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八百三十八話 私情丸出し
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「アラッドさん、こちらの素材、全て売却でよろしかったでしょうか」
「えぇ、お願いします」
「かしこまりました」
複数の受付嬢は素早く、そして丁寧に査定を進めていき、約ニ十分後にはジャラジャラと音が聞こえる袋が届いた。
「こちらが、報酬金額になります」
「………………はい、ありがとうございます」
袋の中身をサラッと確認し、アラッドは満足気に頷いた。
前世の知識を活用し、そして定期的に制作しているキャバリオンによる収益によって、懐は常に温かい……を越えて熱々状態である。
しかし、入った金に関しては商人ギルドに預けているため、実際にその壮大過ぎる金額を生で見たことはない。
そのため、白金貨が少し、そして金貨がじゃらじゃらとある光景を眺めるのは、嫌いではなかった。
「ふぅーーーーー……よし、それじゃあ戻りましょうか」
「あ、あの。別口から出ていくということも出来ますが」
素材の査定を行っている間に、ガルーレが改めてヴァジュラに対する情報提供を行い、ヴァジュラは正式に冒険者ギルドにガルーレの従魔として認められた。
受付嬢はそれが済んだこともあり、三人がロビーに戻れば何が起こるのか予想出来てしまい、別口から出た方が良いのではと提案した。
「ありがとうございます。ですが、結局はどこかでなんとかしなければならないので」
別口から出ればその日は凌げても、結局は問題の先送りにしかならない。
アラッドは意識して背を伸ばし、堂々とした態度でロビーへと向かった。
「「「「「ッ…………」」」」」
(やっぱり、としか言えないな)
ロビーに戻ると、仕事から戻って来てこれから夕食を食べるという冒険者が多くいた。
数は朝の割の良い依頼の争奪戦時よりも多いかもしれない……だが、雰囲気はかなり暗い状態。
多くの冒険者はなんとも言えない表情を浮かべており、一部の者たちはロビーに戻って来たアラッドたちに向けて鋭い視線を向けていた。
「お前が、アラッドで合っているな」
「えぇ、そうです。俺が、アラッドです」
暗く、緊張感のある空気を一気に突き抜け、距離を詰めてきた男は……先日、多くのハヌーマと首領であるハヌマーンにボコボコにされ、撤退を余儀なく迫られたエルフの細剣士だった。
「いったい、どういうつもりだ」
「どういうつもりだ、というのは表で待っているヴァジュラ……ハヌマーンの事を指しているのですか?」
「それ以外に、何かあると思うか」
エルフらしからぬ激情を浮かべる冒険者。
それは彼のパーティーメンバー差はあれど、同じ様な表情を浮かべていた。
「何故、あのようなモンスターを従魔にした」
「何故と言われても、困りますね。俺の本職はテイマーではない。スティームも、ガルーレも同じく」
「だが、表にいるハヌマーンは、従魔の証を身に付けているだろ」
「そうですね。流れとして、ガルーレの従魔になりました」
「アラッドの言う通りで~~す。ヴァジュラは私の従魔ですよ~~」
あのハヌマーンの主人がガルーレだと解り、一部彼女にも怒りが向けられた。
「とりあえず、落ち着いてくださいよ」
「「「「「「「「「「っ!!!!!????」」」」」」」」」」
元から声が低いタイプのアラッドが、ドスを利かせて更に低い声を発した。
両肩に重りを乗せる……ではなく、ロビーにいる冒険者たちは自身の目の前に刃を向けられている、といった錯覚を感じた。
いきなりの光景に慌てて手を払う、咄嗟に下がるといった行動を取るが、直ぐにそれが錯覚であると解り、安堵の域を零す。
「このパーティーのリーダーは、俺です。今回の一件に関して文句があるなら聞きましょう。もっとも……文句を伝えられたところで、ヴァジュラはガルーレの従魔で、俺たちの仲間であることに変わりませんが」
「ッ!!!!!」
「良く考えてみてください。そもそも……竜騎士たちのワイバーンの様に、卵から育てている訳ではありません。テイマーたちは野性のモンスターはなんとかどうこうして、自身の従魔にしています。野性で生息している以上……人間を傷付けた、もしくは殺した個体である可能性は非常に高い」
アラッドの言葉を耳にしたロビーに居る数少ないテイマーたちは、うんうんと何度も頷いた。
「俺のクロも昔はまだ幼かったとはいえ、人間や冒険者を殺したことがあるかもしれない。スティームのファルも同じだ。それを解っていて、俺たちは今相棒たちと共に行動してる……ハッキリ言わせてもらうとあなたの怒り、その他の者たちの怒りは、ただの私情です」
冒険者たちの戦闘スタイルを分別する中で、確かにテイマーという戦闘スタイルは周知の認識。
冒険者ギルドもそれを認めているため、従魔の証という物を発行し、テイムされたモンスターに身に着けさせている。
「ヴァジュラが、ハヌマーンというモンスターが人を小バカにする様な態度を取るのは知っていますが、それでも……もうあいつは俺たちの仲間だ。仲間に文句があるなら……リーダーの俺が受け付けます」
「ッ…………どう、受け付けるというのだ」
「決まっているでしょう。ヴァジュラを従魔にすることに文句のある方々……全員、俺が訓練場で相手になります。それが、一番解り易いやり方でしょう」
正論をぶつけただけで、同業者たちが納得するとは一欠片も考えていなかった。
ーーーーーーーーーー
新作、転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。の投稿を始めました!!
読んでもらえると幸いです!
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「ふぅーーーーー……よし、それじゃあ戻りましょうか」
「あ、あの。別口から出ていくということも出来ますが」
素材の査定を行っている間に、ガルーレが改めてヴァジュラに対する情報提供を行い、ヴァジュラは正式に冒険者ギルドにガルーレの従魔として認められた。
受付嬢はそれが済んだこともあり、三人がロビーに戻れば何が起こるのか予想出来てしまい、別口から出た方が良いのではと提案した。
「ありがとうございます。ですが、結局はどこかでなんとかしなければならないので」
別口から出ればその日は凌げても、結局は問題の先送りにしかならない。
アラッドは意識して背を伸ばし、堂々とした態度でロビーへと向かった。
「「「「「ッ…………」」」」」
(やっぱり、としか言えないな)
ロビーに戻ると、仕事から戻って来てこれから夕食を食べるという冒険者が多くいた。
数は朝の割の良い依頼の争奪戦時よりも多いかもしれない……だが、雰囲気はかなり暗い状態。
多くの冒険者はなんとも言えない表情を浮かべており、一部の者たちはロビーに戻って来たアラッドたちに向けて鋭い視線を向けていた。
「お前が、アラッドで合っているな」
「えぇ、そうです。俺が、アラッドです」
暗く、緊張感のある空気を一気に突き抜け、距離を詰めてきた男は……先日、多くのハヌーマと首領であるハヌマーンにボコボコにされ、撤退を余儀なく迫られたエルフの細剣士だった。
「いったい、どういうつもりだ」
「どういうつもりだ、というのは表で待っているヴァジュラ……ハヌマーンの事を指しているのですか?」
「それ以外に、何かあると思うか」
エルフらしからぬ激情を浮かべる冒険者。
それは彼のパーティーメンバー差はあれど、同じ様な表情を浮かべていた。
「何故、あのようなモンスターを従魔にした」
「何故と言われても、困りますね。俺の本職はテイマーではない。スティームも、ガルーレも同じく」
「だが、表にいるハヌマーンは、従魔の証を身に付けているだろ」
「そうですね。流れとして、ガルーレの従魔になりました」
「アラッドの言う通りで~~す。ヴァジュラは私の従魔ですよ~~」
あのハヌマーンの主人がガルーレだと解り、一部彼女にも怒りが向けられた。
「とりあえず、落ち着いてくださいよ」
「「「「「「「「「「っ!!!!!????」」」」」」」」」」
元から声が低いタイプのアラッドが、ドスを利かせて更に低い声を発した。
両肩に重りを乗せる……ではなく、ロビーにいる冒険者たちは自身の目の前に刃を向けられている、といった錯覚を感じた。
いきなりの光景に慌てて手を払う、咄嗟に下がるといった行動を取るが、直ぐにそれが錯覚であると解り、安堵の域を零す。
「このパーティーのリーダーは、俺です。今回の一件に関して文句があるなら聞きましょう。もっとも……文句を伝えられたところで、ヴァジュラはガルーレの従魔で、俺たちの仲間であることに変わりませんが」
「ッ!!!!!」
「良く考えてみてください。そもそも……竜騎士たちのワイバーンの様に、卵から育てている訳ではありません。テイマーたちは野性のモンスターはなんとかどうこうして、自身の従魔にしています。野性で生息している以上……人間を傷付けた、もしくは殺した個体である可能性は非常に高い」
アラッドの言葉を耳にしたロビーに居る数少ないテイマーたちは、うんうんと何度も頷いた。
「俺のクロも昔はまだ幼かったとはいえ、人間や冒険者を殺したことがあるかもしれない。スティームのファルも同じだ。それを解っていて、俺たちは今相棒たちと共に行動してる……ハッキリ言わせてもらうとあなたの怒り、その他の者たちの怒りは、ただの私情です」
冒険者たちの戦闘スタイルを分別する中で、確かにテイマーという戦闘スタイルは周知の認識。
冒険者ギルドもそれを認めているため、従魔の証という物を発行し、テイムされたモンスターに身に着けさせている。
「ヴァジュラが、ハヌマーンというモンスターが人を小バカにする様な態度を取るのは知っていますが、それでも……もうあいつは俺たちの仲間だ。仲間に文句があるなら……リーダーの俺が受け付けます」
「ッ…………どう、受け付けるというのだ」
「決まっているでしょう。ヴァジュラを従魔にすることに文句のある方々……全員、俺が訓練場で相手になります。それが、一番解り易いやり方でしょう」
正論をぶつけただけで、同業者たちが納得するとは一欠片も考えていなかった。
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