630 / 1,361
六百二十九話 形や感情は違うけど
しおりを挟む
リバディス鉱山の最寄り街に着く前の街で、アラッドはシルフィーに手紙を送った。
ただ一方的な手紙ではなく、返事を求める内容。
(アッシュは強い……センス、才能は間違いなくずば抜けてる。ただ……自分の行動でモンスターを生み出してしまうのか……そういうった事に関しては、多分鈍いんだよな)
鈍感系主人公……とはまた違う存在。
恋愛そのものに興味がない。
今のところ、どれだけ異性と関わろうとも友人止まり。
それはアッシュが意識的にそうしてるのではなく、何か……アッシュの心境に変化をもたらす程の人物でなければ、まず自分が関わってる人物はそういう存在なのだと認識すらしない。
「弟君に手紙を送ったの?」
「いや、妹の方に送った」
「もしかして、アッシュ君は手紙とかだと面倒になってあんまり細かく書かない感じ?」
「そんな事はないと思うが……鈍いところがあるからな。正確に聞くなら、妹のシルフィーの方が良い…………そのシルフィーの方が、少し心配ってのもあるけどな」
ずば抜けたメンタルと向上心を持っていると聞いていたため、二人はアラッドの言葉を聞いて思わず首を傾げる。
「何故、シルフィーさんの方が心配なんだい?」
「どうにかしてアッシュと関りを持とうと考えれば、まずシルフィーと関わるのが攻略方法としてはセオリーだろ」
「それはそうだけど…………もしかして、振られた怒りや悲しみの矛先がシルフィーさんに向くと?」
「双子の妹だから、バカみたいな疑いは持たれることはおそらくない。シルフィーにとってはアッシュもいずれ完全に越えたい存在だからな……ただ、失恋に関しての怒り? とかは振った相手か協力してくれた相手とかに向きやすいんじゃないかと思ってな」
そもそもシルフィーはアッシュに興味を持った相手に対し、誰彼構わず協力することはない。
シルフィーもアッシュは錬金術に熱中してこそアッシュだと思っている部分があり、アラッドの様に下手に異性に対して興味を持ってもらおうとは思わない。
ただ……自分の眼でしっかりと見て、この人物になら……とりあえずアッシュに関する情報を教えても構わないと思うことはある。
「……そういえば、そんな逆恨み? かなんかが原因で酒場が崩壊したって事件を聞いたことがあるかも」
「酒場が崩壊って……そこの店主にとっては、完全にとばっちりだな」
ガルーレの聞き間違いではなく、それは本当に起こった事件。
学園が崩壊するなんて事はあり得ないが……狂う、もしくは気持ちが突き抜けたバカは、場所を選ばずやらかす。
「とりあえず、俺としてはアッシュの方も心配だが、相談されてるかもしれないシルフィーの方も心配なんだよ」
「良いお兄ちゃんだね~。けどさ、アラッドの弟と妹なんだから、当然侯爵家の人間じゃん」
「そうだな。因みに二人の母親の方も立派な血統だ」
「だったら尚更、そんな人物にバカな真似をしようなんてなるの? アッシュ君とシルフィーちゃんが悪意を持って何かしたわけじゃないんでしょ。こう……掲げる正義? 正当性みたいなのが皆無じゃん」
ガルーレが何を言いたいのか解かる。
異世界人であるアラッド……英二にとっても、本当に良く解る。
ただ……冒険者という職に就いている以上、よくよく自分の人生を振り返れば、その疑問は直ぐに解ける。
「あれだよ、ガルーレ。これまでの冒険者人生の中で……命を懸けて強敵に挑んだことがあるだろ」
「何度もあるね。もしかしたら死ぬかもって思った戦いもあった」
「それと同じだ」
「……どういう事???」
「戦闘職についていない一般人からすれば、負ける可能性があるなら逃げれば良いじゃん……そう思うはずだ」
「ま、まぁ……それは確かにそうかも」
戦闘や夜の戦闘もそれなりに好きなアマゾネス。
一般常識とはやや離れた位置に存在する種族だが、他種族の常識というのも……ある程度は理解出来る。
「形というか、感情は違う。善悪とかそこら辺も違うだろう。でも、リスクを無視して己の意志を貫き通す。そういった部分は同じだ……俺も、過去に学園内で同級生から襲われたことがある」
「ま、マジ?」
「大マジだ」
「喧嘩を売られたとかじゃなくて」
「文字通り襲われた。そいつはいけないお薬を服用してた。俺との埋まらない差をそれで埋めて、俺という気に入らない異物を殺したかったんだろうな」
その生徒の親の爵位はフールより下であるため、明らかに無謀過ぎる行動。
そんな事はその生徒も解っていた筈だが……それでも止まらなかった。
「っと、そうなると学園長の方にも一応手紙を送っておいた方が良さそうだな」
貴族であってもそう簡単にパロスト学園の学園長に直接手紙を送ることは出来ないが、差出人があのアラッドであれば話は別。
実際に手紙を受け取り、全てを読んだ学園長はアラッドの気にし過ぎ……と一蹴することはなく、似た様な前例があるため真剣にそういった問題が発展しないように対策を講じた。
ただ……対策を講じたからといって、絶対に何も起こらないかどうかは……誰にも解らない。
ただ一方的な手紙ではなく、返事を求める内容。
(アッシュは強い……センス、才能は間違いなくずば抜けてる。ただ……自分の行動でモンスターを生み出してしまうのか……そういうった事に関しては、多分鈍いんだよな)
鈍感系主人公……とはまた違う存在。
恋愛そのものに興味がない。
今のところ、どれだけ異性と関わろうとも友人止まり。
それはアッシュが意識的にそうしてるのではなく、何か……アッシュの心境に変化をもたらす程の人物でなければ、まず自分が関わってる人物はそういう存在なのだと認識すらしない。
「弟君に手紙を送ったの?」
「いや、妹の方に送った」
「もしかして、アッシュ君は手紙とかだと面倒になってあんまり細かく書かない感じ?」
「そんな事はないと思うが……鈍いところがあるからな。正確に聞くなら、妹のシルフィーの方が良い…………そのシルフィーの方が、少し心配ってのもあるけどな」
ずば抜けたメンタルと向上心を持っていると聞いていたため、二人はアラッドの言葉を聞いて思わず首を傾げる。
「何故、シルフィーさんの方が心配なんだい?」
「どうにかしてアッシュと関りを持とうと考えれば、まずシルフィーと関わるのが攻略方法としてはセオリーだろ」
「それはそうだけど…………もしかして、振られた怒りや悲しみの矛先がシルフィーさんに向くと?」
「双子の妹だから、バカみたいな疑いは持たれることはおそらくない。シルフィーにとってはアッシュもいずれ完全に越えたい存在だからな……ただ、失恋に関しての怒り? とかは振った相手か協力してくれた相手とかに向きやすいんじゃないかと思ってな」
そもそもシルフィーはアッシュに興味を持った相手に対し、誰彼構わず協力することはない。
シルフィーもアッシュは錬金術に熱中してこそアッシュだと思っている部分があり、アラッドの様に下手に異性に対して興味を持ってもらおうとは思わない。
ただ……自分の眼でしっかりと見て、この人物になら……とりあえずアッシュに関する情報を教えても構わないと思うことはある。
「……そういえば、そんな逆恨み? かなんかが原因で酒場が崩壊したって事件を聞いたことがあるかも」
「酒場が崩壊って……そこの店主にとっては、完全にとばっちりだな」
ガルーレの聞き間違いではなく、それは本当に起こった事件。
学園が崩壊するなんて事はあり得ないが……狂う、もしくは気持ちが突き抜けたバカは、場所を選ばずやらかす。
「とりあえず、俺としてはアッシュの方も心配だが、相談されてるかもしれないシルフィーの方も心配なんだよ」
「良いお兄ちゃんだね~。けどさ、アラッドの弟と妹なんだから、当然侯爵家の人間じゃん」
「そうだな。因みに二人の母親の方も立派な血統だ」
「だったら尚更、そんな人物にバカな真似をしようなんてなるの? アッシュ君とシルフィーちゃんが悪意を持って何かしたわけじゃないんでしょ。こう……掲げる正義? 正当性みたいなのが皆無じゃん」
ガルーレが何を言いたいのか解かる。
異世界人であるアラッド……英二にとっても、本当に良く解る。
ただ……冒険者という職に就いている以上、よくよく自分の人生を振り返れば、その疑問は直ぐに解ける。
「あれだよ、ガルーレ。これまでの冒険者人生の中で……命を懸けて強敵に挑んだことがあるだろ」
「何度もあるね。もしかしたら死ぬかもって思った戦いもあった」
「それと同じだ」
「……どういう事???」
「戦闘職についていない一般人からすれば、負ける可能性があるなら逃げれば良いじゃん……そう思うはずだ」
「ま、まぁ……それは確かにそうかも」
戦闘や夜の戦闘もそれなりに好きなアマゾネス。
一般常識とはやや離れた位置に存在する種族だが、他種族の常識というのも……ある程度は理解出来る。
「形というか、感情は違う。善悪とかそこら辺も違うだろう。でも、リスクを無視して己の意志を貫き通す。そういった部分は同じだ……俺も、過去に学園内で同級生から襲われたことがある」
「ま、マジ?」
「大マジだ」
「喧嘩を売られたとかじゃなくて」
「文字通り襲われた。そいつはいけないお薬を服用してた。俺との埋まらない差をそれで埋めて、俺という気に入らない異物を殺したかったんだろうな」
その生徒の親の爵位はフールより下であるため、明らかに無謀過ぎる行動。
そんな事はその生徒も解っていた筈だが……それでも止まらなかった。
「っと、そうなると学園長の方にも一応手紙を送っておいた方が良さそうだな」
貴族であってもそう簡単にパロスト学園の学園長に直接手紙を送ることは出来ないが、差出人があのアラッドであれば話は別。
実際に手紙を受け取り、全てを読んだ学園長はアラッドの気にし過ぎ……と一蹴することはなく、似た様な前例があるため真剣にそういった問題が発展しないように対策を講じた。
ただ……対策を講じたからといって、絶対に何も起こらないかどうかは……誰にも解らない。
181
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。
凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」
「それは良いですわね、勇者様!」
勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。
隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。
毎日の暴行。
さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。
最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。
今までの行いを、後悔させてあげる--
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる