スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
826 / 1,389

八百二十五話 解り辛い武器?

しおりを挟む
「ヌゥアアアアッ!!!!!」

「ゴアアアアアッ!!!!!」

探索を始めて数時間。
アラッドたちはまだ目的のハヌマーンどころか、ハヌーマとすら遭遇出来ていなかった。

だが……現在モンスターと戦闘中のガルーレは、非常に楽しそうな笑みを浮かべていた。

「………………アラッドも同じことをするんだろうけど、よくやるよね」

「馬鹿だと思われるかもしれないが、俺やガルーレは……そういった性なんだろうな」

現在、がルールはフォレストコングというCランクモンスターのゴリラと戦っていた。

勿論ただ戦うのではなく、パンチにはパンチで返したりと、戦いというよりは力比べをしていた。

「フォレストコングを相手に……骨が砕けたら、とか考えないのかな」

「……単純な力比べが楽しいというのと、そこに関しては特に頭で考えずとも、体が勝手に考えてると思うぞ」

「そういう、事かぁ…………でも、フォレストコングは決して楽な相手じゃないよ。オーガやトロールの様に一発一発を全力で叩き込むだけじゃなくて、頭も使って戦う」

「そうだな。あんなパワープレイが出来るのに、割とそういうところがある」

過去に何度かゴリラ系モンスターと戦ったことがあるため、スティームの言いたい事は良く解る。

(確か、ゴリラは森の件じゃと呼ばれてたんだったか? いや、それはフクロウだったか??? ………………俺の記憶がバクっていなければ、ゴリラも森の賢者、賢人みたいな二つ名を付けられたはずだ)

フォレストコング……名の通り、まさに森のゴリラ。
森や密林などで戦うことは非常に慣れており、木に捕まって一回転して蹴りを叩き込むなど、器用な動きもする。

「でも、ガルーレはその辺りも解って戦ってる筈だ」

「だと良いんだけど…………」

ガルーレとフォレストコングの戦いが始まってから既に数分が経過。

フォレストコングとパワー勝負をしていれば、そろそろ体が悲鳴を上げ始める。
いくらガルーレが見た目以上に頑丈な体をしているとはいえ、フォレストコングは見た目通り頑丈で屈強な体の持ち主。

(でも、ガルーレの場合なぁ……)

そろそろ肉体にダメージが、疲労が溜まってきてからが本番。

「せりゃッ!!!!!!」

「ッ!!!!!! っ!!??」

ガルーレが意識せずとも、一定のダメージが蓄積すれば、切り札であるペイル・サーベルスが発動する。

拳にはところどころ内出血しており、骨には罅が入っている。
時折フォレストコングは器用に蹴りも放ち……ガルーレはそれにわざわざ応えるように、蹴りで返していたので、脚にもダメージが蓄積されていた。

「破ッ!!!!!!!!」

「ゴバっ!!!!!????? ッ、ァ…………」

そして超強化されたがルールの攻撃によって、今度はフォレストコングの拳が砕かれた。

両手の骨を破壊され、最強の武器が失われた。
そんなフォレストコングに死体撃ちの様な真似をすることはなく、最後に胸部に向かって拳を叩き込み、心音を停止させた。

「ぷは~~~~~~~。いやぁ~~~~、良い戦いだったね」

「相手がCランクのモンスターとはいえ、見ているこっちは少し冷や冷やしててたよ」

「ごめんって~~。やっぱこう、見るからにパワータイプのモンスターじゃない。だったら、力比べしてみたくなるものでしょ」

「…………アラッドの言う通り、本当に君たちはそういう性なんだね」

解ってはいても、ほんの少しため息が零れるスティーム。

「……………………」

「? どうしたんだい、アラッド。そんな悩ましい顔をして」

「いや、そういえば、ゴリラ系のモンスターって、また別の武器があったなと思って」

「えっ!!!??? もしかしてこいつ、私に手加減してたってこと!!!!????」

まさかの情報に、ガルーレは驚きと怒りが同時に湧き上がる。

私を相手に、手加減していたのかと。
生死が掛かった戦いで、手札を全て晒さなかったのかと。

ただ、アラッドはそこに待ったをかけた。

「落ち着け、ガルーレ。えっとだな……まず、俺がフォレストコングとかのゴリラ系モンスターが持つ他の武器っていうのは、握力の話だ」

「手で掴む力よね」

「そうだ。ゴリラ系モンスターはそれが優れてるんだが…………同時に、パンチの威力も優れている。どちらも優れた武器だからこそ、フォレストコングは自分の武器がパンチ以外にもあると気付かなかったのかもしれない」

そもそもパンチは解りやすい攻撃方法ではあるが、握力というのは少々武器としては認識しづらい。

(そういえば、若ヤクザの頭が破壊力は体重とスピードと握力が大事って言ってたか…………フォレストコングはゴーレムほど遅くはないが、決して素早くはない。スピードが無ければ、相手を掴んで握力の高さを武器として発揮するのは難しいか)

仕方ないよな~~~と勝手に納得するアラッド。

しかし、実際にフォレストコングと戦ったガルーレにはモヤモヤが残った。

「ガルーレ、フォレストコングはアラッドの言う通り、本当に把握してなかったんだと思うよ。じゃなかったら、このまま戦い続ければ死んでしまうという状況で、持ってる手札を全て使わないという選択肢はあり得ないよ」

「そうかな~~~~…………まっ、それもそっか!!」

スティームの言葉もあり、ガルーレは直ぐに頭を切り替え、意識をこれから遭遇するモンスターへと切り替えた。
しおりを挟む
感想 482

あなたにおすすめの小説

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

私はいけにえ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」  ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。  私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。 ****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

酒の席での戯言ですのよ。

ぽんぽこ狸
恋愛
 成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。  何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。  そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

私が消えたその後で(完結)

毛蟹
恋愛
シビルは、代々聖女を輩出しているヘンウッド家の娘だ。 シビルは生まれながらに不吉な外見をしていたために、幼少期は辺境で生活することになる。 皇太子との婚約のために家族から呼び戻されることになる。 シビルの王都での生活は地獄そのものだった。 なぜなら、ヘンウッド家の血縁そのものの外見をした異母妹のルシンダが、家族としてそこに溶け込んでいたから。 家族はルシンダ可愛さに、シビルを身代わりにしたのだ。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

【完結】お父様の再婚相手は美人様

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 シャルルの父親が子連れと再婚した!  二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。  でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。

処理中です...