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二百九十八話 傲慢を打ち消す人望と功績
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透き通るブロンドのロングストレート。
まさに女神……と錯覚するほどの容姿を持ち、その眼に暖かさがある。
「良い試合をしましょう」
「あ、はい」
対戦相手にその様なことを言いながら、握手を求める。
その手を、対戦相手である二年生は照れながらも応えた。
(笑顔で握手を求める、か……俺が同じことをすれば、絶対に嫌な顔されるだろうな)
男女関係無しに、そうなる未来しか見えない。
アラッドの容姿はそれなりに優れており、決して下ではない。
人によっては、上の上だろと答える者だっている。
ただ、高めてきた知名度や功績もあって、対戦相手の二年生としては、フローレンス・カルロストと戦えるだけでもう嬉しい! という思いすらあった。
「アラッドは、あの人を倒せば目標達成なんだよね」
「そうだな。まっ、あのフローレンス・カルロストじゃなくて、レイ嬢と戦うことになるかもしれないけどな」
アラッドは割と本気でその可能性はあると考えていた。
隣では尊敬の念を抱く同級生に評価され、少し笑みが零れるレイがいた。
「……そういえばよ、アラッドはあんまりあの人のこと、好きじゃないんだっけ?」
「そういえばそんな事を言ってたわね。どうしてかしら? 貴族の中でも非常に優れた人格者だと思うのだけど」
愛を信条に生きるフローレンス・カルロスト。
その思いは普段の生活に現れており、誰が相手でも公平な態度で接する。
校内で差別による問題が起きれば、原因である親の権力大好き坊ちゃんや令嬢を言葉巧みに誘導し、物理的に倒してしまう。
そこで唾を吐き捨てることなく、良い方向へと導こうとする。
そんな彼女の裏表がなく、一個人を見てくれる態度に人間的に惚れる生徒が多数おり、ファンクラブさえある。
普段の生活態度が良いほど、実は裏がある……という例はあるが、フローレンスはそういった性根が腐った人物でもない。
エリザが言う通り、非常に優れた人格者であり、高い実力を持つ戦闘者でもある。
「エリザ嬢たちからすれば、意味が解らないかもしれないが……俺は、口だけの人間は好きじゃない」
このアラッドの言葉を、レイも含めて直ぐには理解出来なかった。
いったい、どんな理由で好きになれないのか。
真剣に考えこもうとしたタイミングで、フローレンスの試合がスタートした。
フローレンスの戦闘スタイルは細剣に風と火の魔力、どちらかを纏って戦い……同時に攻撃魔法も使う魔法剣士スタイル。
同じく細剣扱うマリアは少しでも吸収しようと、全神経を集中させて試合を観察している。
(……俺が言うことではないんだろうけど、一瞬で終わらせないんだな)
アラッドは大会というお祭りを楽しむため、一回戦目は直ぐに試合を終わらせなかった。
相手をリングギリギリまで追い詰めても、追撃はしなかった。
(でも、俺とは少し違う、か?)
フローレンスは、まるで対戦相手の実力を現時点で伸ばせるだけ引き伸ばした上で、勝利しようとしている。
(これまた……俺の時とは違って、対戦相手は楽しいんだろうな)
激的には変わらずとも、自分の実力が引き伸ばされる感覚。
これに快感を覚え、対戦相手の表情は非常に活き活きとしている。
大会という己の運命を懸ける場で、教師の様な真似事をするのは……人によっては、嘗めていると思われるかもしれない。
実際にこの会場にもチラホラと……特別室から観戦している貴族たちの中にも、フローレンスがどの様に戦っているのかを理解している者たちがいた。
だが、フローレンスにはこれまで得てきた功績と人望があり、少々傲慢だと思った者でも「けど、フローレンスなら仕方ないか」と思って、本当にフローレンスに対して怒りを持つ者など、殆どいない。
「好きにはなれないが……それでも、強いな」
相手の実力を引き上げるだけ引き上げ、最後はあっさりと勝利を奪っていった。
まさに女神……と錯覚するほどの容姿を持ち、その眼に暖かさがある。
「良い試合をしましょう」
「あ、はい」
対戦相手にその様なことを言いながら、握手を求める。
その手を、対戦相手である二年生は照れながらも応えた。
(笑顔で握手を求める、か……俺が同じことをすれば、絶対に嫌な顔されるだろうな)
男女関係無しに、そうなる未来しか見えない。
アラッドの容姿はそれなりに優れており、決して下ではない。
人によっては、上の上だろと答える者だっている。
ただ、高めてきた知名度や功績もあって、対戦相手の二年生としては、フローレンス・カルロストと戦えるだけでもう嬉しい! という思いすらあった。
「アラッドは、あの人を倒せば目標達成なんだよね」
「そうだな。まっ、あのフローレンス・カルロストじゃなくて、レイ嬢と戦うことになるかもしれないけどな」
アラッドは割と本気でその可能性はあると考えていた。
隣では尊敬の念を抱く同級生に評価され、少し笑みが零れるレイがいた。
「……そういえばよ、アラッドはあんまりあの人のこと、好きじゃないんだっけ?」
「そういえばそんな事を言ってたわね。どうしてかしら? 貴族の中でも非常に優れた人格者だと思うのだけど」
愛を信条に生きるフローレンス・カルロスト。
その思いは普段の生活に現れており、誰が相手でも公平な態度で接する。
校内で差別による問題が起きれば、原因である親の権力大好き坊ちゃんや令嬢を言葉巧みに誘導し、物理的に倒してしまう。
そこで唾を吐き捨てることなく、良い方向へと導こうとする。
そんな彼女の裏表がなく、一個人を見てくれる態度に人間的に惚れる生徒が多数おり、ファンクラブさえある。
普段の生活態度が良いほど、実は裏がある……という例はあるが、フローレンスはそういった性根が腐った人物でもない。
エリザが言う通り、非常に優れた人格者であり、高い実力を持つ戦闘者でもある。
「エリザ嬢たちからすれば、意味が解らないかもしれないが……俺は、口だけの人間は好きじゃない」
このアラッドの言葉を、レイも含めて直ぐには理解出来なかった。
いったい、どんな理由で好きになれないのか。
真剣に考えこもうとしたタイミングで、フローレンスの試合がスタートした。
フローレンスの戦闘スタイルは細剣に風と火の魔力、どちらかを纏って戦い……同時に攻撃魔法も使う魔法剣士スタイル。
同じく細剣扱うマリアは少しでも吸収しようと、全神経を集中させて試合を観察している。
(……俺が言うことではないんだろうけど、一瞬で終わらせないんだな)
アラッドは大会というお祭りを楽しむため、一回戦目は直ぐに試合を終わらせなかった。
相手をリングギリギリまで追い詰めても、追撃はしなかった。
(でも、俺とは少し違う、か?)
フローレンスは、まるで対戦相手の実力を現時点で伸ばせるだけ引き伸ばした上で、勝利しようとしている。
(これまた……俺の時とは違って、対戦相手は楽しいんだろうな)
激的には変わらずとも、自分の実力が引き伸ばされる感覚。
これに快感を覚え、対戦相手の表情は非常に活き活きとしている。
大会という己の運命を懸ける場で、教師の様な真似事をするのは……人によっては、嘗めていると思われるかもしれない。
実際にこの会場にもチラホラと……特別室から観戦している貴族たちの中にも、フローレンスがどの様に戦っているのかを理解している者たちがいた。
だが、フローレンスにはこれまで得てきた功績と人望があり、少々傲慢だと思った者でも「けど、フローレンスなら仕方ないか」と思って、本当にフローレンスに対して怒りを持つ者など、殆どいない。
「好きにはなれないが……それでも、強いな」
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