スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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九百四十三話 昇格? 昇進?

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「俺たちも同じ感想だ。正直……途中まで本当に一杯一杯だった」

「結局、討伐への流れもウィリアスが作ってくれたようなものだものね」

自分たちの力だけでは、闇の力を授かったオークジェネラルたちに勝てなかった。
それがソルたちの総意だった。

「随分と謙虚だな」

「事実を事実と受け入れただけですよ」

「ルーナの言う通りだな。まぁ……うちとしては、狂化の感覚を少し掴めた気がするから、良い経験だったとは思うけど」

「はっはっは、そりゃ良かったな」

同じ狂化というスキルを使う者として、アラッドは本当に良かったと思っていた。

そんなアラッドの言葉を……疑う訳ではない。
ただ、狂化を使う者として、ソルはどうしても狂化を使用したアラッドの姿が気になっていた。

(あれが……狂化を、極めた先に至る姿なのか? 狂化をストップしたら、元の状態になったけど…………とりあえず、今詳しく聞くところじゃ、ないか)

本当は物凄く気になっている。
超気になっているソルではあるが、今は祝いの席であり、あの角に……瞳の変化について尋ねる場ではないと解っていた。

「それで、フローレンスはどうだった?」

「私も一筋縄ではいかない戦いでした。聖光雄化を使えばなんとか上手くいくだろうとは思っていましたが、それだけでは足りないと……リスクを背負う必要があると感じる相手でした」

「グレータースケルトンだったな…………それだけ、全体的にレベルが高かったってことか」

正直なところ、アラッドもフローレンスであれば属性の相性もあり、聖光雄化を使用すれば、闇の力を授かったBランクモンスターが相手でも多少余裕を持って倒せると思っていた。

(ウィリアスがソルたちのサポートで手一杯な状態だったから、フローレンスは万全な状態だったとは言えないが、それでも聖光雄化を使ったフローレンスがリスクを背負わないと勝てなかった、か…………改めて、あの闇竜、とんでもない軍団を作りやがったな)

アラッドとしては、スティームが戦た黒色リザードマンとガルーダが戦った黒色オルトロス亜種も相当ヤバいと感じていた。
本当に……Bランク冒険者のパーティーが複数組み組んだとしても、全滅する可能性の方が高い。

そんな軍団を作った闇竜を、今この段階で討伐出来て良かったと、アラッドは改めて思った。

そして数分後、頼んだ料理が続々と運ばれてきた。
一旦あまり明るくはない話題は止め、料理を食べることに集中し始めたアラッドたち。

「そういえば、さ。私たちって、これで二体目の面倒で厄介なドラゴンを仕留めた訳じゃん」

「ん? そうだが……それがどうかしたか?」

「いや、私たちの中でアラッドは騎士の爵位を持ってるから、こっから男爵とかに昇格? 昇進? するのかと思って」

「ぶっ!!!」

突然すぎる質問に驚き、喉を詰まらせたアラッド。

「ごほっ、ごほっ……はぁ、はぁ。ガルーレ……頼むから、いきなり突拍子もない事を言わないでくれ」

「あっはっは! ごめんごめん。でもさ、あり得ない話じゃないんじゃないの?」

「ないだろ。騎士の爵位は持ってるが、別に騎士として活動しているわけじゃない。冒険者として活動してるんだから、上がるとしても冒険者ランクの方だろ」

男爵、子爵になることはあり得ない。
そう断言するアラッドだが、ガルーレが口にした内容に関して、真剣に考える者たちがいた。

「………………」

「ねぇねぇ、フローレンスさん。フローレンスさん的には、アラッドの昇進? はあり得ると思いますか?」

「……可能性は、ゼロではないと思いますね」

「はぁ~~~~~……フローレンス。頼むからそんな恐ろしいこと言わないでくれ」

公爵家の令嬢であるフローレンスが口にすると、シャレにならないと感じる。

だが、他国の貴族令息ではあるが、スティームも同じ考えであり、ソルたちの中で貴族出身のメンバーたちも……概ねフローレンスと同じ考えが浮かんでいた。

「すいません。ですが、本当に可能性としてはゼロではありません。他の冒険者の方々比べても、その可能性は高いかと」

「多分、アラッドの場合特に強いモンスターを討伐しただけではなく、国の危機に関わるモンスターを積極的に討伐してるからですよね」

「えぇ、スティームさんの言う通りです」

「………………」

ストールに関して討伐したのはアラッドの兄であるギーラスだが、もう一体の暴風竜ボレアスの息子、ルストに関してはクロが討伐した。
ルストを討伐するまでにスティームたちも活躍したが、それでも親玉を討伐したのはアラッドの相棒であるクロ。

そして今回、闇竜デネブと彼から闇の力を授かったモンスターたちを討伐するのに、アラッドたちはフローレンスたちと組んで戦った。

両チームとも、自分たちだけではなく共に挑んで良かったと思っている。
ただ、一応アラッドたちはアラッドたちだけで討伐出来るだけの総合力があった。

そして結果的に、親玉を討伐したのはアラッドである。
一度は巧妙な奇手にハマり、狂気に飲まれて仲間を襲いそうになったが、未遂に終了。
最終的に闇竜デネブもアラッドが討伐した。

「……仕方ないだろ。自国がヤバい状態に晒されるかもしれないって状況で、何もしないって選択肢はないだろ」

それが、今のアラッドに出来る精一杯の反論であった。
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