スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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八百三十話 侮れば、そこで終わり

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「はぁ~~~、良いなぁ~~~~~~~…………アラッドもそう思うでしょ」

「あぁ、そうだな」

既にハヌマーンが従えていたハヌーマたちを全て討伐し終えたアラッドたち。

スティームとハヌマーンの戦いをじっくり観たいため、その場で解体はせずに一先ず亜空間の中に放り込んだ。

「あのスティームが万雷に双剣を入れ替えて、時折赤雷も使ってる……なのにまだ終わってない。もしかしてだけどさ、あのハヌマーンってAランク?」

「さぁ……どうだろうな。身体能力や攻撃の破壊力などはAランクに劣ると思うが、対人戦に関する技術力や慣れは、Aランククラスとかもしれないな」

「対人戦の技術力がAランククラス…………はぁ~~~、やっぱり戦ってみたかったな~~~」

「俺も同じ気持ちだ。でも、じゃんけんに負けた俺たちが悪い」

「…………」

それを言われてしまうと、何も言えないガルーレ。

「それにしても、あのハヌマーンってモンスターさ……そこそこ人間臭い、よね?」

「人間臭いかどうかは解らないが、大半のモンスターと比べて、モンスターらしくはないな」

並みの冒険者よりもモンスターと遭遇してきたアラッド。

大抵のモンスターが遭遇した瞬間に戦意と殺気を同時に向けてくる。
人間にとってモンスターが敵であるのと同じく、モンスターにとって人間は敵。もしくは餌である。
そんな相手に、殺意を向けるのは自然の摂理と言える。

しかし……現在スティームとバチバチに戦り合っているハヌマーンは、スティームに対して純粋な戦意しか向けていない。

「面白いモンスターだよね~~。もしかして、ユニコーンみたいな感じ?」

「いや、ユニコーンとはまた違うというか、ユニコーンはおそらく……人間に対して普通に殺意を向けると思うぞ」

「そういえば、アラッドってユニコーンと遭遇したことがあったんだっけ」

「本当に偶々運良くだけどな」

「……………………ぶふっ!!!!」

「いきなりどうしたんだ?」

「あ、アラッドがユニコーンと一緒に居るのを想像したら、思ったより似合わなくて」

「……失礼なやつだな」

そう返すも、アラッドも自分の見た目からユニコーンという清楚、清潔、高貴、優雅……そういった要素を全て兼ね備えた存在と並べば、圧倒的に浮いてしまうと解っていた。

(そう考えると、いくらあの黒いバイコーンから助けたとはいえ、よく角をくれたな…………心の底から俺に心を許してはいないが、義理は果たしたといったところか?)

あの時の親ユニコーンの心情はいったいどういったものだったのか。
その件に関して深く考え込みそうになったところで、激しい激突音を耳にし、意識が目の前で行われている戦いに引き戻される。

「…………至高の一戦だな」

ポツリと、そんな言葉を零したアラッド。

「同感ね。っていうか、それ戦い終わった後に、スティームに伝えてあげたら?」

「そうだな。とはいえ……まだ、スティームの勝利で終わると決まった訳ではない」

スティームは当初の予定通り、ハヌマーンに僅かな隙が生まれた瞬間を狙って、赤雷を纏って斬撃を叩き込んでいた。

通常の雷とは違い、非常に攻撃的である雷。
そしてそれを纏う双剣は、超一級品である万雷。

がっつり刃がぶつからずとも、掠るだけで毛皮を越えて肉を焦がす苦いダメージが入る。

「……だね。赤雷を纏ったスティームのスピードは見事の一言だけど、ハヌマーンは決して鈍くない。っていうか、人型モンスターの中だと結構速い方よね?」

「身体能力もそうだが、反応速度も速い。それに…………このままだと、どこかで把握されるだろうな」

隙が生まれた瞬間を逃さず、攻撃を叩き込む。
戦いの中では基本中の基本の技術。

互いに攻めて躱して防ぎ、防いで防いで受け流し、攻めて攻めて攻めて……それを何度も繰り返していれば、どうしても隙が生まれてしまう。
だが……世の中、わざと隙を作り、甘い蜜を用意して引き寄せる高等技術を扱う者がいる。

そんな技術をモンスターが? と思ってしまえば、もう後は叩き潰されるだけ。
異様に対人戦に慣れているハヌマーンであれば……相手の呼吸が読めれば、決して不可能ではない。

「ありゃ、ついに防がれちゃったね」

「だな…………さて、あと何秒使えるか」

莫大な魔力を消費する赤雷。
使用する時間を約一秒程度に留めているため、今でも戦い続けられている。

赤雷を会得した時と比べ、魔力総量も増えた。
必要な時に、必要な量を……どれだけの時間、纏えば良いのかも解るようになってきた。

しかし、それでもいつか限界が来る。

「ねぇ、因みになんだけどさ。スティームが負けたったら、次は誰が戦う?」

スティームが殺されそうになれば、当然ながら二人が割って入って止める。
選手交代である。

「……とりあえず、ハヌマーンにその気があるなら、ポーションでも飲んでもらって、俺とガルーレのどっちか……じゃないな。クロとファルも含めて誰が戦うか決めるか」

強者との戦いを求めるのは、アラッドとガルーレだけではない。

しかし、そうなるとどういった方法で決めるか……それは、一先ず目の前の戦いが決着してからにしようと、全員同じことを思った。
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