631 / 1,389
六百三十話 庶民から貴族に
しおりを挟む
「ようやく着いたね!!」
「そうだな」
リバディス鉱山に一番近い街……ロンバルクに到着した三人。
ロンバルクは国内でもそれなりに大きな都市ではあるが……既に色々と見ているアラッドは、別世界の転生者であっても特に驚かなかった。
「宿を取ったらどうする?」
「既に昼過ぎというのを考えると、鉱山に向かうのは明日からの方が良いと思う」
「僕も同じかな。半ダンジョン化してる場所なら、余計にしっかり休んでからの方が良いよ」
「オッケー! それなら、ささっと宿を取っちゃいましょ」
ロンバルクに関して殆ど知識がない三人。
ギルドで宿に関する情報を尋ねれば直ぐに教えてくれるが……アラッドが面倒という理由でギルドに訪れず、散策も兼ねて適当に宿を探し始めた。
「…………なぁ、スティーム。この宿、良さそうじゃないか?」
「ん~~~……そうだね。悪くないかも」
「ちょ、ちょっと待って!」
「ん? どうした、ガルーレ」
アラッドが指さした宿とは、スティームの言う通り……一先ず外見は悪くなく、宿の中に入っている客室的にも問題がある用には思えない。
入り口に警備を担当している人物たちが居るのも高評価。
従魔用のスペースもある。
本当に文句なしの宿屋。
だが……ガルーレがストップをかけたのは、そこが理由ではない。
「いや、あのさ……どう見ても、高いよね」
「あぁ……そりゃそれなりの宿泊代になるだろうな。もしかして、あんまり貯金がないのか?」
「そういう訳じゃないんだけど、ちょっと……腰が引けるというか」
「大丈夫だ、直ぐに慣れる。もしピンチなら、宿泊代ぐらい俺が代わりに払う」
「えっ、あちょ!!!」
ガルーレがもう一度止める前にアラッドは中に入り、従業員に三部屋空いてるか問うた。
「はい、勿論空いております……お部屋は、本当に一人一部屋でよろしかったでしょうか?」
「それでお願いします」
二人部屋、三人部屋もあるが、アラッドは悩むことなく一人一部屋を選択。
結婚前の男女が同じ部屋に泊るのはよろしくない……なんてアホみたいな考えは持っていないが、単純にその方が良いと思っての判断。
値段を聞いたガルーレは少し呻くが、やっぱり別の宿に、と言えずにそのまま一人部屋に入り……速攻でアラッドの部屋の扉をノック。
「どうした、ガルーレ? 着いたばかりなんだし、少し部屋でくつろいでから散策しても良いと思うが」
「いや、あのさ、やっぱりこう……お、落ち着かないんだけど」
「何が………………あぁ、そういう事か」
アラッドは……前世、工藤英二は一般庶民。
転生した自身の部屋を見た時、色々と衝撃を受けた。
そして慣れるまでの間、今のガルーレの様に落ち着かない日々を過ごした。
だが、そんな家でずっと過ごしていれば、いずれ慣れる。
自分には似合わないなと思いつつも……前世が一般庶民であったとしても、今世は侯爵家のであるという事実は変わらない。
「大丈夫だって。寝る時は目を閉じてるんだから関係無いって」
「そういう問題じゃないって!」
「いや、そういう問題と思うぞ。なんなら、実際に寝てみたらどうだ」
一応……一応、アラッドに言われた通り、ベッドに横になってみた。
(あ…………凄い、寝れ……る)
それなりに良い宿ということもあり、ベッドはそこら辺の物とは質が……格が違う。
快眠の効果が付与されており、翌日には殆どの疲れを消し去ってしまう。
これまでガルーレは多くのベッドで寝てきたが……寝る前にキッチリ疲れてるということもあり、あまりそこまで室などは気にならなかった。
だが……改めて、質の高いベッドだと認識しながら横になってみると……その高品質さが体に染みわたる。
「どうだ? 眼を閉じてしまえば、あまり周囲のあれこれは気にならなくなるだろ…………おい、ガルーレ?」
「すぅーーー…………すぅーーー…………」
「おい…………嘘だろ。ギャグ漫画かよ」
思わず、この世界では誰も解らないツッコミを零してしまったアラッド。
しかし……驚くことに、ガルーレは本当に一瞬のうちに夢の中に旅立ってしまった。
「ガルーレ、起きろ。今寝たら、夜に寝れなくなって明日の探索に支障が出るぞ」
「っ…………ねぇ、アラッド……えっ、ヤバくない」
「解る。かなり昔の感覚ではあるけど、同じヤバさを感じたのはハッキリと覚えてる」
ガルーレが夢から戻って来たところで、スティームと合流して夕食の時間になるまで散策の続きを開始。
「ねぇ、二人は……家から出る時、実家からお金を貰った感じなの?」
貰っていたとしても、そうなんだねという感覚で終わる。
貴族であれば、寧ろそれが当然かもしれないという理解は持っている。
「多少はね」
「俺は自分で稼いでた分があったからな」
「自分で稼いでた?」
「あぁ、そうだよ。俺、キャバリオンっていうマジックアイテム? を錬金術で造ってたんだ。だから、自分の金は冒険者になる前からそれなりに持ってたんだよ」
「キャバリオン? って言うか、アラッドって錬金術まで出来るのね。それで、どれぐらい稼いでたの?」
「……内緒」
「えぇ~~~、良いじゃん。教えてよ~~~」
教えても構わないのだが、大っぴらに教えることでもない。
ただ…………稼いだ額を聞けば、ひっくり返ってしまうのは間違いなかった。
「そうだな」
リバディス鉱山に一番近い街……ロンバルクに到着した三人。
ロンバルクは国内でもそれなりに大きな都市ではあるが……既に色々と見ているアラッドは、別世界の転生者であっても特に驚かなかった。
「宿を取ったらどうする?」
「既に昼過ぎというのを考えると、鉱山に向かうのは明日からの方が良いと思う」
「僕も同じかな。半ダンジョン化してる場所なら、余計にしっかり休んでからの方が良いよ」
「オッケー! それなら、ささっと宿を取っちゃいましょ」
ロンバルクに関して殆ど知識がない三人。
ギルドで宿に関する情報を尋ねれば直ぐに教えてくれるが……アラッドが面倒という理由でギルドに訪れず、散策も兼ねて適当に宿を探し始めた。
「…………なぁ、スティーム。この宿、良さそうじゃないか?」
「ん~~~……そうだね。悪くないかも」
「ちょ、ちょっと待って!」
「ん? どうした、ガルーレ」
アラッドが指さした宿とは、スティームの言う通り……一先ず外見は悪くなく、宿の中に入っている客室的にも問題がある用には思えない。
入り口に警備を担当している人物たちが居るのも高評価。
従魔用のスペースもある。
本当に文句なしの宿屋。
だが……ガルーレがストップをかけたのは、そこが理由ではない。
「いや、あのさ……どう見ても、高いよね」
「あぁ……そりゃそれなりの宿泊代になるだろうな。もしかして、あんまり貯金がないのか?」
「そういう訳じゃないんだけど、ちょっと……腰が引けるというか」
「大丈夫だ、直ぐに慣れる。もしピンチなら、宿泊代ぐらい俺が代わりに払う」
「えっ、あちょ!!!」
ガルーレがもう一度止める前にアラッドは中に入り、従業員に三部屋空いてるか問うた。
「はい、勿論空いております……お部屋は、本当に一人一部屋でよろしかったでしょうか?」
「それでお願いします」
二人部屋、三人部屋もあるが、アラッドは悩むことなく一人一部屋を選択。
結婚前の男女が同じ部屋に泊るのはよろしくない……なんてアホみたいな考えは持っていないが、単純にその方が良いと思っての判断。
値段を聞いたガルーレは少し呻くが、やっぱり別の宿に、と言えずにそのまま一人部屋に入り……速攻でアラッドの部屋の扉をノック。
「どうした、ガルーレ? 着いたばかりなんだし、少し部屋でくつろいでから散策しても良いと思うが」
「いや、あのさ、やっぱりこう……お、落ち着かないんだけど」
「何が………………あぁ、そういう事か」
アラッドは……前世、工藤英二は一般庶民。
転生した自身の部屋を見た時、色々と衝撃を受けた。
そして慣れるまでの間、今のガルーレの様に落ち着かない日々を過ごした。
だが、そんな家でずっと過ごしていれば、いずれ慣れる。
自分には似合わないなと思いつつも……前世が一般庶民であったとしても、今世は侯爵家のであるという事実は変わらない。
「大丈夫だって。寝る時は目を閉じてるんだから関係無いって」
「そういう問題じゃないって!」
「いや、そういう問題と思うぞ。なんなら、実際に寝てみたらどうだ」
一応……一応、アラッドに言われた通り、ベッドに横になってみた。
(あ…………凄い、寝れ……る)
それなりに良い宿ということもあり、ベッドはそこら辺の物とは質が……格が違う。
快眠の効果が付与されており、翌日には殆どの疲れを消し去ってしまう。
これまでガルーレは多くのベッドで寝てきたが……寝る前にキッチリ疲れてるということもあり、あまりそこまで室などは気にならなかった。
だが……改めて、質の高いベッドだと認識しながら横になってみると……その高品質さが体に染みわたる。
「どうだ? 眼を閉じてしまえば、あまり周囲のあれこれは気にならなくなるだろ…………おい、ガルーレ?」
「すぅーーー…………すぅーーー…………」
「おい…………嘘だろ。ギャグ漫画かよ」
思わず、この世界では誰も解らないツッコミを零してしまったアラッド。
しかし……驚くことに、ガルーレは本当に一瞬のうちに夢の中に旅立ってしまった。
「ガルーレ、起きろ。今寝たら、夜に寝れなくなって明日の探索に支障が出るぞ」
「っ…………ねぇ、アラッド……えっ、ヤバくない」
「解る。かなり昔の感覚ではあるけど、同じヤバさを感じたのはハッキリと覚えてる」
ガルーレが夢から戻って来たところで、スティームと合流して夕食の時間になるまで散策の続きを開始。
「ねぇ、二人は……家から出る時、実家からお金を貰った感じなの?」
貰っていたとしても、そうなんだねという感覚で終わる。
貴族であれば、寧ろそれが当然かもしれないという理解は持っている。
「多少はね」
「俺は自分で稼いでた分があったからな」
「自分で稼いでた?」
「あぁ、そうだよ。俺、キャバリオンっていうマジックアイテム? を錬金術で造ってたんだ。だから、自分の金は冒険者になる前からそれなりに持ってたんだよ」
「キャバリオン? って言うか、アラッドって錬金術まで出来るのね。それで、どれぐらい稼いでたの?」
「……内緒」
「えぇ~~~、良いじゃん。教えてよ~~~」
教えても構わないのだが、大っぴらに教えることでもない。
ただ…………稼いだ額を聞けば、ひっくり返ってしまうのは間違いなかった。
214
あなたにおすすめの小説
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
スラム街の幼女、魔導書を拾う。
海夏世もみじ
ファンタジー
スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。
それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。
これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。
ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて…
幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。
王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。
なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。
自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。
11月14日にHOT男性向け1位になりました。
応援、ありがとうございます!
転移したらダンジョンの下層だった
Gai
ファンタジー
交通事故で死んでしまった坂崎総助は本来なら自分が生きていた世界とは別世界の一般家庭に転生できるはずだったが神側の都合により異世界にあるダンジョンの下層に飛ばされることになった。
もちろん総助を転生させる転生神は出来る限りの援助をした。
そして総助は援助を受け取るとダンジョンの下層に転移してそこからとりあえずダンジョンを冒険して地上を目指すといった物語です。
【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる