スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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六百三十話 庶民から貴族に

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「ようやく着いたね!!」

「そうだな」

リバディス鉱山に一番近い街……ロンバルクに到着した三人。
ロンバルクは国内でもそれなりに大きな都市ではあるが……既に色々と見ているアラッドは、別世界の転生者であっても特に驚かなかった。

「宿を取ったらどうする?」

「既に昼過ぎというのを考えると、鉱山に向かうのは明日からの方が良いと思う」

「僕も同じかな。半ダンジョン化してる場所なら、余計にしっかり休んでからの方が良いよ」

「オッケー! それなら、ささっと宿を取っちゃいましょ」

ロンバルクに関して殆ど知識がない三人。
ギルドで宿に関する情報を尋ねれば直ぐに教えてくれるが……アラッドが面倒という理由でギルドに訪れず、散策も兼ねて適当に宿を探し始めた。

「…………なぁ、スティーム。この宿、良さそうじゃないか?」

「ん~~~……そうだね。悪くないかも」

「ちょ、ちょっと待って!」

「ん? どうした、ガルーレ」

アラッドが指さした宿とは、スティームの言う通り……一先ず外見は悪くなく、宿の中に入っている客室的にも問題がある用には思えない。

入り口に警備を担当している人物たちが居るのも高評価。
従魔用のスペースもある。
本当に文句なしの宿屋。

だが……ガルーレがストップをかけたのは、そこが理由ではない。

「いや、あのさ……どう見ても、高いよね」

「あぁ……そりゃそれなりの宿泊代になるだろうな。もしかして、あんまり貯金がないのか?」

「そういう訳じゃないんだけど、ちょっと……腰が引けるというか」

「大丈夫だ、直ぐに慣れる。もしピンチなら、宿泊代ぐらい俺が代わりに払う」

「えっ、あちょ!!!」

ガルーレがもう一度止める前にアラッドは中に入り、従業員に三部屋空いてるか問うた。

「はい、勿論空いております……お部屋は、本当に一人一部屋でよろしかったでしょうか?」

「それでお願いします」

二人部屋、三人部屋もあるが、アラッドは悩むことなく一人一部屋を選択。

結婚前の男女が同じ部屋に泊るのはよろしくない……なんてアホみたいな考えは持っていないが、単純にその方が良いと思っての判断。

値段を聞いたガルーレは少し呻くが、やっぱり別の宿に、と言えずにそのまま一人部屋に入り……速攻でアラッドの部屋の扉をノック。

「どうした、ガルーレ? 着いたばかりなんだし、少し部屋でくつろいでから散策しても良いと思うが」

「いや、あのさ、やっぱりこう……お、落ち着かないんだけど」

「何が………………あぁ、そういう事か」

アラッドは……前世、工藤英二は一般庶民。
転生した自身の部屋を見た時、色々と衝撃を受けた。

そして慣れるまでの間、今のガルーレの様に落ち着かない日々を過ごした。

だが、そんな家でずっと過ごしていれば、いずれ慣れる。
自分には似合わないなと思いつつも……前世が一般庶民であったとしても、今世は侯爵家のであるという事実は変わらない。

「大丈夫だって。寝る時は目を閉じてるんだから関係無いって」

「そういう問題じゃないって!」

「いや、そういう問題と思うぞ。なんなら、実際に寝てみたらどうだ」

一応……一応、アラッドに言われた通り、ベッドに横になってみた。

(あ…………凄い、寝れ……る)

それなりに良い宿ということもあり、ベッドはそこら辺の物とは質が……格が違う。

快眠の効果が付与されており、翌日には殆どの疲れを消し去ってしまう。
これまでガルーレは多くのベッドで寝てきたが……寝る前にキッチリ疲れてるということもあり、あまりそこまで室などは気にならなかった。

だが……改めて、質の高いベッドだと認識しながら横になってみると……その高品質さが体に染みわたる。

「どうだ? 眼を閉じてしまえば、あまり周囲のあれこれは気にならなくなるだろ…………おい、ガルーレ?」

「すぅーーー…………すぅーーー…………」

「おい…………嘘だろ。ギャグ漫画かよ」

思わず、この世界では誰も解らないツッコミを零してしまったアラッド。

しかし……驚くことに、ガルーレは本当に一瞬のうちに夢の中に旅立ってしまった。

「ガルーレ、起きろ。今寝たら、夜に寝れなくなって明日の探索に支障が出るぞ」

「っ…………ねぇ、アラッド……えっ、ヤバくない」

「解る。かなり昔の感覚ではあるけど、同じヤバさを感じたのはハッキリと覚えてる」

ガルーレが夢から戻って来たところで、スティームと合流して夕食の時間になるまで散策の続きを開始。

「ねぇ、二人は……家から出る時、実家からお金を貰った感じなの?」

貰っていたとしても、そうなんだねという感覚で終わる。
貴族であれば、寧ろそれが当然かもしれないという理解は持っている。

「多少はね」

「俺は自分で稼いでた分があったからな」

「自分で稼いでた?」

「あぁ、そうだよ。俺、キャバリオンっていうマジックアイテム? を錬金術で造ってたんだ。だから、自分の金は冒険者になる前からそれなりに持ってたんだよ」

「キャバリオン? って言うか、アラッドって錬金術まで出来るのね。それで、どれぐらい稼いでたの?」

「……内緒」

「えぇ~~~、良いじゃん。教えてよ~~~」

教えても構わないのだが、大っぴらに教えることでもない。
ただ…………稼いだ額を聞けば、ひっくり返ってしまうのは間違いなかった。
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