スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
518 / 1,355

五百十七話 今回は、違う

しおりを挟む
「スティーム、少しの間回復に専念しといてくれ」

「……解った」

どういった目的で自分たちの目の前に現れたのか解らない。
尋ねたところで、雷獣は人の言葉を話せないので、どちらにせよ答えは知りえない。

「…………」

無言のまま、雷獣はニヤッと笑みを浮かべた。

(来る!!!!)

アラッドは即座に狂化を発動し、渦雷を抜剣。

雷獣の爪撃を防御、受け流すのではなく、全力で回避。

(この……なんて速さだっ!!!!)

タイプが違うため当然と言えば当然だが、ドラゴンゾンビよりもスピードは上。
アラッドも速さには自信があるが、今は攻防に興じるのは得策ではないと判断し、渦雷の性能を利用してスピードアップ。

「ガルルゥアアアアッ!!!!!」

「キィィィィアアアアアッ!!!!!」

クロとファルもそれぞれ後退しているスティームの位置を気遣いながら、敵の意識がスティームやアラッドだけに向かない様に動く。

「ジェェエエエアアアアッ!!!!」

三対一という状況でありながら、雷獣はアラッドが戦闘中に浮かべる笑みと同じ笑みを浮かべ、嬉々とした表情で激闘に興じる。

(こんの獣、イカれてるだろッ!!)

モンスターもお前には言われたくないと返したくなる。

とはいえ、やはり超年齢不相応な戦闘力を持つ冒険者とBランク、Aランクのモンスターが囲んで戦えば、いずれかの攻撃は当たる。

しかしその身軽さと反応速度の速さから、アラッドたちが放つ攻撃はどれもクリーンヒットならず。

「ガルルルルルウウゥ……」

そんな中……クロは冷静に体感した雷獣の情報を整理。
そしてなんと、同じ笑みを浮かべた。

「ッ……キィエエエエエエエエエエッ!!!!!」

超強敵を相手に、最近仲間と言える存在になった……自分より何歩も先に進んでいる者が、不敵な笑みを浮かべた。

ここで遠距離だけの攻撃に徹してるようでは、いつまでたっても追いつくことは出来ない。
強い危機感を感じたファルは咆哮を上げ、強い覚悟を持って接近。

(ったくお前ら……頼もし過ぎるだろ!!!!)

雷獣の総合的な戦闘力の高さに驚いている自分とは違い、相棒は自分が本気で攻めても問題無さそうな相手の登場に歓喜。

相棒の友人となりつつある仲間も闘志も燃やし、得意分野ではない接近戦へ自ら身を投じた。

そんな頼もしい仲間たちの様子を見せられては……色々と飛び火するというもの。

(ちょっとだけ、修正しないとな!!)

予想に反してファルが直接翼や爪を使って攻撃し始めたため、全力でぶった斬りたち気持ちを抑え、雷獣がしたい動きをさせないという……されて嫌であろう攻撃を全力で行う。

(あれか、この前俺と戦ったスティームと同じぐらい、集中してるって事か!!??)

Aランクモンスターであるクロが本気を出すとなると……そう簡単に避けられない攻撃がどんどん飛んでくる。

にも拘わらず、そこそこ大きいダメージはクロが二回、アラッドが二回、ファルが一度。
それだけでも雷獣の体力をそれなりに削れて入るが、パフォーマンスは落ちるどころか寧ろ向上している。

アラッドも渦雷の効果で頑張って止まらず走り続けている為、スピードだけはずっと上昇中ではあるが、中々遠距離攻撃で完全に雷獣の動きを止められない。

(ッ、戻ってこれたか)

まだ狂化には余裕があり、自身の狂気をコントロール出来ている。
しかしこの戦いは……早く終わらせることが出来るに越したことはない。

(とはいえ、スティームが参加出来る時間は、もって五秒……はダメだな!! 三秒から四秒だ!!!)

なんとなく……今日は自分が主役ではない。
そんな予感があった。

主役待つものではなく奪うもの?
確かにそういった考えは間違ってはおらず、アラッドも同意する部分はある。

しかし……その主役が自分の友人ともなれば、同時に輝く瞬間が見てみたいとも思うってしまう。

とはいえ、今完全に自身の攻撃に集中しているクロとファルはスティームの復活に気付いておらず、雷獣ももう一人いた人間が割って入ってこれるとは持っておらず、一人と二体に意識を割いていた。

(道は、俺がつくれば、良いッ!!!!!!!)

クロとファルが重ならない……ほんの数瞬の隙間を縫い、上段から思いっきり渦雷を振り下ろした。

「ぬぅううんんんッ!!!!!!」

「ッ!!!!!」

放たれた斬撃刃は……風雷の一閃。
雷だけであればまだしも、あれを食らってはならないと本能が告げた。

その結果、再度から迫るファルの爪撃を躱しながら包囲網から脱出。

二体の隙間縫う攻撃とは、言い換えれば避けようがないタイミングでの攻撃であったにもかかわらず、雷獣の集中力がほぼ不可能という現実を打ち破り、追撃すら体を捻って回避。

そこまでは良かった。
予見、反応、回避技術、全てが最高に重なり合った回避……だが、どれだけ反応が早くて動きが読めていたとしても、動けない瞬間というものがある。

「疾ッ!!!!!!!!」

チャンピオンクラスのプロボクサーがその攻撃を食らう前提でリングに上がる攻撃……ジャブに似た一撃が雷獣の体を斬り裂いた。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

醜悪令息レオンの婚約

オータム
ファンタジー
醜悪な外見ゆえに誰からも恐れられ、避けられてきたレオン。 ある日、彼は自分が前世で遊んでいたシミュレーションRPGの世界に転生しており、 しかも“破滅が確定している悪役令嬢の弟”として生きていることに気付く。 このままでは、姉が理不尽な運命に呑まれてしまう。 怪しまれ、言葉を信じてもらえなくとも、レオンはただ一人、未来を変えるために立ち上がる――。 ※「小説家になろう」「カクヨム」にも投稿しています。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」 帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。 さて。 「とりあえず──妹と家族は救わないと」 あと金持ちになって、ニート三昧だな。 こっちは地球と環境が違いすぎるし。 やりたい事が多いな。 「さ、お別れの時間だ」 これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。 ※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。 ※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。 ゆっくり投稿です。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

転移したらダンジョンの下層だった

Gai
ファンタジー
交通事故で死んでしまった坂崎総助は本来なら自分が生きていた世界とは別世界の一般家庭に転生できるはずだったが神側の都合により異世界にあるダンジョンの下層に飛ばされることになった。 もちろん総助を転生させる転生神は出来る限りの援助をした。 そして総助は援助を受け取るとダンジョンの下層に転移してそこからとりあえずダンジョンを冒険して地上を目指すといった物語です。

処理中です...