486 / 1,361
四百八十六話 底を見せない奇襲
しおりを挟む
(ふ~~~ん……僕にそういう視線を向けてくれるんだ。非常に光栄だけど、そうくるなら……様子見なんてしてる余裕はなさそうだね)
まだ対戦相手の正確な実力は解らない。
しかし、このトーナメントの参加者に選ばれるだけの実力がある。
少なくとも……自分はアラッドの様にわざわざ相手の土俵に上がれるほどの実力はない。
それを何度も心の中で呟き、戦意を整える。
「二人とも、あまりエキサイトし過ぎないように…………始めっ!!!!!」
「「ぅぉおおおおおああああああああああっ!!!!!」」
両者とも強化系のスキルを使用。
加えて、武器には火を……雷を纏い、事前に考えていた通り、最初からフルスロットル。
『こ、これは!! 先程の試合とは違い、両者様子見は一切無く、最初から全力のぶつかり合い、ガチバトルが展開された!!!!!』
起承転結がある試合を観客たちは好む。
最初から全力を出さない試合はつまらない?
それはそれで見応えがあるからこそ盛り上がるのだ。
だが……選手が最初からアクセル全開、フルスロットルでぶつかり合う、熱過ぎる戦いが嫌いなわけではない。
それはそれで好物であるため、観客たちは大盛り上がり。
(くっ!!! 私の連続の突きを、こうもあっさり、躱すとはっ!!)
(アラッドの拳打よりは速くない!! でも、このリーチの差は、少し厄介だね!!!)
レイピア使いは突きだけにステータスを振っている訳ではなく、突きに集中し過ぎて体勢が崩れ、大きな隙を生むことはない。
加えて、使用しているレイピアによる突きは確かに恐ろしい。
しかし……完全に突きという技に特化したレイピアではない為、下手に突っ込めば手痛いカウンターを受けてしまう。
(何とか、リスクなしで懐に入りたいところだけど……いや、ここで、下手に底力を見せるのは、良くないね)
この時、スティームは既に次の試合について考えていた。
それはこの戦いに全てを捧げようとしているレイピア使いからすれば侮辱に近く、客観的に見ても油断に繋がる感情。
だが、スティームは一つの手があったからこそ、真剣に次を考えていた。
(となれ、ば!!! この人の呼吸を、リズムを見極めないとね!!!!!)
下手に表情に心が現れれば、考えが読まれる可能性がある。
その可能性を考慮し、出来る限り表情を変えず、いかにもフルスロットルで動き続け、そのまま倒すという表情を貫く。
(………………今、ここ、この距離!!!!!!)
リズム、タイミング、呼吸……全てを把握した瞬間、スティームは双剣の片方を投げた。
「ッ!!!???」
突然の投擲攻撃に驚愕の表情を浮かべるも、咄嗟の判断でレイピアを盾にして直撃を回避。
「なっ!!!???」
当然、一投だけで終わる訳がなく、レイピア使いの男がやや体勢を崩すと、即座に二投目が放たれた。
この一撃に関しても何とか無理矢理体を捻って回避。
その反射速度は流石と言えるものだったが……飛んできた凶器を避けるだけにとどまり、次の動きへの準備がまるでできていなかった。
「ふんっ!!!! ぜぇあああああッ!!!!!」
体勢が崩れた瞬間、一気に懐へと侵入し、アラッド直伝の徒手格闘を繰り出し、一瞬で形勢逆転。
蹴りが、拳がレイピア使いの体にめり込み、響く。
「ぬっ、ああああああっ!!!!」
形勢が逆転されたにも関わらず、体勢が完全に崩れて倒れることを拒否し、意地でも落とさなかったレイピアを振るう。
決して折れない、倒れない不屈の闘志。
しかし、この時ばかりはその姿勢は悪手だった。
スティームはアラッドから徒手格闘について教わったが、まだ逃げる相手……転がる相手への追撃方法までは教わっておらず、主に教わった内容は立っている相手への攻撃方法。
完全に立っているとは言い難い体勢ではあるものの、十分過ぎる的であることに変わりはなかった。
「がっ!!??」
少々体勢を崩しながらの右フックが肩に命中し、遂に倒れてしまったレイピ使い。
ここで空いている手で地面を押して回避……という手段取れればギリギリ回避出来たかもしれないが、実戦時の思考はそう簡単に即座に成果へと辿り着かない。
「ぉっ、あ……っ!!!???」
倒れた相手への攻撃方法はまだ教わっていない。
そして……スティームはアラッドではないので、その競技は知らない。
それでも、倒れ伏した相手への攻撃手段として、誰しもが真っ先に思い付く攻撃方法があった。
スティームが止めの攻撃として放った攻撃は……サッカーボールキック。
「そこまで!! 勝者、スティーム!!!!!!」
双剣をぶん投げ、スティームが徒手格闘に戦闘スタイルを変えてからあっという間に決着がついた。
それまでの間、観客たちはまさかの行動に息を飲んで固まっていた。
「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」」」」」」」」」」
当然ながら、盛り上がらない訳がない。
多くの観客たちには、スティームが己武器を捨てて虚を突き、五体一つで突っ込まなければ勝てない。
そんな最後の最後まで熱いバトルだった褒め称える。
ただ……実際は観客たちが思っている様な内容ではなかった。
まだ対戦相手の正確な実力は解らない。
しかし、このトーナメントの参加者に選ばれるだけの実力がある。
少なくとも……自分はアラッドの様にわざわざ相手の土俵に上がれるほどの実力はない。
それを何度も心の中で呟き、戦意を整える。
「二人とも、あまりエキサイトし過ぎないように…………始めっ!!!!!」
「「ぅぉおおおおおああああああああああっ!!!!!」」
両者とも強化系のスキルを使用。
加えて、武器には火を……雷を纏い、事前に考えていた通り、最初からフルスロットル。
『こ、これは!! 先程の試合とは違い、両者様子見は一切無く、最初から全力のぶつかり合い、ガチバトルが展開された!!!!!』
起承転結がある試合を観客たちは好む。
最初から全力を出さない試合はつまらない?
それはそれで見応えがあるからこそ盛り上がるのだ。
だが……選手が最初からアクセル全開、フルスロットルでぶつかり合う、熱過ぎる戦いが嫌いなわけではない。
それはそれで好物であるため、観客たちは大盛り上がり。
(くっ!!! 私の連続の突きを、こうもあっさり、躱すとはっ!!)
(アラッドの拳打よりは速くない!! でも、このリーチの差は、少し厄介だね!!!)
レイピア使いは突きだけにステータスを振っている訳ではなく、突きに集中し過ぎて体勢が崩れ、大きな隙を生むことはない。
加えて、使用しているレイピアによる突きは確かに恐ろしい。
しかし……完全に突きという技に特化したレイピアではない為、下手に突っ込めば手痛いカウンターを受けてしまう。
(何とか、リスクなしで懐に入りたいところだけど……いや、ここで、下手に底力を見せるのは、良くないね)
この時、スティームは既に次の試合について考えていた。
それはこの戦いに全てを捧げようとしているレイピア使いからすれば侮辱に近く、客観的に見ても油断に繋がる感情。
だが、スティームは一つの手があったからこそ、真剣に次を考えていた。
(となれ、ば!!! この人の呼吸を、リズムを見極めないとね!!!!!)
下手に表情に心が現れれば、考えが読まれる可能性がある。
その可能性を考慮し、出来る限り表情を変えず、いかにもフルスロットルで動き続け、そのまま倒すという表情を貫く。
(………………今、ここ、この距離!!!!!!)
リズム、タイミング、呼吸……全てを把握した瞬間、スティームは双剣の片方を投げた。
「ッ!!!???」
突然の投擲攻撃に驚愕の表情を浮かべるも、咄嗟の判断でレイピアを盾にして直撃を回避。
「なっ!!!???」
当然、一投だけで終わる訳がなく、レイピア使いの男がやや体勢を崩すと、即座に二投目が放たれた。
この一撃に関しても何とか無理矢理体を捻って回避。
その反射速度は流石と言えるものだったが……飛んできた凶器を避けるだけにとどまり、次の動きへの準備がまるでできていなかった。
「ふんっ!!!! ぜぇあああああッ!!!!!」
体勢が崩れた瞬間、一気に懐へと侵入し、アラッド直伝の徒手格闘を繰り出し、一瞬で形勢逆転。
蹴りが、拳がレイピア使いの体にめり込み、響く。
「ぬっ、ああああああっ!!!!」
形勢が逆転されたにも関わらず、体勢が完全に崩れて倒れることを拒否し、意地でも落とさなかったレイピアを振るう。
決して折れない、倒れない不屈の闘志。
しかし、この時ばかりはその姿勢は悪手だった。
スティームはアラッドから徒手格闘について教わったが、まだ逃げる相手……転がる相手への追撃方法までは教わっておらず、主に教わった内容は立っている相手への攻撃方法。
完全に立っているとは言い難い体勢ではあるものの、十分過ぎる的であることに変わりはなかった。
「がっ!!??」
少々体勢を崩しながらの右フックが肩に命中し、遂に倒れてしまったレイピ使い。
ここで空いている手で地面を押して回避……という手段取れればギリギリ回避出来たかもしれないが、実戦時の思考はそう簡単に即座に成果へと辿り着かない。
「ぉっ、あ……っ!!!???」
倒れた相手への攻撃方法はまだ教わっていない。
そして……スティームはアラッドではないので、その競技は知らない。
それでも、倒れ伏した相手への攻撃手段として、誰しもが真っ先に思い付く攻撃方法があった。
スティームが止めの攻撃として放った攻撃は……サッカーボールキック。
「そこまで!! 勝者、スティーム!!!!!!」
双剣をぶん投げ、スティームが徒手格闘に戦闘スタイルを変えてからあっという間に決着がついた。
それまでの間、観客たちはまさかの行動に息を飲んで固まっていた。
「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」」」」」」」」」」
当然ながら、盛り上がらない訳がない。
多くの観客たちには、スティームが己武器を捨てて虚を突き、五体一つで突っ込まなければ勝てない。
そんな最後の最後まで熱いバトルだった褒め称える。
ただ……実際は観客たちが思っている様な内容ではなかった。
269
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。
凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」
「それは良いですわね、勇者様!」
勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。
隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。
毎日の暴行。
さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。
最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。
今までの行いを、後悔させてあげる--
ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る
丸三(まるぞう)
ファンタジー
中世近世史を研究する大学講師だった男は、過労の末に倒れ、戦国時代へと転生する。
目覚めた先は、近江・長浜城。
自らの父は、豊臣秀吉の弟にして政権の屋台骨――豊臣秀長。
史実では若くして病没し、豊臣政権はやがて崩れ、徳川の時代が訪れる。
そして日本は鎖国へと向かい、発展の機会を失う。
「この未来だけは、変える」
冷静で現実主義の転生者は、武ではなく制度と経済で歴史を動かすことを選ぶ。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川を排し、戦国を“戦”ではなく“国家設計”で終わらせるために。
これは、剣ではなく政で天下を取る男の物語。
「民が富めば国は栄え、国が栄えれば戦は不要となる」 豊臣政権完成を目指す、戦国転生・内政英雄譚。
※小説家になろうにも投稿しています。
エクセプション
黒蓮
ファンタジー
血筋と才能に縛られた世界で【速度】という、それ単体では役に立たないと言われている〈その他〉に分類される才能を授かったダリア。その才能を伯爵位の貴族である両親は恥ずべき事とし、ダリアの弟が才能を授かったと同時に彼を捨てた。それはダリアが11歳の事だった。
雨の中打ちひしがれて佇んでいたダリアはある師に拾われる。自分を拾った師の最初の言葉は『生きたいか、死にたいか選べ』という言葉だった。それまでの人生を振り返ったダリアの選択肢は生きて復讐したいということだった。彼の選択を受け入れた師は彼にあらゆることを教えていく。
やがて師の元を離れる際にダリアはある紙を受け取り、それと同時に再度の選択肢を投げ掛けられる。彼が選ぶ復讐とは・・・彼が世界に及ぼす影響とは・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる