519 / 1,355
五百十八話 本気で驚いた
しおりを挟む
「ッ!!!」
赤雷を纏った状態で拳を放ったスティームは即座に雷獣から距離を取った。
体を大きく抉ったものの、心臓を貫いた訳ではない。
実際、まだ二人と二体の内誰か一人でも殺そうと動いたが……スティームが抉った部分から出血が止まらず、その場に倒れた。
「ッ……ふぅ、どうやら倒したみたい、だな」
最速で近づいたアラッドは雷獣の死体を即座に回収し、狂化を解除。
亜空間の中に生きてる生物は入れられないため、確実に雷獣を倒せたのだという確信を持てる。
「ナイスパンチだったな、スティーム」
「あ、ありがとう……でも、美味しいところ、貰ったって、感じだけど、ね」
「まだまだこれから、だろ」
「……そうだね」
「つか、超疲れたな……当たり前だけど、本当に強かった」
結果として、誰も大きな怪我を負うことなくAランククラスの力を手に入れた雷獣を討伐することに成功。
アラッドとスティームはぐったりと疲れており、最後までやや無理矢理テンションを上げて戦っていたファルは……今になって疲れ、恐怖が戻ったため二人と同じぐったりとした状態。
そんな中、唯一クロだけが満足気な表情を浮かべた。
「ったく、嬉しそうな顔しやがって」
「ワフゥ~~~~」
主人にモフ毛を押し付けながら嬉しげに喉を鳴らすクロ。
「本当に、Aランクのモンスターに勝ったんだね」
「そうだな。俺としてはちょっと一杯一杯だったが、それでも間違いなく俺たちはAランクモンスターに勝った」
「……ねぇ、アラッド。ドラゴンゾンビと今回戦った雷獣、どっちの方が強かった?」
「雷獣だな」
「そ、即答だね」
当然比べたくなる内容だが、アラッドの中では最初から答えは決まっていた。
「雷獣はステータス的には俺と似た様なタイプだ。素早さがメインの武器だが……反応の速さに関しては、俺より上だった」
「そう、かな。離れた場所からアラッドの戦いっぷりも見てたけど、反応の速さでは負けてなかった気がするけど」
「それはそうだろうな。向こうは一体で、こっちは二体と一体だ。意識しなければならない数が増えれば、おのずと少し反応は送れる。その状態で五、六回? それぐらいしか俺たちの攻撃はクリーンヒットしなかったんだ」
「ッ、なるほど。それを考えると……そうだね。反応速度はアラッドより上だね」
「悔しい事にな。後、攻撃力……鋭さ? その点に関しては俺とほぼ同じだ。というか、スピードに関しても本当に渦雷がなかったら危なかった…………俺もまだまだってことだな」
同世代の戦闘者たちが聞けば「お前がまだまだなら、俺たちは何なんだよ!!」とブチ切れ待ったなしであろう言葉を零すアラッド。
現に、スティームは今回の戦闘内容を振り返りながら……自分の方こそもっと頑張らなければんという闘志を燃やしていた。
「その気持ちは解らなくもないよ。でも、アラッドが今回の戦闘でそういった感想を持つのは、ちょっと予想外だったな」
「そうか? まぁ、前回ドラゴンゾンビに勝ったってのを知ってれば、そう思うか……正直な、狂化をつかった状態だったのに、雷獣の強さや迫力に驚いたんだよ」
「僕も驚いてたよ」
「だろうな。でもな、狂化を使った状態だと、割とそういう感覚がマヒするんだよ」
狂気を解放した状態という事もあり、相手がどれだけ凄いパフォーマンスを行ったとしても、だから何なんだと前のめりに攻める。
「トロールの亜種を倒した時は……そういう感覚がなかったから、一切驚かなかったんだろうな。フローレンスと戦った時は……最後の最後ぐらいだな。本気で驚いたのは」
トロールもフローレンスも戦闘力は確かに雷獣よりも下ではあるが、当時のアラッドからすれば強敵……もしくは超強敵であることに変わりはない。
そういった敵と戦った時でさえも、常時恐ろしさを感じることはなかった。
(スピード、攻撃が当たる的の大きさとか色々と条件はあるが……俺にとっては、ドラゴンゾンビよりも雷獣の方が強かった……今度は、一人で殺り合いたいな)
決してバカなのではない。
少々頭はイカれてるかもしれないが、強くなる為に……次の領域に踏み込むことを考えれば、決して間違った考えではない。
「……でも、とにもかくにも僕たちは親雷獣に勝ったんだ。それを喜ぼうよ」
「ふふ、それもそうだったな……って、スティーム!! お前、その手……」
「ん? 手? ……いだだだだだだっ!!!???」
スティームは確かに十八歳という年齢の枠では、トップレベルの実力を持っている。
未来のAランク冒険者候補であるのは間違いないのだが……それでもそれは未来の話。
アラッドの様に本格的に体術を鍛えていないスティームが赤雷を纏い、強化スキルを使用しているとはいえ、雷獣レベルのモンスターに拳をぶつければ……砕けてしまうのも致し方なし。
アドレナリンがどばどば状態だったので直ぐに痛みには気付かなかったが、アラッドにバキバキに折れて血が流れているのを指摘されたことで、急激に痛みが押し寄せた。
赤雷を纏った状態で拳を放ったスティームは即座に雷獣から距離を取った。
体を大きく抉ったものの、心臓を貫いた訳ではない。
実際、まだ二人と二体の内誰か一人でも殺そうと動いたが……スティームが抉った部分から出血が止まらず、その場に倒れた。
「ッ……ふぅ、どうやら倒したみたい、だな」
最速で近づいたアラッドは雷獣の死体を即座に回収し、狂化を解除。
亜空間の中に生きてる生物は入れられないため、確実に雷獣を倒せたのだという確信を持てる。
「ナイスパンチだったな、スティーム」
「あ、ありがとう……でも、美味しいところ、貰ったって、感じだけど、ね」
「まだまだこれから、だろ」
「……そうだね」
「つか、超疲れたな……当たり前だけど、本当に強かった」
結果として、誰も大きな怪我を負うことなくAランククラスの力を手に入れた雷獣を討伐することに成功。
アラッドとスティームはぐったりと疲れており、最後までやや無理矢理テンションを上げて戦っていたファルは……今になって疲れ、恐怖が戻ったため二人と同じぐったりとした状態。
そんな中、唯一クロだけが満足気な表情を浮かべた。
「ったく、嬉しそうな顔しやがって」
「ワフゥ~~~~」
主人にモフ毛を押し付けながら嬉しげに喉を鳴らすクロ。
「本当に、Aランクのモンスターに勝ったんだね」
「そうだな。俺としてはちょっと一杯一杯だったが、それでも間違いなく俺たちはAランクモンスターに勝った」
「……ねぇ、アラッド。ドラゴンゾンビと今回戦った雷獣、どっちの方が強かった?」
「雷獣だな」
「そ、即答だね」
当然比べたくなる内容だが、アラッドの中では最初から答えは決まっていた。
「雷獣はステータス的には俺と似た様なタイプだ。素早さがメインの武器だが……反応の速さに関しては、俺より上だった」
「そう、かな。離れた場所からアラッドの戦いっぷりも見てたけど、反応の速さでは負けてなかった気がするけど」
「それはそうだろうな。向こうは一体で、こっちは二体と一体だ。意識しなければならない数が増えれば、おのずと少し反応は送れる。その状態で五、六回? それぐらいしか俺たちの攻撃はクリーンヒットしなかったんだ」
「ッ、なるほど。それを考えると……そうだね。反応速度はアラッドより上だね」
「悔しい事にな。後、攻撃力……鋭さ? その点に関しては俺とほぼ同じだ。というか、スピードに関しても本当に渦雷がなかったら危なかった…………俺もまだまだってことだな」
同世代の戦闘者たちが聞けば「お前がまだまだなら、俺たちは何なんだよ!!」とブチ切れ待ったなしであろう言葉を零すアラッド。
現に、スティームは今回の戦闘内容を振り返りながら……自分の方こそもっと頑張らなければんという闘志を燃やしていた。
「その気持ちは解らなくもないよ。でも、アラッドが今回の戦闘でそういった感想を持つのは、ちょっと予想外だったな」
「そうか? まぁ、前回ドラゴンゾンビに勝ったってのを知ってれば、そう思うか……正直な、狂化をつかった状態だったのに、雷獣の強さや迫力に驚いたんだよ」
「僕も驚いてたよ」
「だろうな。でもな、狂化を使った状態だと、割とそういう感覚がマヒするんだよ」
狂気を解放した状態という事もあり、相手がどれだけ凄いパフォーマンスを行ったとしても、だから何なんだと前のめりに攻める。
「トロールの亜種を倒した時は……そういう感覚がなかったから、一切驚かなかったんだろうな。フローレンスと戦った時は……最後の最後ぐらいだな。本気で驚いたのは」
トロールもフローレンスも戦闘力は確かに雷獣よりも下ではあるが、当時のアラッドからすれば強敵……もしくは超強敵であることに変わりはない。
そういった敵と戦った時でさえも、常時恐ろしさを感じることはなかった。
(スピード、攻撃が当たる的の大きさとか色々と条件はあるが……俺にとっては、ドラゴンゾンビよりも雷獣の方が強かった……今度は、一人で殺り合いたいな)
決してバカなのではない。
少々頭はイカれてるかもしれないが、強くなる為に……次の領域に踏み込むことを考えれば、決して間違った考えではない。
「……でも、とにもかくにも僕たちは親雷獣に勝ったんだ。それを喜ぼうよ」
「ふふ、それもそうだったな……って、スティーム!! お前、その手……」
「ん? 手? ……いだだだだだだっ!!!???」
スティームは確かに十八歳という年齢の枠では、トップレベルの実力を持っている。
未来のAランク冒険者候補であるのは間違いないのだが……それでもそれは未来の話。
アラッドの様に本格的に体術を鍛えていないスティームが赤雷を纏い、強化スキルを使用しているとはいえ、雷獣レベルのモンスターに拳をぶつければ……砕けてしまうのも致し方なし。
アドレナリンがどばどば状態だったので直ぐに痛みには気付かなかったが、アラッドにバキバキに折れて血が流れているのを指摘されたことで、急激に痛みが押し寄せた。
231
あなたにおすすめの小説
醜悪令息レオンの婚約
オータム
ファンタジー
醜悪な外見ゆえに誰からも恐れられ、避けられてきたレオン。
ある日、彼は自分が前世で遊んでいたシミュレーションRPGの世界に転生しており、
しかも“破滅が確定している悪役令嬢の弟”として生きていることに気付く。
このままでは、姉が理不尽な運命に呑まれてしまう。
怪しまれ、言葉を信じてもらえなくとも、レオンはただ一人、未来を変えるために立ち上がる――。
※「小説家になろう」「カクヨム」にも投稿しています。
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
君だけの呼び名
章槻雅希
ファンタジー
カリーナは自分は王子様に愛されていると確信していた。だって、彼は私にだけ特別な呼び名をくれたから。
異世界のロシア語と同じような言語形態を持つ国であり、名前には友人や親戚が呼ぶ略称、家族・恋人・主君が呼ぶ愛称がある。更には隠されたもう一つの呼び名もあり、複雑な名前の言語形態はそれを有効活用されているのだった。
『小説家になろう』『アルファポリス』に重複投稿、自サイトにも掲載。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【完結】私は聖女の代用品だったらしい
雨雲レーダー
恋愛
異世界に聖女として召喚された紗月。
元の世界に帰る方法を探してくれるというリュミナス王国の王であるアレクの言葉を信じて、聖女として頑張ろうと決意するが、ある日大学の後輩でもあった天音が真の聖女として召喚されてから全てが変わりはじめ、ついには身に覚えのない罪で荒野に置き去りにされてしまう。
絶望の中で手を差し伸べたのは、隣国グランツ帝国の冷酷な皇帝マティアスだった。
「俺のものになれ」
突然の言葉に唖然とするものの、行く場所も帰る場所もない紗月はしぶしぶ着いて行くことに。
だけど帝国での生活は意外と楽しくて、マティアスもそんなにイヤなやつじゃないのかも?
捨てられた聖女と孤高の皇帝が絆を深めていく一方で、リュミナス王国では次々と異変がおこっていた。
・完結まで予約投稿済みです。
・1日3回更新(7時・12時・18時)
妹なんだから助けて? お断りします
たくわん
恋愛
美しく聡明な令嬢エリーゼ。だが、母の死後に迎えられた継母マルグリットによって、彼女の人生は一変する。実母が残した財産は継母に奪われ、華やかなドレスは義姉たちに着られ、エリーゼ自身は使用人同然の扱いを受ける。そんなある日――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる