スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
312 / 1,361

三百十二話 そういう商売もある

しおりを挟む
「……そこら辺の試合より、よっぽど金が取れそうな組み合わせだな」

「そうだね。これは平民や貴族関係無く、王都で生活する者たちなら、絶対に見逃せない一戦だよ」

当たり前だが、会場に入れない者たちだっている。

そんな者たちを相手に、通信機能を有するマジックアイテムを使い、観戦している冒険者が戦況をもう一人の冒険者に、マジックアイテムを通して伝える。
そして伝えられた冒険者が中に入れない者たちの為に、会場の中で行われている戦いを解説する。

なんて商売をしているものさえいる。

この商売は以前から行われており、これからレイとフローレンスの試合が行われるとなれば……会場の周りには、その手法で商売をしている冒険者に集まる者たちで溢れかえっていた。

「アラッドから視て、勝つのはどちらだと思う?」

このベルの言葉に、周囲の観客たちは揃って聞き耳を立てる。

元々貴族の間では、引退した騎士や現役の騎士が手放しで褒め、勧誘しようとするほどの実力者。
という情報は広まっており、かなり強いという話は耳に入っていた。

平民たちにはそういった情報が入っておらず、個人戦の大会に出場しても……最初は多分一回戦で消えるだろう、と思われていた。

しかし蓋を開けてみれば、連戦連勝。
遂には一年生ながらに、準決勝まで上り詰めた。

そんなアラッドが、今から始まるレイとフローレンスの勝敗を予想。
今から口に出される情報は聞き逃せない。

「……フローレンス・カルロストが、何を隠してるかによるな」

「奥の手をってことかい?」

「そうだ。身体能力は、おそらく互角……もしかしたら、レイ嬢が少し上かもしれないって程度だ。今までの試合みたいに、大きなアドバンテージにはならない」

そんなレイも、今までの試合の中で本気中の本気は出していなかった。

だが、出していない分の差は……フローレンスの方が大きいと感じるアラッド。

「個人的にはややフローレンス・カルロストの方が有利だと思うが、隠している奥の手なども含めて、やってみなければ分からない試合だな」

結局はそういう結論に至る。

そして二人がリングに入場すると、大会が始まってから一番の歓声が巻き起こる。
そうなる事は予想していたため、アラッドは耳が殺られるまえに塞いでいた。

(……折れるなよ、レイ嬢)

アラッドの中では、三対七でレイの方が不利だと予想。

それでも、勝利するには大前提として、闘争心が折れてはいけない。

「良い試合をしましょう」

「はい」

リングの上では、フローレンスが前の試合と同じ言葉を対戦選手に伝え、レイは変わらない表情で答える。

明らかに上から目線の言葉であっても、それが今の立場なのだと認識している。
だからこそ……全力で潰しにいくのみ。

「それでは……始め!!!!」

審判が試合開始の合図を行う。
その瞬間……レイだけではなく、フローレンスも勢い良く駆け出した。

一回戦や二回戦までとは違う攻め方。

(フローレンスも、レイ嬢は嘗めて戦ってたら、自分がやられるって解ってるみたいだな)

そんなフローレンスの攻めに、レイは全く驚かずに対処。
手数では細剣を使うフローレンスの方が多いが、そこは持ち前の身体能力と、鍛えた防御技術でカバー。

「これって、カルロストさんがレイを敵として認めてる……ってことなのかな」

「だと思うぞ。少なくとも、今まで試合してきた相手と同じ様に、相手の戦いに合わせるような戦闘スタイルを行えば、ヤバいって思ったんだろうな」

アラッドたちの考えは的中しており、フローレンスは体の直ぐ近くで空を切るレイの斬撃に、今までの対戦相手には感じてこなかった圧を感じ取っていた。

(以前手合わせしたことがありましたが、技術も身体能力もあの頃と比べて、本当に伸びていますわね)

レイの成長に感心しながらも……圧倒的なパワーに潰されずに対応する、連覇を狙う女王。
お互いに隙と言える隙を見せず、数分間の攻防が続いた。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る

丸三(まるぞう)
ファンタジー
中世近世史を研究する大学講師だった男は、過労の末に倒れ、戦国時代へと転生する。 目覚めた先は、近江・長浜城。 自らの父は、豊臣秀吉の弟にして政権の屋台骨――豊臣秀長。 史実では若くして病没し、豊臣政権はやがて崩れ、徳川の時代が訪れる。 そして日本は鎖国へと向かい、発展の機会を失う。 「この未来だけは、変える」 冷静で現実主義の転生者は、武ではなく制度と経済で歴史を動かすことを選ぶ。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川を排し、戦国を“戦”ではなく“国家設計”で終わらせるために。 これは、剣ではなく政で天下を取る男の物語。 「民が富めば国は栄え、国が栄えれば戦は不要となる」 豊臣政権完成を目指す、戦国転生・内政英雄譚。 ※小説家になろうにも投稿しています。

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。

【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。

凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」 「それは良いですわね、勇者様!」 勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。 隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。 毎日の暴行。 さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。 最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。 今までの行いを、後悔させてあげる--

私、実はマンドラゴラです! 仲間が根絶やしにされかかってたので守ってあげることにしました! 街でポーション屋を開きつつ、ついでに魔王軍も撃退

あなたのはレヴィオサー
ファンタジー
【一行あらすじ】  擬人化マンドラゴラの女の子主人公が仲間たちを守るために街でポーション屋を開きつつ魔王軍を追っ払う話。 【ちゃんとしたあらすじ】  とあるポーション屋の店主、アルメリア・リーフレットの正体は"擬人化"したマンドラゴラである。魔物について、とりわけ強い魔力を持つ個体は、成長に伴って人の姿へ近づく——そんな現象が古くより報告されてきた。スライムからドラゴンまで前例は様々あるが、アルメリアはなんとその希少すぎるマンドラゴラ版。森で人間の少女として拾われ、育てられた彼女はある日ふと思う。——もしかしてこの広い世界のどこかに、自分と同じような存在がいるのではないか? そうと確信し、旅に出る。やがて通常のマンドラゴラたちがひっそりと暮らす集落にたどり着くが……。そこではちょうど彼らを巡って、魔王軍と冒険者たちが衝突しているところだった。このままではいずれ、自分たちは根絶やしにされてしまうだろう。シクシクと泣いている彼らをまえに、見捨てて立ち去るわけにもいかず。アルメリアは深いため息とともに覚悟を決めた。 「……はぁ、わかりました。そういうことでしたら」

処理中です...