるらしいから、一般販売しているリバーシとチェスの収入も結構あるし……プレミアム品は一つ金貨五十枚。偶にトレントの木以外の鉱石とかで作ってほしいという依頼の場合は、絶対に失敗できないから割増しで貰ってるんだよ」
「……アラッド様も把握出来てないってことっすね」
「そういうことだ。だから先日オークションに参加して、少しでも消化しようと思ったんだ。俺は食以外にあまり金を使わないからな」
「そうっすね」
それはここ数日間一緒に過ごす中で解った。
(あまり詳しくは知らないっすけど、貴族って何十何百っているっすよね。金を持ってるってだけなら冒険者や商人も同じ……って事を考えると、黒曜金貨もアラッド様にとってはそこまで大金じゃない?)
アラッドは既に千以上ものプレミア品を造り上げ、売っている。
その中には鉱石で造って欲しいという依頼もあり、金貨五十枚以上の報酬が入ってくるのもザラ。
アラッドにとって黒曜金貨が大金ではないという訳ではないが、現状を考えると何かの支払いに使ってもそこまで痛くないというの事実だった。
アラッドの狩りに参加した翌日、リンの目の前には立派な鍛冶場があった。
「どうだ、リンが鍛冶をするのに文句ない設備……らしいんだが」
錬金術を趣味とするアラッドでは、目の前の鍛冶設備を見て何となく凄いとは思うが、どこがどう細かく凄いのかは分からない。
「良い……とても良い。でも、これを造るのにかなりお金がかかったんじゃないっすか」
「まぁ、それなりだな。例えると……こいつぐらい?」
「ッ!!??」
リンはアラッドが亜空間から取り出した物を見て、目玉が飛び出そうなほど仰天。
アラッドは先日のオークションで魔眼のスキルブックを落札し、無事に魔眼を習得した。
そして……なんと、フールから空間収納のスキルブックを譲り受け、空間収納まで習得していた。
アラッドは自分の懐を温めるためと思って色々と自分で造ったり、アイデアを出していたりしたが、それらのお陰でパーシブル家の懐は有名どころの商会にも負けないほど膨れ上がった。
結局はアラッドのお陰なのだが、その礼としてフールは自身で落札した空間収納のスキルブックをアラッドに渡した。
「そ、それは……本当、っすか?」
「はっはっは! 冗談だ冗談。これの半分ぐらいだ」
「そ、そうなんっすね……いや、それでも驚きっす」
空間収納から取り出された物は……鉱石の中でも最高級の素材、ヒヒイロカネ。
鍛冶師であるリンにとっては何時間でも見続けられることが出来る、至高の鉱石。
「自分の為に、こんな設備を用意してくれて……本当に嬉しいっす!!!!」
感極まったリンは主に忠誠を誓う騎士の様にアラッドの方を向き、膝を付いた。
「嬉しいのは分かったから、起き上がってくれ。そうやって礼をされるのは……少しムズムズする」
「分かったす」
起き上がったリンはもう一度……じっくり、隅々まで鍛冶場を見渡す。
(全てが……全てが一級品の物ばかり。ドワーフの鍛冶師達が見れば、涎を垂らしそうだ)
涎を垂らすことはなくとも、その日は鍛冶場から出てくることはない。
そんな例は決して珍しくない。
「ただ……一つ疑問なんっすけど、アラッドさんはその……どれぐらい稼いでるんっすか?」
「それは俺の総資産ということか」
「えっと……そうっすね」
いったいアラッドの総資産は幾らなのか。
リンの為に鍛冶場を用意したアラッドだが、金貨五千枚以上を使ってもその顔には金銭的ダメージが全くない。
(どれぐらいあるんだろうな)
正直なところ、アラッドは正確には把握していない。
だが、それでもアラッドの元にはまだまだプレミアム品を造って欲しいという依頼がいくつも届いている。
一つ売るだけで、アラッドの懐には金貨五十枚が入ってくる。
一般的なリバーシやチェスは一つ売れるごとに銅貨十枚と五十円。
ただ、それなりにお金に余裕がある者であれば、持っているだけ一つのステータスとなるプレミアム品を欲しがる。
「国外でも売れてるらしいから、一般販売しているリバーシとチェスの収入も結構あるし……プレミアム品は一つ金貨五十枚。偶にトレントの木以外の鉱石とかで作ってほしいという依頼の場合は、絶対に失敗できないから割増しで貰ってるんだよ」
「……アラッド様も把握出来てないってことっすね」
「そういうことだ。だから先日オークションに参加して、少しでも消化しようと思ったんだ。俺は食以外にあまり金を使わないからな」
「そうっすね」
それはここ数日間一緒に過ごす中で解った。
(あまり詳しくは知らないっすけど、貴族って何十何百っているっすよね。金を持ってるってだけなら冒険者や商人も同じ……って事を考えると、黒曜金貨もアラッド様にとってはそこまで大金じゃない?)
アラッドは既に千以上ものプレミア品を造り上げ、売っている。
その中には鉱石で造って欲しいという依頼もあり、金貨五十枚以上の報酬が入ってくるのもザラ。
アラッドにとって黒曜金貨が大金ではないという訳ではないが、現状を考えると何かの支払いに使ってもそこまで痛くないというの事実だった。
356
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。
凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」
「それは良いですわね、勇者様!」
勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。
隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。
毎日の暴行。
さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。
最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。
今までの行いを、後悔させてあげる--
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる