スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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八百四十話 ただ、消化不良

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「一応、もう一度聞いておこうか。私たちを相手に……一人で、戦ると」

「えぇ、そうですね」

その通りですよと……さも当然の様な顔で答えるアラッド。

アラッドがどれだけ実績を積んでいる規格外のルーキーとはいえ、今回私情で挑もうとしている面子も、多くの修羅場を潜り抜けてきた者たち。

世間知らずのルーキー、坊ちゃんや嬢ちゃんたちを纏めて相手にするのとは話が違う。

「先に行っておきます。全員真剣でお願いします。魔法を使う方がいれば、遠慮なく使ってください」

「っ、あなた……それがどういう意味なのか解ってるのかしら」

刃引きしてない武器を使う。
それだけではなく、弓や魔法に関しても遠慮なく使う……それはもはや模擬戦や試合ではなく、決闘の領域である。

「えぇ、勿論理解しています。ですので、俺も抑えて戦おうとはしません」

「「「「「「「「「「ッ!!!!」」」」」」」」」」

アラッドは普段使用している鋼鉄の剛剣・改ではなく、渦雷でもなく……迅罰を亜空間から取り出した。

その瞬間、これからアラッドと戦う者たち、観客たち全員……その武器に目を奪われた。

「叩き潰させてもらいます。それと…………非常に不謹慎で、申し訳ない対応だとは思っていますが……どうか、殺す気で掛かってきてください」

アラッドのこの発言は、あなた達と自分にはそれぐらいの差がありますと……人によっては、最大限の煽りと捉えられてもおかしくなかった。



「わ~~~ぉ。盛大に煽りかますじゃん、アラッド~~」

「だねぇ………………相当、溜まってたみたいだね」

「よぅ、お二人さん。あんた達あのアラッドの仲間だろ?」

観客たちに交じって観戦しようとしていた二人に、同業者の男が声を掛けてきた。

「えぇ。今はアラッドとパーティーを組んで活動してます」

「同じく最近アラッドと一緒にパーティーを組んで活動してま~~す」

「良かった良かった。間違って恥かかずに済んだぜ。んでよ、アラッドってのは割とあんな風に煽ったりするタイプなのか?」

男はアラッドと面識が全くない。
それでも冒険者としてそれなりに活動しており、ガサツな見た目に反してマメに情報収集を行っている。

なので、アラッドがどういった強敵を倒しているのかは勿論、侯爵家の令息という立場に反し、割と気さくな人物であることを知っていた。
それもあって、あそこまで先輩冒険者たちを前にして、自身に正論があるとはいえ、がっつり煽るタイプとは思っていなかった。

「……そういった部分が、無きにしも非ずだと思います」

スティームの中では、気に入らない相手に対して煽るというよりも、正論パンチを叩きつけて撃沈させるイメージがあった。

「アラッドって物理的に強いのに、さっきみたいな正論をぶつけるのも上手いよね~~~」

ガルーレもどちらかと言えば、煽るのではなく正論を叩きつけることで……結果的に煽っている様に思われるタイプではないかと思っている。

「でも、今回に関しては……アラッドは、特に煽っているつもりはないと思いますよ」

「そうなんか?」

「えぇ。勿論、何も知らない人物からすれば、アラッドが彼等を煽っている様に聞こえるのは解ります」

スティームは声を掛けてきた男に、今日の昼間……どういった戦いがあったのか、本当にかいつまんで話した。

「なので、アラッドは満足出来る戦いをしたいのだと思います」

「な、なるほど、なぁ…………それなら、自然にあの言葉が出てくるのも、納得っちゃあ、納得だな。にしても……いや、あの武器はヤベぇな」

見た目がガサツな男はCランクの冒険者であり、同ランク帯の同業者たちよりも優れた視る眼を持っていた。
人よりも物に対して発揮するタイプの目であり、他の冒険者たちよりも迅罰の恐ろしさを感じ取っていた。

「自分が満足出来る戦いをしたいから、か……それなら、あの面子が本気で殺しにいくって内容を、正しいのか……正しいのか?」

一度口にした自分の言葉を、つい疑ってしまう。

本当に……本当に彼らのことを何も知らない人物が観れば、これから行われる戦いは先輩たちが後輩一人をリンチするというもの。

普通に考えれば、批判殺到。
アラッドの前世であればその映像がSNSに公開され、炎上待ったなしである。

「正しいのか正しくないのか、それが決まる戦いが始まりますよ」

「お、おぉう。そうだな」

全員のアップが終了。
これからアラッドに挑む者たち全員が体を温め、アラッドも自分は特に何もせず戦いに挑もうといった舐めプはせず、始まるまで適度に体を動かし続けた。

「それでは、これより試合を始めるが……試合は試合だ。全員、相手を殺す様な攻撃は行わない事。殺せば、問答無用で罰則が下るからな」

急遽到着したギルド職員たちの中でもリーダー格にあたる者が審判を務めることになった。

「では…………始め!!!!!!!!!」

審判の試合開始が下されたと同時に……両者、共に誰も動かなかった。

(そのつもりなら!!)

アラッドが自分から攻めてこないため、予定通り後衛タイプの冒険者たちがタイミングをズラしながら遠距離攻撃を放った。
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