スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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三百九十話 曖昧が一番不安

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マジットとの食事を楽しんだアラッド。

「……もう少し寝よう」

翌日、少々呑み過ぎたカクテルの影響で、珍しく二度寝。

ギリギリ昼前には目を覚まし、墓荒しの黒幕を探し始めた。

(はぁ~~、大分良くなったが……昨日、どれだけ呑んだかよく覚えてないな)

カクテルを十杯ほど呑んだ記憶はある。
しかし、それ以降……もう何杯吞んだかは覚えていない。
思い出そうとしても思い出せなかった。

(宿には、自分で帰った記憶はある。マジットさんに失礼なことは……うん、とりあえずした記憶はない)

やや不安を覚える記憶。

若干の焦りを覚えるアラッドだが、実際には特に粗相はしておらず、マジットに〇ロをぶちまけてしまうなどの迷惑は掛けていなかった。

ただ、短くも濃い学園生活を楽しげな表情で話し続けた。

(……大丈夫だ。何も粗相はしてない。今日もいつも通り堂々と動こう)

結果的に呑み相手に迷惑を掛けなかったが、今後は少し呑む量を自重しようと決めた。

「まさか、このモンスターがここにいるとはな!!」

アジトらしき場所を探し始めてから数時間後、未だにそれらしき場所は発見出来ていないが、一体の珍しいモンスターに遭遇。

そのモンスターとは……巨大な体を持つ牛人間、ミノタウロス。

ランクはBと、アラッドが狂化を発現する切っ掛けとなった相手、トロル亜種や先日クロが戦闘欲を満たすために戦ったケルピー亜種と同じランク。

当然ながら、その戦闘力はずば抜けている。
技術や戦術面では人に及ばないが、それらの策を潰すパワーとスピードを有している。

「クロ、今回は俺が戦っても良いか?」

「ブボォォォアアアアアアアアッ!!!!!!」

返事を貰う前に、ミノタウロスはダッシュで近づき、戦斧を思いっきり振り下ろす。

「ワゥ!」

威力はとてつもないが、それでも直線的で動きが読みやすい攻撃を躱すのは、決して難しくない。

そして戦斧による一撃を躱した直後、クロは先日自分がケルピー亜種と戦ったことを覚えているため、今回は潔く主人に譲った。

「ありがとなっ!!!!!」

相棒に感謝の言葉を送りながら、狂化意外の身体強化スキルを同時に発動し、自慢の相剣を抜いた。

(久しぶりに、楽しませてもらおうか!!!!)

傲慢な考えではあるが、実戦を楽しむために狂化の使用を禁じ、その他のスキルと武器だけで戦いに挑む。

「ぬっ!!??」

「ブモッア!?」

アラッドは刃に旋風を纏い、ミノタウロスは刃に暗黒を纏う。

二つの刃がぶつかった結果……ややアラッドが押されてしまった。

(あの戦斧、やっぱりただの戦斧じゃないな)

なるべく戦斧との接触を避けながら戦い、鑑定で詳細を確認。

(ランクは四、か……倒した冒険者から拾ったのか? 闇の攻撃魔法まで使える効果が付与された魔戦斧……ぱっと見、数か月か半年……一年も使い続けたようには見えないな)

戦斧の扱いだけに関しては、それなりの技量を持つミノタウロス。

だからといって、数か月も同じ武器で戦い続けていれば、武器からある程度血の匂いが漂う。
リンが造った武器を実戦で試していたこともあり、そういった匂いには少々敏感になっていた。

(ん~~~~……まっ!! 別に今は気にしなくても良いか!!)

色々な考えが頭の中に浮かんだが、それは今考えることではない。

ただ目の前の、自分の実力を試せる相手に集中する。
クロという絶対的に信頼出来る仲間がいるからこそ、アラッドは本気で眼前のミノタウロスに意識を集中させた。

「ッ! ブァアアアアアアッ!!!!」

扇状に向けられていた戦意、闘志、殺気が一点に集中。

対峙しているミノタウロスからすれば、その圧が一つの武器に感じるも……牛鬼の咆哮も負けてない。
互いに戦闘に対するエネルギーをぶつけ合い、獲物を叩きこむことに全集中。

今ここに、誰にも邪魔できない空間が生まれた。
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