166 / 1,361
百六十六話 現実と初心
しおりを挟む
「お、おいアラッドさん……あ、あの人たちはいったい何なんだ!?」
「何なんだと言われても……エルフとハーフドワーフ、獣人の女性と獣人の男性だな」
いつも通り、一週間に一度バークたちがアラッドの庭にお邪魔し、訓練に参加しに来たのだが……その際に庭で待機していた人物に驚きを隠せないダイア君。
「き、綺麗……」
近くでエリナとシーリアの美女エルフ二人を見たエレナは、すっかり見惚れていた。
「いや、それは見れば分かるって! でもよ、今まであんな人たちはいなかっただろ」
「そ、そうだよ。もしかして雇ったのかい?」
「雇ったというか買ったというか……まぁ、とにかく気にせずにいつも通り訓練しようぜ」
「そ、そんなこと言われてもよぉ。もう少し詳しく説明してくれよ」
「ん~~~~……彼女たち五人とも、俺より強いからな」
「「「「え~~~~~~っ!!??」」」」
サラッと口に出したアラッドの言葉を聞き、四人とも盛大に驚いた。
バークにいたっては腰を抜かしていた。
「おいおい、驚きすぎだろ」
アラッドは腰を抜かして驚いたバークに手を差し伸べる。
「す、すいません……いや、でもそれっと……ま、マジですか」
「あぁ、マジだぞ。彼女たちが俺の家に来てから何度も模擬戦してるけど、今のところ一度も勝ててない」
「ッ……そ、そうなんっすね」
バークはアラッドの信者ではないが、自分の中で一番強い人物は誰かと尋ねられれば即座にアラッドと答える。
それ程バークの中でアラッドというのは紛れもなく強者だった。
歳上の自分が全力で倒しに行っても勝てす、幼馴染四人で倒しに行っても変わらず子ども扱いで負ける。
時折話してくれるモンスターとの戦いも全て本当だと信じており、天上の存在。
そんなアラッドが本当に負けたと受け入れるまで、少し時間が掛かった。
「バーク、エリナたちは俺よりもがっつりレベルが上なんだ。今はまだ負けて当然に決まってるだろ」
「あっ……そ、そうかもしれないっすね」
今はまだ負けて当然という言葉に、毎度それなりに危なげな勝負をしているシーリアがビクッと震えた。
「それじゃ、まずはいつも通り軽く体を動かそう」
念入りに準備運動を行い、素振りなどの動作確認を行ってから模擬戦スタート。
そして五人全員と模擬戦を行ったバークは思った……憧れるアラッドが負けるのも仕方ないと。
接近戦が苦手なシーリアも含めて、当然の結果ではあるがコテンパンに負けた。
(なんつーか、アラッドさん以上にこっちをじっくり見られながら対応された気がするんだよな……それだけアラッドさんよりも実力が上ってことか)
実際に五人と戦い、当然の事実を体感し……バークは少しの間ボーっとしていた。
「隣、失礼するぞ」
「あ、ど……どうぞ」
体格が良いガルシアがいきなり現れ、アラッドよりも歳上といってもまだまだ子供なバークにとっては非常に緊張する相手。
「バークは、アラッド様に憧れてるのか?」
「え、えっと。そうっすね」
初めて本当の強さを感じた存在。
それがアラッドだったので、彼が負けるというイメージが浮かばなかった。
だが、模擬戦とはいえこうして目の前でアラッドがリンやエリナ相手に負ける姿を見て、少し落ち込んでいた。
「……ん~~~~。あれだ、アラッド様もまだ七歳……十分子供だ。俺たちの立場は奴隷だが、それでもまだまだ七歳の子供に負けられないって思いはある」
ガルシアの言葉を聞いて、その思いは分からなくもなかった。
「まっ、いずれはあっさり追い抜かれそうだけどな……でも、バークだってその年齢にしては結構強いと思うぞ」
「そ、そうですか?」
「あぁ、本当だ。嘘じゃないぜ。だから……もっとアラッド様以外に意識を向けてみるのもありだと思うぞ」
「アラッドさん以外に、っすか」
「そうだ。なんか、今のバークは凄い視野が狭くなってる状態に思えてな……こう、もっと訓練を積み重ねて強くなろうって思った初心を思い出してみたらどうだ」
強くなろうと思った初心を思い出す。
その言葉を聞き……何故か胸のモヤモヤが消え、スッと軽くなった。
「憧れを捨てろって訳じゃない。ただ、一つの何かに集中し過ぎるのは良くないかな……ってのが歳上からのお節介だ」
「……いえ、お節介なんてとんでもないっす」
原点を思い出せたバークの心は今までで一番メラメラと燃えていた。
「何なんだと言われても……エルフとハーフドワーフ、獣人の女性と獣人の男性だな」
いつも通り、一週間に一度バークたちがアラッドの庭にお邪魔し、訓練に参加しに来たのだが……その際に庭で待機していた人物に驚きを隠せないダイア君。
「き、綺麗……」
近くでエリナとシーリアの美女エルフ二人を見たエレナは、すっかり見惚れていた。
「いや、それは見れば分かるって! でもよ、今まであんな人たちはいなかっただろ」
「そ、そうだよ。もしかして雇ったのかい?」
「雇ったというか買ったというか……まぁ、とにかく気にせずにいつも通り訓練しようぜ」
「そ、そんなこと言われてもよぉ。もう少し詳しく説明してくれよ」
「ん~~~~……彼女たち五人とも、俺より強いからな」
「「「「え~~~~~~っ!!??」」」」
サラッと口に出したアラッドの言葉を聞き、四人とも盛大に驚いた。
バークにいたっては腰を抜かしていた。
「おいおい、驚きすぎだろ」
アラッドは腰を抜かして驚いたバークに手を差し伸べる。
「す、すいません……いや、でもそれっと……ま、マジですか」
「あぁ、マジだぞ。彼女たちが俺の家に来てから何度も模擬戦してるけど、今のところ一度も勝ててない」
「ッ……そ、そうなんっすね」
バークはアラッドの信者ではないが、自分の中で一番強い人物は誰かと尋ねられれば即座にアラッドと答える。
それ程バークの中でアラッドというのは紛れもなく強者だった。
歳上の自分が全力で倒しに行っても勝てす、幼馴染四人で倒しに行っても変わらず子ども扱いで負ける。
時折話してくれるモンスターとの戦いも全て本当だと信じており、天上の存在。
そんなアラッドが本当に負けたと受け入れるまで、少し時間が掛かった。
「バーク、エリナたちは俺よりもがっつりレベルが上なんだ。今はまだ負けて当然に決まってるだろ」
「あっ……そ、そうかもしれないっすね」
今はまだ負けて当然という言葉に、毎度それなりに危なげな勝負をしているシーリアがビクッと震えた。
「それじゃ、まずはいつも通り軽く体を動かそう」
念入りに準備運動を行い、素振りなどの動作確認を行ってから模擬戦スタート。
そして五人全員と模擬戦を行ったバークは思った……憧れるアラッドが負けるのも仕方ないと。
接近戦が苦手なシーリアも含めて、当然の結果ではあるがコテンパンに負けた。
(なんつーか、アラッドさん以上にこっちをじっくり見られながら対応された気がするんだよな……それだけアラッドさんよりも実力が上ってことか)
実際に五人と戦い、当然の事実を体感し……バークは少しの間ボーっとしていた。
「隣、失礼するぞ」
「あ、ど……どうぞ」
体格が良いガルシアがいきなり現れ、アラッドよりも歳上といってもまだまだ子供なバークにとっては非常に緊張する相手。
「バークは、アラッド様に憧れてるのか?」
「え、えっと。そうっすね」
初めて本当の強さを感じた存在。
それがアラッドだったので、彼が負けるというイメージが浮かばなかった。
だが、模擬戦とはいえこうして目の前でアラッドがリンやエリナ相手に負ける姿を見て、少し落ち込んでいた。
「……ん~~~~。あれだ、アラッド様もまだ七歳……十分子供だ。俺たちの立場は奴隷だが、それでもまだまだ七歳の子供に負けられないって思いはある」
ガルシアの言葉を聞いて、その思いは分からなくもなかった。
「まっ、いずれはあっさり追い抜かれそうだけどな……でも、バークだってその年齢にしては結構強いと思うぞ」
「そ、そうですか?」
「あぁ、本当だ。嘘じゃないぜ。だから……もっとアラッド様以外に意識を向けてみるのもありだと思うぞ」
「アラッドさん以外に、っすか」
「そうだ。なんか、今のバークは凄い視野が狭くなってる状態に思えてな……こう、もっと訓練を積み重ねて強くなろうって思った初心を思い出してみたらどうだ」
強くなろうと思った初心を思い出す。
その言葉を聞き……何故か胸のモヤモヤが消え、スッと軽くなった。
「憧れを捨てろって訳じゃない。ただ、一つの何かに集中し過ぎるのは良くないかな……ってのが歳上からのお節介だ」
「……いえ、お節介なんてとんでもないっす」
原点を思い出せたバークの心は今までで一番メラメラと燃えていた。
344
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。
凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」
「それは良いですわね、勇者様!」
勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。
隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。
毎日の暴行。
さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。
最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。
今までの行いを、後悔させてあげる--
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる