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五百五十四話 同じ予想
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探索初日、二人は受けた討伐依頼の達成と襲い掛かって来たモンスターの討伐。
加えて果実と薬草の採集などを行うだけで、結局木竜が殺された……もしくは消えた手掛かりを見つけることは出来なかった。
「……まだ探索初日だからと言いたいところだが、事が事なだけに仕方ないとは思えないな」
「そうだね……とりあえず、次は今日進んだところまで一気に行ってみようか」
スティームはアルバース王国の国民ではないが、それでも今回の一件は貴族の令息として見過ごせない一件。
そんな仲間の心意気を察し、笑みを零すアラッド。
二人がギルドに戻ってくると、何人かの冒険者が視線を向けるも……直ぐに霧散。
アラッドとしてはそのまま霧散したままでいてほしかったが、素材の買取場面で再び視線は集中。
「これは……エルダートレントの素材ですね」
サンディラの樹海の最寄り街であることを考えれば、そこまで珍しい素材ではなく、異常事態の前触れでもない。
ただ、それを従魔を従えているとはいえ、Cランクの二人が討伐したという内容を考えれば、彼らが驚きを隠せないのも無理はない。
このタイミングで二人に絡んでくる者はおらず、比較的平穏な一日を過ごせたアラッドとスティーム。
しかし……次の日の朝。
この日も二人はサンディラの樹海を探索、木竜がいなくなった原因の調査を行おうと考えていた。
「アラッド様、スティーム様。お二人のお客様が来ています」
「? 分かりました。もう直ぐ降ります」
来客の予定はなく、ジバルを拠点とする知人友人もいない。
嫌な予感はしないが、面倒な予感がした。
(俺たちの元へ来る客……この街だと、ギルド職員ぐらいしか思い浮かばないな。以前面倒な考えを持っていた騎士は良い方向に向いてるみたいだった……もしや、ジバルの領主か?)
既に到着している客……それは店員に伝えられる前に解った。
(ッ!!!! …………誰だ、あいつは)
自身に向けて戦意を放たれている訳ではない。
それでも、椅子に腰を下ろしているエルフの存在感に……アラッドの闘志が震えた。
「あちらの方が、お二人のお客様です」
「分かりました」
アラッドは自分たちの客が普通ではないと察しながらも、その席に着いた。
「やぁ、初めまして。私の名前はハリス。クラン名、緑焔のクランマスターを務める冒険者です」
「こちらこそ、初めまして。俺の名前はアラッド・パーシブルです」
「初めまして。スティーム・バリアスティーです」
緑焔とは、ジバルを拠点として活動するクラン。
主な活動地はサンディラの樹海だが、一定レベル以上のクランは離れた街で遠征を行うことが多い。
「初対面でこんな事をお願いするのは怪しむと思うのだけど、良ければ個室で一緒に昼食を食べないかい」
「……えぇ、構いませんよ」
敵意、殺意を感じないといった点から、ハリスの頼みを承諾。
まだ自分を訪ねてきた理由は解らない。
もしかしたら先日声をかけてきたメンバーが緑焔に所属しており……その一件に関してのお話かもしれない。
そういった面倒な事情かもしれないが……アラッドはハリスがその件に関して怒りを持つような人物には思えなかった。
「好きなメニューを頼んでいいよ」
個室があるカフェに移動後、二人は言われた通り好きな様にメニューを注文。
そして……軽い雑談をすっ飛ばし、ハリスはいきなり本題に入る。
「アラッド君、そしてスティーム君。君たち二人は、木竜が殺されたと思うかい?」
「…………」
真剣でマジな質問。
アラッドは直ぐには答えず、頭の中に浮かんでいる可能性から一番疑っている内容を選び抜く。
「……俺は、消されたと思っています」
「つまり、殺されてはいないと」
「はい。前に、こんな事がありました」
闘技場の運営が選んだ優秀な戦闘者が、アラッドやスティームへの恨みを爆発させ、襲撃を実行。
結果として二人が怪我を負うことはなかったが、その青年はクスリを使用していたことが解かった。
「団体なのか、それとも他国なのか動いている存在かは解りませんが、同じ組織に所属しているが行ったと思っています」
「僕は消された、もしくは殺されたのか……半々だと思っています」
「そうか、教えてくれてありがとう。因みに、私はアラッド君と同じく、殺されたと思っている。理由はジバルを潰して更に被害を拡大……ではなくて、ただの嫌がらせだと思ってる」
「ただの嫌がらせにしては随分と大掛かりですが、自分も同じ考えです」
偶然にも、アラッドとハリスの予想は一致していた。
「木竜はドラゴンの中でも温厚な部類、攻撃されなければ殆ど自分から攻撃することはないと聞いています。それでも……ドラゴンは総じて縄張り意識があります」
「その通りだ。それは木竜であろうと変わらない。まぁ、かのドラゴンの場合は縄張りに入ってきたとしても、自身にとって害のある行動を取らなければ動かないそうですが……完全にその縄張りを荒らされ、他のモンスターたちが暴れ回っているとなれば、そうもいかないでしょう」
人と同じく、ドラゴンにとって何が逆鱗となるかは人それぞれ。
だが……数百年も生きている木竜クラスの怪物が逆鱗状態で暴れ回れば、森の一つや二つ……街の三つや四つを滅ぼすことは容易。
それだけは変わらない事実である。
加えて果実と薬草の採集などを行うだけで、結局木竜が殺された……もしくは消えた手掛かりを見つけることは出来なかった。
「……まだ探索初日だからと言いたいところだが、事が事なだけに仕方ないとは思えないな」
「そうだね……とりあえず、次は今日進んだところまで一気に行ってみようか」
スティームはアルバース王国の国民ではないが、それでも今回の一件は貴族の令息として見過ごせない一件。
そんな仲間の心意気を察し、笑みを零すアラッド。
二人がギルドに戻ってくると、何人かの冒険者が視線を向けるも……直ぐに霧散。
アラッドとしてはそのまま霧散したままでいてほしかったが、素材の買取場面で再び視線は集中。
「これは……エルダートレントの素材ですね」
サンディラの樹海の最寄り街であることを考えれば、そこまで珍しい素材ではなく、異常事態の前触れでもない。
ただ、それを従魔を従えているとはいえ、Cランクの二人が討伐したという内容を考えれば、彼らが驚きを隠せないのも無理はない。
このタイミングで二人に絡んでくる者はおらず、比較的平穏な一日を過ごせたアラッドとスティーム。
しかし……次の日の朝。
この日も二人はサンディラの樹海を探索、木竜がいなくなった原因の調査を行おうと考えていた。
「アラッド様、スティーム様。お二人のお客様が来ています」
「? 分かりました。もう直ぐ降ります」
来客の予定はなく、ジバルを拠点とする知人友人もいない。
嫌な予感はしないが、面倒な予感がした。
(俺たちの元へ来る客……この街だと、ギルド職員ぐらいしか思い浮かばないな。以前面倒な考えを持っていた騎士は良い方向に向いてるみたいだった……もしや、ジバルの領主か?)
既に到着している客……それは店員に伝えられる前に解った。
(ッ!!!! …………誰だ、あいつは)
自身に向けて戦意を放たれている訳ではない。
それでも、椅子に腰を下ろしているエルフの存在感に……アラッドの闘志が震えた。
「あちらの方が、お二人のお客様です」
「分かりました」
アラッドは自分たちの客が普通ではないと察しながらも、その席に着いた。
「やぁ、初めまして。私の名前はハリス。クラン名、緑焔のクランマスターを務める冒険者です」
「こちらこそ、初めまして。俺の名前はアラッド・パーシブルです」
「初めまして。スティーム・バリアスティーです」
緑焔とは、ジバルを拠点として活動するクラン。
主な活動地はサンディラの樹海だが、一定レベル以上のクランは離れた街で遠征を行うことが多い。
「初対面でこんな事をお願いするのは怪しむと思うのだけど、良ければ個室で一緒に昼食を食べないかい」
「……えぇ、構いませんよ」
敵意、殺意を感じないといった点から、ハリスの頼みを承諾。
まだ自分を訪ねてきた理由は解らない。
もしかしたら先日声をかけてきたメンバーが緑焔に所属しており……その一件に関してのお話かもしれない。
そういった面倒な事情かもしれないが……アラッドはハリスがその件に関して怒りを持つような人物には思えなかった。
「好きなメニューを頼んでいいよ」
個室があるカフェに移動後、二人は言われた通り好きな様にメニューを注文。
そして……軽い雑談をすっ飛ばし、ハリスはいきなり本題に入る。
「アラッド君、そしてスティーム君。君たち二人は、木竜が殺されたと思うかい?」
「…………」
真剣でマジな質問。
アラッドは直ぐには答えず、頭の中に浮かんでいる可能性から一番疑っている内容を選び抜く。
「……俺は、消されたと思っています」
「つまり、殺されてはいないと」
「はい。前に、こんな事がありました」
闘技場の運営が選んだ優秀な戦闘者が、アラッドやスティームへの恨みを爆発させ、襲撃を実行。
結果として二人が怪我を負うことはなかったが、その青年はクスリを使用していたことが解かった。
「団体なのか、それとも他国なのか動いている存在かは解りませんが、同じ組織に所属しているが行ったと思っています」
「僕は消された、もしくは殺されたのか……半々だと思っています」
「そうか、教えてくれてありがとう。因みに、私はアラッド君と同じく、殺されたと思っている。理由はジバルを潰して更に被害を拡大……ではなくて、ただの嫌がらせだと思ってる」
「ただの嫌がらせにしては随分と大掛かりですが、自分も同じ考えです」
偶然にも、アラッドとハリスの予想は一致していた。
「木竜はドラゴンの中でも温厚な部類、攻撃されなければ殆ど自分から攻撃することはないと聞いています。それでも……ドラゴンは総じて縄張り意識があります」
「その通りだ。それは木竜であろうと変わらない。まぁ、かのドラゴンの場合は縄張りに入ってきたとしても、自身にとって害のある行動を取らなければ動かないそうですが……完全にその縄張りを荒らされ、他のモンスターたちが暴れ回っているとなれば、そうもいかないでしょう」
人と同じく、ドラゴンにとって何が逆鱗となるかは人それぞれ。
だが……数百年も生きている木竜クラスの怪物が逆鱗状態で暴れ回れば、森の一つや二つ……街の三つや四つを滅ぼすことは容易。
それだけは変わらない事実である。
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