スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千二十七話 いたずら心?

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(……今のところ、視線も何も感じないな)

道中の街で一泊することになったアラッドたち。

普段通りの生活を送るものの、アラッドは現在の自身の状況をある程度理解しているため、常の緊張の糸を張っていた。

「アラッド、な~~~にぶすっとしてんの」

「……そんなにぶすっとしてたか?」

「超しかめっ面だったよ」

「そうか……それは良くないな」

現在酒場で夕食を食べており、辛気臭い顔をしてるのは、確かに良くなかった。

「そういえば、ホットル王国に入ったんだから、スティームの知り合いと会うかもな」

「ないとは言えないね」

「会ったらどうするの? やっぱり色々と自慢しちゃう?」

「う~~~~~ん……そうだね…………」

スティームは、冒険者として活動を始めてから友人と言える友人ができなかった訳ではない。
ただ、アラッドと同じく頼れる相棒が最初からいたこともあり、中々多くの友人ができなかった。

(あぁいう人たちにあったら、まだ面倒な絡まれ方をするだろうね…………ふふ、でも……そうだね)

不敵な笑みを浮かべ、スティームは良い顔でどうするかを語った。

「たっぷり、自慢するかな。良い仲間に巡り合えて、楽しい冒険が出来たって」

「……そうか。そう言ってくれると、俺たちとしても嬉しいよ」

強い冒険者と組んだから、今も上手くやれてるんだと……そう言われても、スティームはその通りだと答えると決めた。

アラッドは否定するが、スティームはアラッドという歳下でありながら、敬意すら持つ青年と出会えたからこそ、赤雷という特別な力を得られたと思っている。

ガルーレという元気溌剌で、少し突っ走るところがある女性がパーティーに加わって、更に楽しい旅が出来ていると思っている。

今の自分は、二人と出会えたからこそ強くなることが出来、楽しい冒険者生活を送れていると断言出来る。






「ここが、スティームの故郷か」

スティームが生まれ育った街、ロッテルアン。
フールが統治している街と比べればやや小さいものの、十分都会と呼べる大きさと質を有している。

「ねぇねぇ、スティームの故郷なんだし、向こうの方の列に並んですすーーーって中に入れるんじゃないの?」

「それは……そうだと思うけど………………そうだね。変に注目されるより、堂々とそっちから行こうかな」

スティームたちは最初から貴族や豪商たちが並ぶ列に向かい、順番を待つ。

何故冒険者がこの列に、といった感じで怒りを露にする者はいない。
既にスティームがあのスティームだと気付いているから……という訳ではなく、ただ単純に巨狼と大鷹、白大猿という見るからに並以上の強さを持つ従魔を従えている姿から、感情に任せて絡もうとする者は現れなかった。

「っ!! これはこれは、スティーム様。おかえりなさいませ」

「どうも、お久しぶりです」

「そちらの方々は、スティーム様のご友人ですか?」

「はい、そうです。僕の、大切な友達です」

「なるほど……かしこまりました」

門兵も、ある程度の話は耳にしていた。
だが、実際にスティームの口からどういった存在なのかを危機、三人を中に通した後、同僚たちにアラッドやガルーレたちにも失礼のないようにと伝え回った。




「ところで、もしかしなくてもそのまま屋敷に向かうの?」

「その方が良いだろ。お前が帰って来たとなれば、直ぐに当主の耳にも入るだろう。わざわざ人を遣わせるのも申し訳ないしな」

宿は後で取れば良い。
それはアラッドだけではなく、ガルーレも同じ考えだった。

「……まぁ、それもそうかな」

「ねぇねぇ、もしかしてスティームって両親と会うの、ちょっと気まずい感じ?」

「う、う~~~ん……どうかな。別に親子仲は悪くないと思う、よ。ただ、一応父さんと母さんも僕が騎士になることを期待してたみたいだからさ」

「あぁ~~、なるほどね~~~。ちょっとぐらいは嫌味を言われそうな感じってことね」

「かもしれないかな」

アラッドは社交界に殆ど参加していなかったからこそ、あまり詳しいことは解らない。

ただ、騎士になる事を期待していた息子が冒険者の道を進んだ……この事実に対し、ちょっとぐらいの嫌味で済むのであれば、貴族の中ではまともな親子関係と言えることだけは解る。

「あれが、うちの屋敷だよ。って…………もしかして、もう伝わってるの?」

十数分歩き、スティームが暮らしていた屋敷に到着すると……門から屋敷に入り口に続くまで、ずらりと非番の兵士や騎士たちが並んでいた。

「お帰りなさいませ、スティーム様」

「う、うん。ただいま」

「ささ、アラッド様とガルーレ様もどうぞ中へ」

「お邪魔します」

「お邪魔しま~す」

門をくぐると、両脇に並んでいた兵士や騎士たちが一斉に声を上げる。

「「「「「「「「「「お帰りなさいませ、スティーム様!!!!!!!!」」」」」」」」」」

「う、うん…………た、ただいま」

恥ずかしい。
物凄く……物凄く恥ずかしいと感じるスティーム。

アラッドとガルーレは全くもって目の前の光景に不快感や嘲笑などの感情は持っていない。
ただ……ただただ、スティームが恥ずかしいだけ。

「おかえり、スティーム」

「た、ただいま、父さん」

久しぶりに父と出会い、スティームは全てを察した。
大袈裟に出迎え、自分に恥ずかしいと思わせることが、父から自分に対するいたずら心を含んだ嫌味だと。
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